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8番目の初恋。  作者: のん


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134/138

8番目、夫(仮)と収穫体験。131


ベル様と一緒にブルーベリーを摘んで、ご飯を食べていた場所へ戻ると、テーブルにぐったりした顔のフィリとお父さんにお母さんがお茶を淹れていた。


「フィリ、お父さん、大丈夫?」

「‥‥あ、ああ。すみません、オルベル様。うちの島民がご迷惑を」

「ああ、それは大丈夫だ。それより薬はどんな物だったんだ?」


ベル様の言葉に、フィリとお父さんが顔を見合わせた。

そうだ!それ私も気になってたんだ。魔族の国のやつ‥とか言ってたけど、本当にそうなのか?フィリはちょっと困ったような顔をして、



「なんでも木の塊のような物らしいです。おじさんが隣のせがれに使うのをやめろと話したら、枯れた木をバケツにしまってたと‥」

「枯れ木‥?」

「なんだか変に甘ったるい匂いがしたと言ってました。実物をこっちに持ってきたかったそうですが、流石にそれは憚られたらしくて」



ベル様がフィリからの話を聞いて、はっとした顔をした。


「動物避け‥と、聞いて焚いていたと言ってたな」

「は、はい」

「もしかしたら、それは魔物寄せの香木かもしれない」


「「「魔物!???」」」


私とフィリ、お父さんが一斉に叫ぶとベル様は少し驚いた顔をしつつ頷いた。


「大型の魔物をおびき寄せる為に、周辺の動物を酩酊状態にするんだ」

「よ、酔っ払い?!」

「魔物が餌を食べやすい状況を作って、巣から出てきたところを仕留める」

「な、なるほど?!」


すっごい手法だな?!じゃあ、さっきのイノシシも鳥達ももしかして酔っ払ってたから変に興奮してたのか?するとフィリがサッと青ざめた顔をして、


「魔物って、危険じゃないですか!すぐに隣のせがれの所へ行かないと!」

「でもここに大きな魔物はいないから大丈夫じゃない?」

「そうは言っても何かあったら困るだろ!僕、すぐに説明してくる!」

「それなら俺も行こう」

「え」


ベル様が静かに椅子から立ち上がった。


「現物も見ておきたいし、魔族の俺が説明した方が説得力があるだろう」


それはそうだけど‥。でも、そうなるとまたベル様が傷つくことになっちゃわない?私はそっちが心配で、ついベル様の方をじっと見上げると、柔らかく微笑んだ。



「誤解を解くのも俺の仕事だ」

「‥なら、私も行きます」

「いや、リニは」

「私は、その、お、奥さんですし!!」



仮ね!仮だけどね!これ以上ベル様一人に悲しい思いなんてさせられない。言ったじゃないか、辛いのは半分こって。とはいえ、家族の前で自分を奥さんって言うのはかなり恥ずかしいけど!


かぁっと頬が赤くなると、ベル様も私に釣られるように赤くなったのを、お母さんが可笑しそうに笑って、「仲良しで良かったわ〜」なんて茶々を入れた。ちょっとー!年頃の娘にそういうのは良くないんだぞ!じとっとお母さんを睨むと、ベル様が私の方へ手を差し出した。


「‥では、リニも一緒にきてくれるか?」

「もちろんです!!」


ギュッとその手を握ると、フィリが咳払いして、


「リニ、一応兄として言っておくが、後ろで控えめにしておいてくれよ」

「私はいつだって控えめだけど?」


ぷっと頬を膨らませると、フィリに「辞書をもう一回調べておけ」と言われた。己、あとで覚えておきなさい。結局お父さんも一緒に行くことになり、お母さんに見送られて早速現場へ急行!である。


ちょっと心配そうなお父さんとフィリの後ろをついて行くけれど‥。そもそもなんでこんな辺鄙な島に魔族の香木なんてものが流れ着いたんだろう‥。



「リニ、どうかしたか?」

「え、あ、ああ、香木がなんでここまで来たのかなぁって考えてて」

「え?」

「この島ってそこまでお金がある島じゃないので、貿易の品も大体生活必需品しか来ないんです。それなのに魔族の‥、かなり遠方からの品物なんて来るのかな?って思って」



私の言葉に前を歩いていたお父さんとフィリも頷いた。


「それなんだよなぁ‥。そもそも動物避けの網ならわかるんだが、香木となると不思議で」

「輸入のリストにも入ってなかったし‥。だからもしかして密輸入?って思ったけど、この貧乏な島でそんなことする?って思って」


フィリの言葉にお父さんが「貧乏って!!そうだけど!」と、ちょっと泣きそうな顔で突っ込んだ。お父さん、落ち着いて下さい。ベル様はそんなお父さんとフィリの言葉を聞いて、どこか考え込むように黙っていると、あっという間に件のせがれの家が見えてきて‥、その庭先でそのせがれが何かをバケツの中で燃やしている。



「‥なんか、燃やしてない?」

「しかも、なんか甘ったるい匂いもしてるよね‥」



おいおい!!さっき隣のおじさんがやめろって言ったの聞こえてなかったのか!?私とフィリで止めようとしたその時、ゴゴッと地面が揺れた。


「え、」


なんの音?

そう思ったその時、せがれの足元からものすごく大きな芋虫が地面から吹き出すように出てきて、



「「「でぇええええええええ!!???」」」



と、目を丸くして叫んだ。





芋虫って誰が付けたんだろ‥。

可愛いネーミングセンスだなって思う。

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