表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/74

8番目、妻(仮)始動。22


オルベル様に抱っこされ、キルシュナ様とデリーさんと一緒に珍しい魚や貝が採れるという洞窟へ向かったけれど、よく考えたら皆さん警護の人達っていなくて大丈夫なのかな。


いや、オルベル様最強って言われてるし問題ないか‥。

だがこの現状は恥ずかしい‥、なんて考えつつ港を囲っている入江の道を歩いていると、目の前にレンガで作られた丈夫そうな橋があり、その手前の崖にぽっかりと大きな穴が見えた。


もしかしてこれが洞窟の入り口かな?

道の途中に突然穴があるからうっかりすると見落としてしまいそうだ。



「リニ様、これが洞窟です」

「こんな港のすぐ近くにあるんですね」

「はい!子供時代はよくこちらでも泳ぎました」

「洞窟の中で泳ぐのも楽しそうですね!」



そう言うと、キルシュナ様が笑って「結構お転婆だったのでそう言って頂けると嬉しいです」と、笑った。大丈夫、私は今でも泳ぐ。洞窟へ入ればヒンヤリとしていて、橋の向こうまで一周できるように道が整備され、その道から下の岩場に降りる階段もあった。


「こちらから降りて、貝を採ったり魚を釣ってたんです」

「へぇ!結構深そうですね」


キルシュナ様が指差した岩場の海の中を覗き込めば、結構深そうで‥、外からの光を受けてユラユラと底の白い砂が見える。この辺の下の砂は白いんだなぁ‥と、見ていると、一瞬何か黒いものが目の前を通り過ぎた。



「キルシュナ!!」



オルベル様が突然名前を呼ぶと、「はい!」と、キルシュナ様が返事をし、一瞬で手の中に大きな槍が出てきた。槍?!どこから出したの?それも魔法?!驚く私の目の前に、ザバッっと水中から大きなサメのような魚が飛び出した。


「んぎゃ!???」


スローモーションのようにこちらへものすごく大きな口を開いて特攻してきたサメに、目を見開いた瞬間、



キルシュナさんの槍がその口の中に槍を、ものすごい勢いで投げつけた。



「え、」



ドスッという鈍い音と共に、


「でぇえええええええい!!!!」


キルシュナ様の雄叫びと一緒に、槍と大きな魚‥と、いうよりサメが私の目の前を横切り、向こうの岩場へ吹っ飛び、岩に打ち付けられる瞬間にピタッと動きを止めた。



「え?え??」

「見ましたか?リニ様、すっごく大きい魚が採れました!」

「な、なるほど!見ました‥‥?」

「沖の魔物を倒したのを気付いて動き出したのかもな。だがちゃんと魔法を使え。傷が付いたら食べられなくなるだろ」

「そうでした。ありがとうございます!」



キルシュナ様がついうっかり!と、いった顔をするので、これが魔族の通常なの?


そろりと斜め横にいたデリーさんを見れば、ブンブンと首を横に振っていた。うん、どうやら違うらしい。大きな魚と言われた方へ、キルシュナ様はひょいひょいと軽い足取りで進むと、重そうな槍と魚を軽々と持ち上げ、


「これもついでに持っていかれますか?美味しいですよ!」


純度百パーセントの笑みで申し出てくれて、横でデリーさんが小さな声で、「あの、ちゃんと解体してから送りますので!!」と、声を掛けてくれたのでそっと頷いた。



魔族、すごい。



昨日はドラゴンの急加速に驚いたが、強さにも驚きしかない。実家にどう手紙に書くべきか悩むな。と、デリーさんが気を利かせて、


「魚も獲れましたし、一旦戻りましょうか!!」


と、声を掛けてくれて私は大賛成で頷いた。

今日は魔族の世界をこれ以上受け止めるのが難しそうだし‥。



そうして、町の方へ戻りつつキルシュナ様は、自分の領地とオルベル様の領地が近いので、何かあるとお互いに助けに行っていると教えてくれた。ああ、だからなんだか気安い関係だったんだな〜。


「そういえばリニ様は、お幾つなんですか?」


私の歩幅に合わせつつ、ゆっくり歩いてくれるキルシュナ様に元気に、


「18歳です!」


そう答えた瞬間、ビシッと空気が固まった。



「え‥、18?18!?あ、赤ちゃん‥!??」

「人間だと一応大人なんですが‥」

「し、失礼しました!!そう、なのですね?!」

「キルシュナ様はお幾つなんですか?」

「164歳です」

「え?!!164歳!??」



今度は私が驚いた。

横でデリーさんがそっと「人間でいえば、リニ様と同じ年頃です」と教えてくれた。デリーさん、さては優秀だな?しかし魔族って長寿なんだな‥。そっか〜、じゃあ同年代ってことか。


「では、同年代‥と、いうことなんですね。嬉しいです」


と、話をいい感じにまとめると、キルシュナ様はパアッと顔を輝かせ、


「あのっ、それでは今後は友人としても、お付き合いして頂けますか?」

「いいんですか?!もちろんです!」

「で、では、気軽にシュナと呼んで下さい!」

「ええ?!いいんですか?じゃあ私も気軽にリニで‥」

「じゃ、じゃあ、リニ‥さんで!」

「はい、シュナさん!」


わ〜〜、お友達になってなんて可愛い〜〜!そして嬉しい〜!

誰も知らないこの土地に来て、いきなり友達ができてしまうなんて、幸先良すぎない?嬉しくてニコニコしてしまう。



今回もしっかり妻(仮)として行動できたのでは?

そう思ってオルベル様を見れば、眉間のシワが過去一深くなっていた。あれ?なんで?何かまずかった?





キルシュナさんの得意な武器は槍で〜す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ