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8番目、妻(仮)始動!23


キルシュナ様から「ぜひお友達に!」と、嬉しい申し出を頂き、めでたく「シュナさん」、「リニさん」と呼び合う仲へ一気にステージアップした私。


しかし、私を抱っこしたオルベル様の眉間はそれは深く、マリアナ海溝よりも深いのでは?と、思わずその眉間を撫でてみたくなったが、15年ぶり2度目ましてな上に結婚(仮)して、まだ2日目だ。ここはそっとしておこう。


二人で今度はお茶でも‥と、約束し、デリーさんにしっかりお礼を言ってから私とオルベル様はノルチェに乗って帰ることになった。お魚は夕方までに家に届くそうなので、大変楽しみだ。



ノルチェの背中のソファーに、オルベル様にまたもお姫様のように座らせてもらい、小窓からシュナさんとデリーさんに手を振って、ようやくホッと息を吐いた。



「‥‥魔族って、すごい」



しみじみと呟いたが、本当にすごい。

あの体力も魔法も、本当に人間と桁違いに力が違うんだな。

魔族がその気になれば世界を支配できる‥とは、聞いた事があるけど、そりゃそうだとしか言えない。でもそれをしないのは、何か理由があったような、ないような?ずっと前にお父さんに聞いたことがあったような気がするんだけど、なんだったっけ。


「帰ったら魔族について勉強しなきゃ」


そうすればオルベル様の眉間のシワが深くなった理由もわかるかもしれない。小窓の外をもう一度見れば、シュナさんの町があっという間に小さくなって、海も少しずつ離れていく。


‥なんだか寂しいな。

あの海の風景は、まんま実家だったから。



「‥大丈夫か?」

「っへ?」



急にカーテンが開いて、オルベル様に声を掛けられたのでびっくりした。

さっきより眉間のシワが薄くなったオルベル様が、目をウロウロさせたかと思うと、


「少し早いが、もう少ししたら昼を食べよう」

「は、はい」

「あと、」

「はい」

「‥‥‥いや、やはりいい」

「は、はぁ」


なんだ?

やっぱり私が町にいる間に何かやらかしてしまったのか?

教えてもらおうとすると、パッとカーテンを閉めてオルベル様はノルチェの首の方へ行ってしまったのか、しばらく静かだった。魔族、わからない!



「こりゃヴェリ様の提案、本当に有り難すぎるな‥」



好奇心で結婚しちゃう私も私だが、私を何も知らないのに結婚しちゃうオルベル様もオルベル様だ。しかも双方種族が違うし、生活習慣も、考え方も寿命も違う。そう考えると、なんで結婚したかったんだろう?きっとその辺をしっかり話し合えってことなんだろうな。


そう思っていると、段々と地面が近くなっているのに気が付いた。


あれ?どこかに降りるのかな?

ゆっくりと丘のような場所にふわりとノルチェが降りると、オルベル様がカーテンをそっと開いた。


「‥ここで降りて昼を食べよう」

「は、はい」


オルベル様が手を差し出してくれて、その大きな手を握って小屋から出ると、緑の匂いがふわりと顔を撫でた。



「っへ?」



周囲を見れば大きな丘の上で‥、サワサワと優しい風の吹く場所だった。

シュナさんの町の方の海がギリギリ見え、反対を見ればオルベル様のお屋敷ある山々も見えた。すごい見晴らしのいい場所だ〜。


「気持ちいい場所ですね」


私がそう言うと、オルベル様は周囲を見ながら「‥海も山も見えていいかと思って」と、呟くように言った。考えてここを選んでくれたのか‥と、ようやく気が付いて、オルベル様をしっかりと見上げた。



「嬉しいです。ありがとうございます!」



元気にお礼を言うと、オルベル様はちょっと驚いたような顔をしてから、プイッとそっぽを向いて「別に」と言ったが、尖った耳の先が赤い。‥なるほど、今日も照れ屋だな。


私をヒョイッと抱っこして、ノルチェからぴょんと飛び降りたオルベル様は近くにあった大きな木の下に連れていってくれたので、早速地面に座って鞄に詰めてもらったお弁当の包みを私は取り出した。


「オルベル様、早速食べましょう」


ポンポンと私は自分の横を手で叩くと、オルベル様は戸惑ったような顔をしながらそっと横に座ってくれたので、包み紙をオルベル様に早速手渡した。そうして、包み紙を開けば、朝ご飯で美味しそうだけど食べ切れなかったおかずが綺麗にサンドされたのが出てきた。



「うわーー!美味しそう!!あ、でもこれだと半分こにできないですね」

「え、」

「ほら、食べる前に旦那さんがパンを割いてくれるんですよね?でも、これだと難しいですよね。こういう時はどうするんですか?」

「旦那‥‥」



私の問いにオルベル様の耳が一気に赤くなったかと思うと、オルベル様は持っていたパンの包みを私のパンにちょんっとくっ付けた。


「これで、大丈夫だ‥」

「なるほど、乾杯みたいにすると!」


魔族の風習って面白いな〜〜〜!

感心しながら早速サンドイッチにかぶりつくと、大変美味しい!嗚呼、良い景色を見ながらの昼食って最高だわ!と、未だ耳が赤いオルベル様の隣でもぐもぐと食べる私であった‥。





誤字脱字報告いつもありがとうございます!(どんだけ間違えているんだってね‥)

めちゃくちゃ助かっております〜〜!

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