表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/73

8番目、妻(仮)始動!18


ドラゴンに乗るのは怖いだろうから、早めに着くようにかっ飛ばす。


わかりやすく言えば、そんな感じで現在港町まで飛ばしてくれているオルベル様。その配慮、有難いんですけど、どこか違うような気がする。でもその不器用さが面白いけど。


小窓の外を見れば、足元の風景がグングン変わっていくのがわかる。畑や家が昨日より低く飛んでいるのか良く見えた。目を凝らせば乾いた土の道を人が歩いている姿まで見えてワクワクする。


魔族も普通に歩くのか‥。


まだ王様とオルベル様、レーラさんにフィプスさん、エルザさんとしか会ってないから実感が湧かなかったけれど、ちゃんと人(?)は確かにいるんだな。


魔族についての本を昨日せっかく貸してもらったのに、ドラゴンに乗って気絶しちゃったから‥。まぁ、これから色々知っていけばいいよね。昨日と違ってワクワクした気分で窓の外を見ていると、先の方に青く光る海が見えた。



「海だ‥!」



実家でよく見ていた景色が見えて、ソファーから前のめりで見てしまう。


やっぱりいつも見ていた海が見えると安心する。

オルベル様の家から見える綺麗な庭園や大きな湖もなかなか素敵だけど、オルベル様はああいう場所、好きなのかな?そんなことを考えていると、またカーテンが少しだけ開いて、オルベル様が顔を出した。


「あと15分くらい、大丈夫そうか?」

「全然大丈夫です!あの、心配して頂いてありがとうございます」


私の言葉にオルベル様はわかりやすいくらいホッとした顔をすると、


「‥何かあったら言ってくれ」


と、言うとまた顔を引っ込めた。

‥フィプスさんに怒られたみたいだし、反省しているんだろう。それはとても有難いけれど安全運転で行こうねって言っておけば良かった?まぁ、徐々に伝えていけばいいか。


そうこうしていると、少しずつ高度が下がっていくのに気が付いた。お、そろそろ降りるのか。


小窓から外を見れば、町の広場らしき場所が見える。

そうして住人の人達だろうか、こちらを指差して見ているけれど、あんなに人がいてドラゴンが降りられる場所ってあるのかな?キョロキョロと周囲を見るけれど、人がどんどん集まってきて、どう考えても降りるのが難しそうだ。


と、カーテンがパッと開き、



「着いた。行くぞ」

「え、でもまだ空を飛んで‥」

「大丈夫だ。こっちへ来てくれ」



オルベル様が手を差し出し、もしかして転移して降りるのかもしれないと思った私は大きな手を掴むと、


「抱き上げるぞ」

「っへ?」


ヒョイッと横抱きされた私は目を見開いた。

え、なんでまた抱き上げる?!というか、さっきフィプスさんに言われたから一声かけてくれたのはわかるけど、了承してからにして‥と、伝えようとすると、



「降りるぞ」

「っへ?」



ノルチェの背中をツカツカを歩いたオルベル様と、一緒にまだどう考えても5階建くらいのビルから落下する私と、オルベル様。


「でぇええええええええええええ!!!??」


どんなジェットコースター!??

ふわっと体が浮き上がる感覚が怖すぎて、オルベル様の服をギュウッと握って「終わった‥」と、思っていると、スタッと地面に降りた音にそっと目を開けた。あれ?スプラッタしてない?生きてる??



「着いたぞ」

「着いた‥‥?」



しれっとした顔でオルベル様が言って、私は呆然としながら空を見上げれば、ドラゴンのノルチェはすぐ横の大きな建物に着地していて、周囲の人達は驚いた顔でオルベル様を見ていた‥。


「あの、いつもこんな感じで視察をしているんですか?」

「いや、今日は早めに着いた方が怖くないかと思って早めに降りた。普段はノルチェと一緒に降りる」

「そっちで!!もう怖くないので、次回はノルチェと降りましょう!!」

「そうか?でも、この方が早いぞ」

「いえ!!もう本当全然お構いなく!!」


オルベル様‥、配慮は有り難いけど、やり方ぁ!!

これフィプスさんが見ていたら絶対横から突っ込んでいたと思う‥。よ、良かった、この場にいるの私とオルベル様だけで。いや、でも怖かったから注意しておくべき?


チラッとオルベル様を見上げると、ぱちっと目が合った。



「‥‥このまま歩くか?」

「え?」

「‥‥その、服を、」

「服?」



オルベル様の胸元を見れば、さっき降りる時に怖くて咄嗟にぎゅうっと握りしめていたけれど、そのままだった私の手。わわ!!皺になってないかな!慌てて手を離して、皺を手でそそっと直してみた。うん、まぁわからない?


私ときたら怖くてずっと握っていたのか‥。しかもそれに気が付かないとか、恥ずかしい。


「あの、ご迷惑をお掛けしてしまってすみません。もう大丈夫なので歩きます」

「‥‥そうか?」


何故そんな残念そうに言うのだ。

視察に来ておいて、奥さん抱っこしたままじゃダメでしょ。

オルベル様をまじまじと見つめ、


「お仕事の邪魔しちゃいけませんからね、ちゃんと歩いていきますよ。で、どこに向かうんですか?」

「あっちだな」


オルベル様は早速歩き出すので、



「いやだから歩きますって!!」



と、叫んだ私であった‥。





一回くらい空を飛んでみたいな〜。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ