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8番目、妻(仮)始動!16


ドラゴンの急上昇と、急加速で気を失ったが、そのお陰で昨日結婚(仮)した15年ぶり、2度目ましてのオルベル様の笑顔が見られたので、良しとした私。


二階にも食堂があり、そこは昨日より小さめの部屋でなんだか安心する。


でかい空間は、ちょっとドキドキしてしまう‥貧乏王家の末娘。これくらいなら落ち着いて食べられそうだ‥と、ほっとして白いテーブルクロスが掛けられたテーブルに座るが、あれ?今日もお祝いの席だったっけ?と、思うくらいの品数が並べられ、私は目を見開いた。



「‥何か嫌いな物はあるか?」

「多分大丈夫だと思いますが、それ以前に量がすごいなって‥」

「食べられないなら残せばいい」

「え、もったいないですよ」

「もったいない‥?」



もしや残さず食べるという概念がない?

貧乏だった我が家からしたら、一年に一回あるかないかくらいの食事量に恐れおののいているのだが‥。とりあえずできる限り残さず食べよう!と、気合いを入れると、オルベル様は一つパンを取って、それを割いて、半分を渡してくれた。



「っへ?」

「ああ、こっちの食べ方だ。お、夫が妻に、そのパンを割いて渡してから、食べ始めるんだ‥。昨日は、その、ちゃんとできなかったから」

「そうなんですね!他には何か食事のマナーや、ルールはありますか?」

「十分に食べたら自分のナプキンを膝の上で畳む。だが、それはそちらも同じだろう」

「そうですね。「美味しかったです」と言ってから畳んで終わりにしますね」

「そうなのか‥、気持ちを伝えてから食事を終えるのは良い習慣だな」



オルベル様の言葉にレーラさんも小さく頷く姿を見て、ちょっとだけうちの国を褒めてもらった気持ちになって、ついニマニマしてしまう。分けっこしたパンもより美味しく感じられるというものだ。


パンをもぐもぐと食べていると、オルベル様が私をチラチラと見て、


「その、視察のことだが‥、今日は港町の方へ行こうと思っている」

「港町!どんなところなんですか?」

「水の軍の管轄なんだが、魚がよく獲れる場所だ。一度顔を見せに来て欲しいと言われてて‥ここからだとドラゴンに乗って一時間くらいの場所だ」


なるほどドラゴンなら一時間。

まぁ小屋に乗っていけば乗り心地は良かったから大丈夫かな?


「‥‥大丈夫そうか?」


オルベル様が眉間にしわを寄せながら心配している‥。

器用だな〜〜と、感心しながら頷くと、またも安心したような気配がする。‥眉間のシワはすごいけど。



「えっと、何時頃に出発しますか?」

「あと10分後だな」



今、朝食中だが???

レーラさんがすかさずオルベル様を睨むと、「30分後で‥」と、言い直した。

これだけあるのをあと30分後に食べきれるとは思わないんだが‥。と、思っていたが、オルベル様は大きな口でもりもり食べている。なるほど、あの大きな口だと10分で終わってしまいそうだ。


それなのに私に合わせようとして、うっかり忘れるところ面白いな。


これも魔族ゆえ?それともオルベル様だからだろうか‥。できるだけ早く食べようと頑張ったけれど、並んだおかずが全然減らない‥。そもそも食べ切れない!申し訳ないけれど、ギブアップさせてもらおう。



「あの、美味しかったです」



そう言ってナプキンを畳めば、レーラさんとオルベル様が驚いた顔をして、


「リニ様、まだゆっくり食べていていいんですよ?」

「そんな量で足りるのか?」

「い、いや、十分ですよ?それよりも残してしまって、すみません‥」


私の言葉にレーラさんとオルベル様が顔を見合わせ、


「人間が少ししか食べないというのは、本当だったんだな‥」

「ええ、フィプスが言ってた事は本当なんですね」


そんなしみじみと感心しなくても‥。

私はそれより残ったご飯が心配だと話すと、レーラさんがポンと手を叩き、



「それでは外で食べられるよう、いくつか包んでおきます。ピクニックも出来て、食材も無駄にしない!いかがでしょう?」



あ、それいいかも。

するとオルベル様は私を見てから、


「採用だ。すぐに包んでおいてくれ」

「かしこまりました!」


判断早いな〜。

でもまぁ、食材を無駄にしないのは良い事だ。

今度から残りそうになったら、包んでもらって外で食べるっていうのはいいかもしれない。オルベル様はチラッと私を見て、


「‥‥ピクニックは、した事はあるのか?」

「それはもう」


私が笑って頷くと、オルベル様の後ろから黒いオーラがブワッと立ち上がった気がした。ん?何かまずい事を言ったかな?



「‥誰と、出かけたんだ?」

「家族ですよ。畑の世話をするついでによく外で家族と食べました」

「‥なるほど」



一瞬で、黒いオーラがこれまた消えたように感じる。

‥ピクニックに何か思うところがあるのだろうか‥。少しだけ安心したような顔をしたけれど、一体何を考えているのだろう。うーーん、魔族、わからない!!!





今日も読んで頂きありがとうございまっす!!!

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