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8番目と、魔物相関図。35


ユプスさんとフィプスさんに、野菜が急に育った話をすれば、呆れたようにフィプスさんがベル様を見て、



「オルベル様、リニ様にチョーカープレゼントしたの忘れたんですか?」

「あ」

「チョーカー‥が、どうかしたんですか?」

「それ、オルベル様の魔力がかなり入ってるんで、人間でもちょっとした魔法が使えるんだと思います」

「魔力?魔法?」



なんかすっごいことをサラサラ言われたけど、翻訳機能だけじゃないの?!ベル様を見上げると、サッと顔を横に逸らされた。ちょ、ちょっと!こっちを見なさーーい!


そんな私達の方へユプスさんが興味津々で、私のチョーカーを見て、


「ふむ、言語の翻訳と、守護魔法、探知魔法に、何かあった時に魔法が自分で使えるように魔力も込めてんのか。おい、てんこ盛りじゃねーか!」

「ベル様!?なんだか聞いていた話と全然違いますが!?」

「‥‥何かあった時に身を守る手段が合った方がいいだろ」

「オルベル様、そういった事はきちんと説明しておくべきかと」


フィプスさんの言葉にベル様は、うっと言葉に詰まって目をまた逸らした。


「‥あまり、その、沢山付けていると知ったら驚くだろ」


その配慮は有難い反面、すでに驚いてますねぇ。

そっと肌触りの良いチョーカーに触れると、ほんのり暖かい。

これがまさか「大きく育ってね〜」という願いを聞いて、野菜を成長させるとは‥。魔法のまの字も知らないのに使える事にもびっくりだわ。とはいえ、我々は対話が必要な夫婦(仮)!


ベル様を見上げ、


「今度は何かしてくださった時は教えて下さいね」


そう言うと、ベル様はそろりとこちらへ視線を動かして小さく頷いた。

うむ!よろしい。にこーっと笑いかけると、慌ててまた横を向いたが私の顔に何か付いていたのか?思わず頬を撫でると、その一部始終を見ていたユプスさんが呆気に取られた顔をして、



「‥‥なんだよ、すげぇ面白いことになってるじゃねーか!!!」

「だから祝いの席に来いって言ったのに」

「だって前に来た人間、すげーやな感じだったろ。あれがまた来るのかって思ったら行くのかったるいだろ!」



前回来た人間!印象を悪くさせないでくれ!と、げんなりとしながらも微笑んでいると、


「あとキルも来たら面倒だろ」

「キル?」

「キルシュナだよ!あのでかいの!!」

「でかい‥」


その言い方はどうかと‥と、思っていると、辺りにふんわりと良い匂いがした。



「リニ様ーー!朝食ができましたー!キルシュナ様が送ってくださったお魚を使ったスープです!」



レーラさんがホクホクした顔でこちらへやって来ると、なんと後ろにそのキルシュナ様がいて、ユプスさんが目を見開いた。


「ゲッ!キルシュナぁあ!?」

「ユプスさん!こちらへ来ていたんですね!はぁあああ、相変わらず可愛い!!!」

「可愛いじゃねぇえ!俺は男だぞ?!それにフィプスと同じ顔してんだろ?!」

「いいえ!ユプス様は大変可愛らしですが、フィプスさんは違います」

「なんでだよ!??」


地団駄踏むユプスさんに呆気に取られていると、フィプスさんが私の方へそそっとやって来て、



「キルシュナ様は小さい物や人、特に可愛いものに目がなくて‥。うちの弟は特に昔からあのように可愛がられております」

「な、なるほどぉ‥?」



でもユプスさんの言う通り同じ顔なのに?と、思ってしまう私はまだ可愛さのなんたるかをわかっていないのかな??と、シュナさんがニコニコと微笑みながら、


「急にお邪魔して申し訳ありません。今朝、良い魚が獲れたので‥」

「ありがとうございます!お魚大好きなので嬉しいです!」

「うう、可愛い‥‥!こちらこそありがとうございます!」


お礼にお礼されてしまったがなんで?

と、ベル様がそそっと私の方へ来ると、そっと私を持ち上げ、自分の後ろへ置くとシュナさんを見て、



「言っておくが、俺の妻だからな」

「ひゃあああ!!だ、ダブル可愛いっ!!」

「じゃあ、俺帰るわ〜〜」

「ああ!!ユプスさん!なんで帰るんですか!!一緒に朝食を食べましょう!そして可愛いそのお顔をずっと見せて下さい!!!」

「ふざけんな!!俺は帰る!!」



お、おお、なんだかすごい人間‥ならぬ魔物相関図を見ているな。

レーラさんがにっこりと笑って「皆様で朝食にしましょうね〜」と、早速食堂へ案内してくれたけど、今日も一日どうなるやら‥。チラッとベル様の背中を見上げれば、ベル様とぱちっと目が合った。


「今日も楽しそうですね」


こそっとそう言うと、ベル様は一瞬驚いたような顔をして、すぐに小さく笑ってくれた。わぁわぁと朝から騒がしいけれど、こんな朝の方が私はしっくりくる。今日はどんな一日になるかな?って思いながら後ろに見える畑を見れば、白い花が楽しそうに風に揺れていた。





可愛いって正義だよね!

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