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8番目の結婚(仮)生活。13


私とオルベル様が隣の部屋で続いていたことにも驚きだけど、そもそも私結婚((仮)したんだっけ。オルベル様は、ちょっと目を彷徨わせてから本を2冊差し出した。



「頼まれていた本だ‥。魔族について色々書いてある」

「あ、ありがとうございます!」

「それと畑だが作ってみた。確認するか?」

「え、もう!??」



まだ1時間くらいしか時間が経ってないけど?

とにもかくにもまずは確認だ。急いで机の上に本を置き、早速オルベル様と一緒に中庭へ行くと、中庭の端っこの木の下に茶色の地面が見える!


「ええ、すごい!!」

「農機具は、明日には届く」

「え、農機具まで??!」

「どうやって耕そうとしたんだ‥」


畑ができたら木でも削ってスコップを作ろうかな‥と、思ってた。

私を心配そうに見つめたオルベル様が「遠慮するな」と言ってくれたけど、いや〜〜、だって結婚(仮)してまだ半日しか経ってないのに、お願いし過ぎるのもどうかな〜と思って?


でも、畑スペースがある!

それだけで私は嬉しいし、安心で口元が一気に緩くなる。



「オルベル様、ありがとうございます!!」

「あ、ああ‥」

「何を植えようかなって考えてたんですよ!あ、お野菜だったら何が好きですか?玉ねぎ、人参、ジャガイモと、葉野菜にしようかと考えてたんですけど‥」



ワクワクした顔でオルベル様を見上げれば、オルベル様は少し呆気に取られた顔をしてから、眉間にシワを寄せ、「‥‥‥‥カボチャ」と、小さい声で教えてくれた。カボチャか〜〜!確かに煮ても焼いても揚げても蒸しても美味しいよね。


「じゃあ、カボチャ育てますね!!」


3ヶ月か4ヶ月かかるけど、その頃なら食べられるだろう。

さっきまで何にもすることがなくて暇だな〜と、思っていただけに、うずうずしてきた。やっぱりナイフで木を削ってスコップでも作ろうかな。



「‥野菜が、そんなに好きなのか?」

「そうですね。なんでも美味しく食べます。あ、でも今日お昼に食べたお肉もすごく美味しかったです。魔物って食べられるのと、食べられないのがあるんですか?」

「‥多少は。食べられなくても加工品として使うこともある」

「へ〜〜〜!!やっぱり海外なんですね。‥って、あれ?この国って言葉が違うはず‥」



今更ながらにハタッと気がついた。

自分の島だって小さな島なのに、訛っていたり、方言も違っていた。

それなのに海を隔てた国に来て、言葉が通じるってどういうこと‥?私が首を傾げると、オルベル様がプイッと横を向いて、


「魔法を掛けてある‥。あと、そのチョーカーをしておけば、他言語もある程度は理解できる」

「え!??魔法って、万能ですね?」

「そうだな‥」

「私も魔法が使えたらなぁ‥」

「練習してみるか?」

「練習したら使えるんですか?」


ワクワクした顔でオルベル様を見上げれば、またも目をあちこち彷徨わせつつ「恐らく‥‥」と、呟くように言った。え、できる?できない?どっちなんだい?


「じゃあ、魔法ももし良かったら教えて下さい」

「ああ」


すかさず頷いてくれて、何だか面白い人だなぁと小さく笑ってしまう。

こんな感じなら半年間もあっという間に過ぎていきそうだ。と、思っていると中庭が不意に暗くなった。



「ん?」



雲が太陽を隠したのかな?

顔を上げれば、黒いドラゴン‥ノルチェがこちらへバサバサと大きな翼をはためかせ、こちらへ降りてきた。お、おお、やっぱり飛んでくると迫力ある!驚いていると、オルベル様が私をチラッと見て、


「一緒に乗ってみるか?」

「へ?」

「‥‥明日、視察に行くしな」

「あ、そうですね」


でもノルチェの背中の小屋に一緒に入れるかな?

と、思っていると、オルベル様は私をヒョイッと縦に抱っこしたかと思うと、ピョンとそれは軽くジャンプしたのに、ノルチェの首元まで結構な高さがあるのに上手に着地した。



「え、」

「腰に捕まっていてくれ」

「え、」



よくよく見ればノルチェの首元には丈夫そうな革で出来た手綱が付いていて、それをオルベル様が手首にクルクルと巻いたかと思うと、ギュッと引っ張った途端、ものすごい重力と共に一気に空へ飛んだ。



「わぁあああああああ!!!!???」



こ、怖い!!

怖いんだけど!!!

オルベル様の腰に、それはもう渾身の力を込めて抱きつけば、オルベル様の体がカチッと固まった。な、なに?今度はなに?オルベル様の腰にしっかり抱きついたまま、そろっと顔を見上げれば、オルベル様の耳の尖った先が真っ赤だ。


あ、照れてる‥?

でも私は、逆に怖くて真っ青なんだけどね。



「と、とりあえず、飛ぶ」

「え?」



そう言った途端、今度はものすごい横に重力が掛かり、風がバシバシと顔にぶつかり、痛過ぎて目も開けていられない。これは‥‥死ぬ!!!私は、オルベル様の腰を何とかべしべし叩いて、



「落っこちます!!!」

「え?」



そう叫んでから、私の記憶はない。

いや、もう、だって色々無理だからーーーー!!!!




シートベルト無しの運転危険だもんね‥。

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