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8番目、妻(仮)始動!26


帰りはどうなるかと思ったけれど、無事にお屋敷に着いた。

ほっと小さく息を吐きつつ、ゆっくりと中庭へ降りるとフィプスさんとレーラさんがすでに待っていた。


「足元に気をつけろ」

「あ、はい」


ベル様が私の手を握って、そっとノルチェから降りればフィプスさんが驚いたように私を見て、


「リニ様、一緒に飛んできたんですか?!大丈夫でしたか?」

「は、はい。安全運転で飛んできたので?」

「「安全運転!??」」


フィプスさんとレーラさんが同時に驚きの声を発し、それからベル様を見て、


「オルベル様、安全運転できたんですね‥」

「いつもすっ飛ばすのに‥」

「いつもじゃない」


ベル様がすかさずそう言えば、ノルチェまで首を横に傾げた。

おお、ノルチェまでそんな反応なんだ!小さく吹き出せば、ベル様がじとっとフィプスさん達を睨んだ。


「‥キルシュナに会ってな。あとで魚が届くから夕飯に出してくれ」

「キルシュナ様に?!リニ様、大丈夫でしたか?」


フィプスさんにすかさず尋ねられたが、な、何が?

目を丸くしつつも、



「え、ええと、とても優しかったですが‥。あ!あとお友達になりました!」

「友達!??本当ですか?目の前で魔物を倒したり、血みどろのファイトとか繰り広げてませんね?」

「‥‥‥ええと、」



大きな魚の魔物?を、槍で突いて、ぶん投げましたけど‥、血みどろのファイトは繰り広げてないかな?



「魔物は倒してましたけれど、解体して届けてくれるそうです‥」

「オルベル様!??リニ様は人間なんですからね?目の前で魔物を倒すシーンなんて見たら失神してしまうでしょう!なんでそういうの上手く見せないように工夫しないんですか!!」

「だ、だが、今回は大丈夫だったぞ」



そうだよな?と、ばかりにベル様が私を見るので、また笑いそうになってしまった。まぁ、かなり驚きましたけど、怖さよりも驚きが勝ちましたね。あとはデリーさんの配慮のお陰もあるかな?


「えっと、皆さんよくして下さったので大丈夫でした!」

「リニ様、無理しなくて良いんですよ?怖いのを我慢してまで一緒に行動しなくていいんですからね?!そういう時は即、仰って下さいね!!」

「‥‥おい」

「だ、大丈夫ですよ?ベル様もええと、帰りはゆっくり帰って下さいましたし、」


「「え‥‥?」」


またもフィプスさんとレーラさんの動きが止まって、同時にベル様をジッと見た。なに?何かあったの?


フィプスさんは真剣な顔で私を見ると、



「‥‥名前を、そう呼べと強制されたんですか?」

「お前な!!!そんな訳ないだろう!ちゃ、ちゃんと確認を取ったぞ!」

「何言ってるんですか、その凶悪な顔で言ったら誰だって「はい」しか言えないでしょう!」



フィプスさんに言われて、ベル様が勢いよく私の方を振り向いたが、その顔が「そうなのか?やっぱりそうなのか?」と、心配と不安のごった煮のような顔をしていて、また吹き出しそうになった。どれだけ心配性なんだろ、この人‥。


私は小さく笑って、


「そんな事はないですよ。嫌な時はちゃんと言いますから安心して下さい」

「本当ですね?大丈夫ですね?」

「は、はい」

「じゃあ僕は、フィプで!」

「え、じゃあ、フィプさ、」

「おいこら!!」


ベル様がすかさず突っ込むと、フィプスさんが「いいじゃないですか〜」と、文句を言う様子を、レーラさんが呆れた顔で見て、



「リニ様、ともかくお疲れでしょう。一度休憩しましょう」

「あ、はい」

「オルベル様はノルチェにちゃんとお水を飲ませて、しっかり休ませてあげて下さい!ほら、フィプスはお茶の準備をしますよ」


「「‥‥はい」」



レーラさん強いな〜〜。

感心したようにレーラさんを見れば、可笑しそうに笑って、


「のんびりやっていきましょう。頑張りすぎると疲れてしまいますからね」


優しい言葉に胸がじんわり暖かくなって、「はい!」と返事をすれば、レーラさんはにっこりと微笑んでくれた。そうだよね、まだ1日。やっと1日だもんね。少しずつ慣れていこう‥と、中庭から部屋へ移動しようとしたその時、昨日ベル様が急遽作ってくれた小さな畑のすぐそばに農機具が一式置いてあった!



「農機具が!!!」

「はい。リニ様が出かけられた後、すぐに届きました」

「え、ちょ、あ、どうしよう‥。あのっ、一旦着替えたら畑をやってもいいですか?」

「もちろんです!それなら畑の方にお茶を用意しましょう」

「ありがとうございます!」



やったー!!早速畑に種を蒔ける!

ワクワクしながら、パッと後ろを振り返れば、ベル様がこちらを見ていた。なにかまだ用があったのか?ともかくまずはお礼である。



「ベル様、農機具ありがとうございます!また後で!!」

「あ、ああ‥」



王族らしかぬ行為とわかっていても、手をブンブンと振って嬉しさを表現した私‥。早速レーラさんと部屋へ戻ったが、ベル様の耳が真っ赤になっていたとか、そうでないとか。





今日も読んで頂きありがとうございまっす!!!


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