8番目と、夫(仮)の約束。
ベル様視点です〜。
昼食を終え、帰ることになったリニと俺。
ノルチェの方へ行こうとすると、リニの母親が分厚いブランケットを持って駆け寄ってきた。
「リニ!あんたすぐに布団を蹴っ飛ばすんだからブランケット持っていきなさい」
「ええ〜〜、大丈夫だよ」
「リニ、お前魔族について全然知らなさ過ぎるからこの本を持ってけ!」
「ええ〜〜、分厚い‥‥」
「リニ!ともかくしっかり話し合いをするんだよ。あと手紙もマメにな」
「結構マメに送ってるはずなんだけどなぁ〜」
母からブランケットを。そして兄から本を、父親から手紙セットを束でもらったリニ。あんな風にあれやこれやと世話をやく親や兄弟を見て、驚きと同時に羨ましさもある。自分の幼い頃の親の記憶なんて、母に詰られたり、「こんなはずじゃなかった」と泣かれた記憶だけだ。
ヴェリとリリオンと出会ってから大分環境は変わったが、どこか遠くの風景を見ているような気持ちになっていると、リニの母親が俺の方へやってきて、紙袋に包まれた大きな物を差し出した。
「オルベル様も良かったらこれを使って下さい!」
「これは‥」
「うちの羊の毛で作った毛布です!冬は暖かくていいんですよ。あ、ちょっと冷えるなら夏場でも使えます」
ニコッと微笑むリニの母親の顔をまじまじと見ると、当たり前だけどリニに似ているな‥と、思う。言葉も笑顔も気遣いも。ふわりと暖かく感じる毛布を受け取ると、心の奥までじんわりと暖かくなっていく。
「‥‥ありがとう」
「ふふっ、どういたしまして!」
リニがそわそわした様子で俺を見上げ、
「あのっ、すごく暖かいので本当にオススメです!」
「そうなのか。使うのが楽しみだ」
そう話せばリニは自分のことのように嬉しそうに微笑むので、今度は自分がそわそわしてしまう。運命の番相手だから‥と、いうよりリニだからなのかもしれない。
そばにいてくれる事が嬉しい反面、家族の暖かいやり取りを知らない自分がリニをちゃんと幸せにできるだろうか‥と、不安はあった。ただでさえフィリのいう通り俺は魔族でリニは人間だ。生きている時間も、考え方も体も全部違う。そこを指摘されてしまったら‥と、思うとリニの実家へ行こうと言ったものの緊張した。
もしリニに里心が出て「やっぱり結婚は嫌だ」と言われたら‥。
断られ、離れていってしまうこと、それを考えたら足がすくむ。
あんなに強い敵と戦ってきたのに、失いたくない人がいるだけでこんなにも弱くなる自分に驚く。
「ベル様〜、ノルチェの小屋に先に入っていいですか?」
「あ、ああ」
慣れてきたのかノルチェの小屋の方へ歩き出すリニを、リニの母親が「落ち着きないわねぇ」と笑うと、俺を見上げた。
「お互い知らないこともありますけど、少しずつこれからも教えてもらえると嬉しいです」
「‥‥ああ」
「あと本当に親の私が言うのもなんですけど、リニはいい子なんで大事にしてやって下さい」
「それはもちろんだ」
「ふふ、頼もしいです」
嬉しそうに笑うリニの母親の笑顔に気が引き締まる。
こんな風に愛されて、大事にされてきたリニ。俺も大事にしなければ‥と、考えていると、
「人間は結婚した相手も息子のように‥家族のように思うんですよ」
「え?」
「あ、それが嫌って人もいるんですけど。私はオルベル様も大事な息子のように思っております。だから二人が幸せだともっと嬉しいです」
母親の隣に父親がやってきて、控え目に微笑んで俺を見上げる二人に、ぐっと目の奥が熱くなる。
「‥‥二人で幸せになる」
俺の言葉に二人が破顔すると、ノルチェが待ちくたびれたように翼をばさりと動かした。後ろを向けば、リニが小屋のカーテンを大きく開けてこちらを手招きしている。小さく会釈してからノルチェの背中の小屋へ入ると、リニが「何を話してたんですか?」と、首を傾げた。
沢山の幸せな気持ちを教えてくれたリニの話だ。
そう言いたかったけれど、うっかりすると泣いてしまいそうで、俺はリニの頬をそっと撫でるだけにしておいた。と、ノルチェがバサバサと翼を動かし始め、俺はリニの小窓のカーテンを開けると、三人が手をこちらへ振っている。
「‥またここへ来よう」
「は、はい!」
「俺も、リニの家族に会いたいしな」
そう言うと、驚いたような顔をしたリニがさっきの母親のように嬉しそうに笑った。ああ、この顔を何度も見たい。ずっと見たい。そう願いながら、家族に見送られ色々な土産をどっさり貰った俺達は家に帰ったのだった。
一旦ここで小休止いたします〜!
なにせ延々と書いてしまう私。放っておいたら300話いきますからね‥。他の作品のキャラ達からも続きを書けと催促されているので、そちらにも取り掛かりたい思います!続きはまた書く予定ですので、また読んで頂けたら嬉しいです(^^)ここまで読んで下さりありがとうございます!!いいねやブクマ、暖かいメッセージなど是非是非!!!!(渇望)




