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8番目、提案と眠り。31


とりあえずガラスが割れてしまったので、お部屋はレーラさんの分身に掃除をして頂くことにして、私達は客間の方へ移動することにした。


相変わらず仏頂面のユプスさんに、それを嗜めるように睨むフィプスさん。


「‥お二人って、もしかして双子なんですか?」


私の言葉にフィプスさんが笑って頷き、



「はい、俺が兄で、ユプスが弟です。以前はユプスと北の領土を守っていたんですけど、オルベル様がリニ様と結婚される話を聞いて、こちらで働きたいとお願いしたんです」

「そ、そうだったんですか」



ということは、私の為にここへわざわざ来てくれたってこと?

それで弟のユプスさんは怒っている‥のかな?チラッと正面で腕を組んでこちらへ睨みをきかせているユプスさんを見て、


「ええと、お兄さんには本当にお世話になっておりまして‥」

「当たり前だ!うちのフィプは優秀なんだぞ!!」

「こら!ユプス!!」


またもばしーーっと後頭部を叩くので大丈夫なのかと心配してしまう‥。

まぁ、うちの兄達も弟にはあんな感じだったけど、流石に部屋の隅まで吹っ飛ばすことはなかったしな。などと考えていると、ユプスさんはまるで反社の人のように足を組み、



「お前もオルベルやフィプを騙そうとしてんだろ」

「騙す‥?」

「だからユプス!リニ様は違くて‥」

「だって前に来た女は、「運命の相手は私だ!」とか言って、くっせー匂いをつけて来たじゃねーか!こいつもそうだろ?魔族だからって舐めてんだよ!!」

「え、運命の相手っていっぱいいるんですか???」



思わず横で聞いていたレーラさんを見上げると、ブンブンと首を横に振って、


「いえ、運命の番はこの世にはただ一人しかおりません。ただオルベル様はあの通り若く、力も強く地位もお金もあるのであらゆる所から女性が「私こそ運命の相手だ」と、やって来まして‥」

「なるほど。モテ過ぎて大変ですね」

「モテ過ぎているかは、甚だ謎ですが‥」


レーラさん結構ズバズバ言うんだなぁ。

でも確かにあの顔の良さだしな〜。強い上に、地位も名誉もあるんじゃ確かに世の女性は放っておかないよね。とはいえ、このままでは話が進まない。



「では、ベル様に何故私を選んだのか聞いてみましょう!」

「は?」

「私も何故こんな貧乏な王家の末娘を選んだのか謎でして‥。推測するにユプスさんが仰った女性陣から私を使って婚姻話を回避する為、とかかもしれません!」

「なるほど‥。それはあるな」

「はい!私もその線が濃厚かなって思うんです。と、なればですよ?まずは理由を聞いてからの判断でも遅くないと思うんですが如何でしょう?」

「‥‥まぁ、それなら」



良かった〜〜〜。

ちょっと納得して頂けたようだ。安心してからはっとした。お客様が来ているのにお茶も出さずに話してしまった‥!


「も、申し訳ありません。お茶も用意せず‥。レーラさん、すみませんがお茶の用意をお願いできますか?」

「ユプスさんには水でいいと思うのですが、リニ様がそう仰るなら‥」

「オイコラァ!!!」

「ユプス!!!!」

「まぁ落ち着いて‥」


レーラさんが茶色のお茶をユプスさんに渋々出していたけれど、もしかしてそれって普通のお茶?ジッとそのお茶を見てからレーラさんを見上げ、



「私もこのお茶頂けますか?」

「え!??飲むんですか?!」

「え?ええっと、はい‥」



すごく驚いたけど、もしかしてすごく苦いのかな?

レーラさんは心配そうな顔をして私にそっと同じ茶色のお茶を出してくれたけれど、ユプスさんとフィプスさんも私を心配そうに見つめた。え、あの、やっぱり飲むのやめるって言った方がいいの?飲んだ方がいいの?ドキドキしつつ、一口茶色のお茶を飲むと、



「あ、スースーして美味しい‥ミントのお茶みたいですね」

「美味しいんですか!?」

「え?」

「それ、苦くないですか?」

「苦くはないですね‥」

「人間って、味覚がちょっと違うのかもな〜」

「ユプスさんはグビグビ飲んじゃうんですね」

「俺はこの味が好きなんだ」



へぇ〜、味覚の違いってあるんだな。

私はこのスースーするミントを思わせるお茶、結構好きかもしれない。ただ飲んでいると段々と体が暖かくなってくる。このお茶って発汗作用でもあるの?


「‥‥なんか、このお茶ってホカホカするんですね」

「ホカホカ?」

「はい‥、なんだかホカホカ‥」


ホカホカどころかふわふわもしてきた‥。すると、カツカツと足音がしてそちらを向けばベル様が焦った顔でこちらへやってきた。



あれ?もう帰ってきたの?



「ベル様?」

「リニ?!どうかしたのか!様子がおかしいが‥」

「えへへ〜〜〜〜、大丈夫ですよ〜〜〜〜」



心配そうな顔をしたベル様。

魔物の群れをもう倒してきたのかな?そう聞きたいのに、頭がどんどんぼんやりしてきて考えられない。ええとそうだ安心して貰おう。手を伸ばしてベル様の頭を撫でると、一瞬空気が固まったような気もしたが、私はどうやらそのまま眠ってしまったらしい‥。あれ、お茶じゃなかったの???





お酒は20歳から!と、書いてから気が付いた。

まぁ、ファンタジーなんでいっか!

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