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8番目の初恋。  作者: のん


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137/138

8番目、夫(仮)と収穫体験。134


無事に美味しいジャムが出来上がってホクホクの私。

収穫は黙々と‥だったけど、ジュースもジャムも作れたし、なかなか充実した時間を持てたのではないか?心の中で自画自賛したけれど、ベル様はどうだったかな?


畑から家に戻って一緒にキッチンのすぐ横にあるテーブルでお茶を飲んでいると、お母さんが籠にジャムとジュースの瓶を入れて持ってきてくれた。


「オルベル様、こちらの籠にジュースとジャムを入れておきましたから、お食事の際に召し上がってくださいね」

「ああ、ありがとう」


嬉しそうに籠を受け取ったその時、疲れた顔のお父さんとフィリが帰ってきた。



「あ、お帰りなさい!」

「ただいま‥。ああ、オルベル様、今回は本当にご迷惑をお掛けしてしまって」

「いや。それより倒れていた方は‥」

「そちらは気を失っていただけで大丈夫でした」

「お父さん、香木をどうやって手に入れたのかは聞けたの?」

「ああ。なんでもたまたま港にいた業者が動物を追い払うのに効くらしい‥くらいの説明で買ってしまったらしい」

「え」



そんな薄っすらとした情報だけで香木を使ったの?!

驚く私にフィリが眉を下げ、


「あの兄さん、いっつも適当だからなぁ‥。しかもしこたま飲んでた時に買ったからどんな業者で、どこに行ったかもわからないらしい」

「ええ‥」

「ともかく周囲に通達は出して、万が一買った覚えのある人には危険だからすぐに報告をして欲しいって伝えておいた」

「そっか、じゃあ大丈夫かな?」

「大丈夫じゃないと困る!でも、オルベル様のお陰ですぐ対策をたてられたのでとても助かりました」


フィリに急に話を振られたベル様は驚きつつも「役に立って良かった」と、嬉しそうに言うとフィリは目をちょっとウロウロさせてからベル様の隣の席に座った。


そうして、真っ直ぐにベル様を見て、



「うちのリニとはちゃんと結婚、するんですよね?」

「ちょ、フィリ?!」

「呑気だし、無茶する事あるし、でも畑仕事を年頃の女の子なのに嫌がる事なく手伝ってくれて、王族だってのにさっきのように軽んじられることもあって‥、これ以上我慢も辛い想いもさせたくないんです」

「フィリ‥」



さっき結婚をやめろって言ってたけど、もしかしなくてもめちゃくちゃ心配してくれてたの?自分はそんなに我慢も辛い想いもしてないと思ったけれど、予想外の言葉に驚いた顔でフィリを見ると、ジロッと睨まれた。


「大事な妹なんだから心配するの当たり前だからな!?ちゃんとわかってるのか?兄ちゃんだって今回仕事がなければ駆けつけてたって言ってたし‥」

「あらあら兄弟仲良しねぇ」


お母さんがあはは!と笑うと、ベル様は意を決したようにフィリの方へ体を向き直し、



「全力でリニを幸せにする」



きっぱりと言い切ったベル様に顔が一気に赤くなる。

するとそんな私をフィリが真剣な顔で見つめ、


「リニもちゃんとオルベル様と支え合っていくんだぞ!それでなくても種族が違うんだ」

「うん‥」


いつも年の近い兄のフィリと喧嘩もすることも多かったけれど、そんな風に気にかけてくれる言葉に胸の奥がジンとする。私、本当に大事に育ててもらったんだなぁと感動していると、



「結婚したら年も取らなくなるし、人間のままだから魔法も使えないし‥」



と、言われて目を見開いた。

ちょっと待て!今なんて言った!?年を取らない?人間のまま?私がぽかんとした顔をすると、フィリは私を見て、


「お前、知らなかったのか!?」

「え、え?」

「オルベル様!??」

「あ、いや、結婚はしているが、その、王からの正式な許可が3ヶ月後に出るので、その時に言おうかと」

「一番大切なところでしょう!!!」

「す、すまない」


フィリがベル様に注意するのでお父さんはオロオロし、横で聞いていたお母さんは「そうなの?」とお茶を飲みつつ聞いてくるが‥、私も初耳です。驚いている私にベル様が眉を下げ、



「その、黙っていた訳じゃないんだが‥、伝えるのが遅くてすまない」

「いやぁ、色々ありましたしね‥。でも正式に結婚すると年を取らないって本当、なんですか?」

「ああ‥。今はまだ普通の人間だが、結婚をすると俺と同じだけ生きる」

「じゃあ、ずっと一緒に生きられるってこと、ですか‥?」



ベル様がコクッと頷いたのを見て、私の心が一気に軽くなる。

だってずっと私が先にお婆ちゃんになって、ベル様に見送られると思ったから‥。


「良かったです‥」

「え?」

「ちょっとだけ引っかかってたんです。私、先にお婆ちゃんになっちゃうけどいいのかなぁって」

「ほら、オルベル様!説明は大事でしょう!!」

「すまない!今度から気をつける」

「今度は早めにお願いしますね。でも、そっか、安心しました」


私の言葉にベル様が今度は目を丸くした。

まったく!説明は大切なんですからな?私は笑って、ベル様の大きな手を握ると、ベル様の耳先がパッと赤くなった。



「じゃあ、年を取っても一緒に幸せになりましょうね」

「‥ああ!もちろん!」



良い返事に満足して笑顔になると、お父さんとお母さん、フィリが同じように笑っていて‥。果物の収穫体験のはずが、ものすごい体験になってしまったなぁなんて思った。まぁ、まだまだ結婚生活(仮)は始まったばかり!だけどね。





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