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8番目、生活する。27


部屋へ戻って早速着替えることにしたが、ほぼクローゼットの中はドレスかワンピース‥。畑仕事をするのにこれだと流石に汚しちゃうからまずいよねぇ。思わず服の前で腕組みをしてしまう。



「‥‥パンツって、ありますか?」

「パンツ、ですか?」

「はい、こんな可愛いお洋服を汚したらまずいかなぁって‥」

「いくらでも汚しても構いませんが?」

「こんな素敵な服を汚すのはちょっと‥。あ、そういえばシュナさんが隊服?ですかね、パンツを履かれていましたが、ああいうのってありますか?」

「ああいうズボンですか‥。キャロットパンツなら確かありましたね」



なんだか懐かしい単語が聞こえたぞ?

前世でいえば子供の頃に着ていた服だったなぁと思い出している傍で、レーラさんはクローゼットの奥からいくつか服を取り出し、


「本当ならこちらはもう少し仲を深めてからの方が、グッとくるかと思ったのですが‥」

「な、なんて???」

「いえっ、完全に独り言です。ともかくこちらなど如何でしょう?」


レーラさんが取り出してくれたのは、普通にズボンと言っても差し支えないベージュのキャロットパンツだった。



「わ、すごく良いですね!」

「形が可愛らしくて、こっそり作っておいたのですが良かったですね」

「え、レーラさんが作ったんですか?!」

「ワンピースやドレスだけではつまらないので!」



力説する辺り、お洋服が好きなのかな?

ともかく有り難くパンツを履けば、恐ろしいほどピッタリ‥。レーラさんに、こっちへ来るまで一度も会っていないのに何故こんなにサイズがピッタリなのか理由を聞きたいような、そうでないような‥。


ともかくパンツを着て、白いシャツも手渡されて着れば、そっちもぴったりだ。


「このシャツも作ったんですか?」

「‥‥それは少し違うルートから手に入れました」

「ルート‥」


薄暗い背景じゃないシャツなら良いけど‥、まぁレーラさんを信用して着るか。ともかくこれで畑仕事がバッチリできる!早速お母さんから貰った種の袋を持って中庭の方へ急ぐと、ベル様が驚いたように私を見つめた。



「もう外へ来たのか?ちゃんと休めたのか?」

「大丈夫です!せっかく畑を作って頂いので、取り掛かりたくて‥」

「そうか‥‥」



と、言いつつ私を上から下まで見たベル様は、ハッとした顔をしてレーラさんを見た。


「レーラ、これは‥」

「その通りでございます。ただ今は黙秘を貫きます」

「そうか‥」

「え、ちょっと待ってください!何?この格好って、やっぱり不味いんですか?マナーとか大丈夫ですか?あのっ遠慮なく言って下さいね!!」

「大丈夫だ。何も問題ない。それより畑の手伝いをしよう」

「ええ!??そ、そんな大丈夫ですよ」


ベル様だって魔物を倒したり、ノルチェに乗って疲れただろうに、その上で畑仕事とか申し訳ないんだが?オロオロする私に、ベル様は構うことなく畑にずんずんと向かうと、やおら片腕で鍬を持ち上げ、



「で、どうやるんだ?」

「ちょ、ちょっとお待ちを!」



それまず使い方間違えてますから〜〜!!

急いで農機具一式を見渡すとロープと木の棒がいくつか入っていた。これ、届けてくれた人わかってる〜〜!ちょっと感動しながら木の棒にロープを巻きつけて、一本の線になるようにそれぞれ立てた。よし、準備はできた!


「ええと、鍬を一度貸して貰っても?」

「鍬を‥持つのか?」


そんな幼い子に危険な物を渡せない‥みたいな顔をされても、これでも一昨日まで畑を耕していたので大丈夫ですよ?心配そうに私を見つめるベル様から鍬を手渡され、


「こうやって使うんです」


両手で鍬を持ち上げて、土を掘り起こしていけば一昨日ぶりの仕事なのにホッとする。やっぱり畑仕事は大変だけど癒されるよね〜。いつものように綺麗に畝を作り、達成感を味わった私はベル様の方を振り返ると、レーラさんと真剣な顔でこちらを見ていた。



「え、ええと、こんな感じで耕すんですが‥」

「わかった。そしてこれからは鍬を持つな。危険だ」

「え、えええ!??で、でもそれだと畑を耕せないし‥」

「大丈夫だ。大体わかったから今後は俺が耕す」

「それは流石に‥。お仕事で忙しいでしょうし」

「だが万が一鍬が頭に当たったら‥」

「逆に持っていてどうやって頭に?!足に当たるならまだ分かりますが‥」

「あ、足に‥‥!!!!その鍬をすぐに渡すんだ!!」



慌てて私の手から鍬を奪い取るが、怪我をさせたらまずいと思っているのか、思いのほかそっと奪われた‥。いや、大丈夫だってば。代わりとばかりにレーラさんがスコップを私にそっと手渡し、



「リニ様、よくぞ今までご無事に生きて下さいました‥!これから危険な物は持たないで下さい!私、こんなにヒヤヒヤしたのは初めてです!!」

「そ、そんなに!?」

「‥人間は本当に脆いからな」



‥これは、鍬で畑を散々耕したとか言ったらまずいかな?

本来空気は吸うものだが、あえて空気を読んで私はとりあえず曖昧に頷いておいた。





寝こけてしまった‥。

更新〜〜!って起きた私です。(そしておやすみなさい)

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