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8番目、魔族の認識。36


朝から一生分の魚があるのでは?

と、思うくらいの量の朝食が用意されていて、それはびっくりしたのだが、炎に水に土の軍団長のトップ3人の食欲は凄まじかった。


あれだけあったお魚がのったお皿も、パンもスープも綺麗に消え去り、魔族って胃袋大きいんだなぁ〜と感心した。‥もしうちにベル様が遊びに来たら、ご飯足りるかな?そんなことを考えながら私は朝からお魚がデーンと入ったスープを堪能した。



「ご馳走さまでした〜!美味しかったぁ〜」

「‥え、お前そんだけで足りんのか?」

「ユプス、リニ様は人間で女性だ。あれが普通だ」



ユプスさんは信じられない!と、いった顔をしているけれど、私は結構食べる方だよ?向かいの席でシュナさんがニコニコしながら「食べる量もとても可愛らしいですね!」と、言えば、ユプスさんはうんざりしたような顔でシュナさんを見つめた。


「じゃあ、この間来た人間はあんま食ってなかったけど、あれが普通ってことか〜」

「‥そこはどれだけ食べたかわからないのでなんとも答えようがないですね」


なにせ私は結構これでも食べる方だし。

そうして可愛く盛られていたデザートのブドウを一口食べるとめちゃくちゃ甘い!うわ〜〜、これ美味しい!もぐもぐ食べていると、ベル様が私をチラッと見て、



「‥今日は、昨日魔物が多く出た地域の調査をしてくる」

「あ、はい!」

「昼には戻る、から」

「はい。ええと、その間に何か仕事はありますか?」

「仕事は‥、書庫があるので人間について詳しく書かれている本を探しておいて欲しい」

「へ?人間??」

「‥まだ知らないことがあるかもしれないしな」

「ベル様‥」



私が魔族について勉強しようとしているところに、自分も人間について改めて知ろうとしてくれるなんて‥!めっちゃいい人ですやん!小さく感動している横でフィプスさんが「遅い、圧倒的に遅い!」と、突っ込んでいるけれど、そこはまぁ許してあげて。


「じゃあ後で書庫に行ってきます!他の本も読んでいいですか?」

「ああ、どれでも構わない」

「ありがとうございます!」


やったー!

今世は貧乏だったから王族といえど、本は貴重品!しかも政治とか経済とか結構難しい本しかなかったけど、こっちはどうかな?今からワクワクしてしまう。シュナさんはそんな私を微笑ましそうに見つめ、


「リニ様は、どんな本がお好きなんですか?」

「私ですか?子供の時は冒険ものが好きでしたけれど、歴史の物語や、古代からの言い伝えの本も夢があって好きですし、恋愛物語も好きで‥」

「私もです!!!!恋愛物語とても良いですよね!!」


急に生き生きしだした〜〜。

恋愛物語、大好きなんだな!私が頷くと、ぱあっと顔が輝いた。


「では、私今度お勧めのものを持って参ります!フィヨルムでは有名な小説家が書いた物語なんですが、とても素敵なんです」

「わ、ぜひ!」


魔族で有名な小説家‥、めちゃくちゃ面白そう。

ベル様が私を見て、


「‥‥本がそんなに好きなのか」

「はい!父の仕事の手伝いもあって、必要に駆られた‥というのもありましたが」

「偉いな‥」

「うちは皆で助け合ってやっていく!がモットーでしたから」


お兄ちゃんもお姉ちゃんも結婚して、それぞれ助け合う姿を見るに、そのモットーはとても良いものだったなぁと今ならわかる。私も正式夫婦になったらそうなる、のかな?いや、今から練習しておいた方がいいんだろうな。そんな風に考えていると、ユプスさんがデザートのブドウを頬張りながら、



「それよかさー、また今度人間が来るって話聞いたぜ」

「‥‥またか」

「オルベル結婚しちゃったから、今度はヴェリ様に結婚持ちかけるんじゃないか?」

「‥‥また面倒な」



ベル様の目が虚空を彷徨っている‥。

本当に面倒なんだろうな。しかし人間ってどこの国の人だろ?

それに魔族と寿命も違うのに結婚しようって、覚悟がすごいな。私なんてほんの一瞬しか居られない相手って寂しくないの?って思っちゃうんだけど。


と、ブドウを食べる私をベル様がじっと見つめ、


「リニ、もし人間が来ても家に通さないように」

「っへ?来るんですか?」

「‥万が一を考えてな」

「わかりました。気をつけます!」


なにせ我々は夫婦(仮)

少なくとも妻帯者に「結婚してくれ!」などと言ったらそれは問題‥、ん?待てよ?そもそも魔族って一夫多妻制?それとも一夫一妻制?小さく手を挙げると、ベル様が首を傾げた。



「あの、つかぬ事お尋ねしますが、魔族は一夫多妻制ですか?」

「俺はっ、リニだけだ!!!」

「あ、そうなんですね。承知しました」



そっか、じゃあ何かあったらはっきりそう伝えておけばいいな。

一人納得した私を、ベル様は複雑そうな顔をして「‥‥‥納得してくれればそれでいい」と、呟くように言うと、ユプスさんは爆笑し、シュナさんとフィプスさんはそれは笑いを堪えるように震えていた。え、あれ?何かまた私はやらかしてしまったの?!




お魚大好き!!!だけど高い!!


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