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8番目の初恋。  作者: のん


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8番目、夫(仮)と収穫体験。130


私の好きな食べ物を知れて嬉しそうなベル様。

あれやこれやとお母さんが説明するのを興味深そうに聞く姿に、本当にこの人は私が好きなんだなぁ〜と、じわじわと実感する。


こそばゆくて、なんだかにやけてしまう口元をどうにかしようと誤魔化すようにおかずを食べると、ベル様が嬉しそうに私を見つめるので、気恥ずかしくなっておかずを飲み込むのが難しい。そんな嬉しそうにこちらを見なくてもいいんやで‥。


こんな風にストレートに異性に好きだと思われている気配を感じたことがないから大変照れ臭い。


「あら?誰かお客さんかしら」


お母さんが丘の下を見て、そう呟いたので私とベル様がそちらを見ると馬に乗ったおじさんが一人見えた。ええと、あれは確かお喋りな隣のおじさんだな。フィリがパッと椅子から立ち上がり、


「僕、ちょっと対応してくるよ」

「ああ、頼む」


お父さんの言葉に頷いたフィリはそのまま丘の下の方へ駆けていくと、馬に乗ったおじさんが開口一番、



「なぁ!イノシシ、こっちに来なかったか!?」



相変わらず隣の畑のおじさんは声がでかいな‥。

変わらないおじさんを見ていると、ちょっと安心はするけどね。フィリは頷いて、


「さっきこっちへ来たけど‥」

「やっぱりか!なんでも俺んとこの隣のせがれがな、魔族の国で売ってる動物避けの薬を焚いたらしいんだよ!だけどそのせいか、他の周囲の動物も様子がおかしくなってな!俺ぁそんなの危ねぇから辞めろって止めたんだ!」


魔族の動物避けの薬?

私とベル様で顔を見合わせると、おじさんはなおも言葉を続けた。



「魔族なんておっかねぇ奴らの薬なんてどんな効果があったかわかったもんじゃねぇ!だからイノシシには気をつけろよ。あとさぁお前んとこの末っ子、魔族んとこに嫁に行ったらしいじゃねえか、大丈夫なんか?寿命も違うし、婆さんになったら捨てられたりとかしねえのか?」



ビシッと空気が確実に凍った。

お、おじさん!!!今、ここに、うちの魔族の夫(仮)がいるんだが!?お父さんが勢いよく立ち上がり、「ちょっと失礼しますね!」と、言うや否や急いでおじさんの方へ駆け出していった‥。


私は、チラッと視線だけ上げてベル様を見れば、ベル様はなんとも言えない顔でおじさんを見ていて‥思わず息が詰まってしまった。


「リニ、オルベル様と一緒にブルーベリーをちょっとだけ摘んで来てくれる?」

「え?」


お母さんが、小さな籠を私に手渡した。


「ブルーベリーをケーキの上に散らしたいの。お願い」


ニコッと微笑むお母さんの言葉に頷くと、私はベル様の肩をポンと叩いた。


「ベル様、一緒に行きましょう」

「あ、ああ」


少しぎこちなく椅子から立ち上がったベル様と、おじさんから離れるように奥の畑の方へ足を向けた。


私とベル様はおじさんの響く声から逃げるように奥へ、奥へと進むと、サクサクと土の踏む音と、サワサワと葉が擦れ合う音しか聞こえなくなった。ほっと知らず息を吐き、後ろを振り返るとベル様がわかりやすいくらいしょげたような顔をしている。



‥そんな顔をさせたくなかったのに。



一緒に果物を収穫して、美味しい物を食べたり、作ったりしたかったのに。一緒に楽しんで、喜んで欲しかったのに。胸の中が悔しさでいっぱいになって、私はベル様の方へ手を差し伸べた。


「‥リニ?」

「手を、繋いでもらえますか?」

「あ、ああ」


少し照れ臭そうに大きな手を差し出してくれたベル様の手を、私はギュッと握った。


この人はとても優しくて、不器用で、照れ屋で、一生懸命な人で、私は‥大好きな人なのに。あんな風に言われるなんて‥。魔族が皆怖い訳じゃないし、私がお婆ちゃんになったとしてもベル様は捨てたりするような人じゃない!‥と、思う。


「私は、お嫁にいって大正解でした」

「え、」

「ベル様も魔族の人達も大好きです!」


私の言葉に、ベル様の顔がぶわっと一気に真っ赤になった。

可愛い。そういうとこ、本当に可愛い。ふわっと心が解けて、口元が緩むとベル様が嬉しそうなのに、どこか泣きそうな顔になった。



「‥嫌、ではないか」

「誰も、何も嫌じゃないですよ。それに薬っていうのもなんなのかちゃんとわかってないのに、あんな一方的に決めつけるのはどうかと思います!」

「それは、まぁ、そうだな」

「あとでどんな薬か聞いておきましょう。それで、ちゃんと誤解を解きましょう。魔族は全然怖くないし、私はちゃんと幸せだって!」



大体さ、幸せなんてその人が決めるもんだ!

人にどうこう言われるものじゃないぞ!と、頬を膨らませると、ベル様が一瞬驚いた顔をしたかと思うと、小さく吹き出して私の頬をフニフニと指で押した。


「怒ってる‥」

「そりゃ怒ります!勝手に決めつけるなって話です!」

「そうか」


嬉しそうに微笑むベル様の手をギュッと握って、悔しさも切なさも全部吹っ飛べ!とばかりに念じてみた。くそ〜!折角のお休みなのに!





知り合いのおじさん、皆声がでかい‥。

何故なのかと思っていたら、我が村は大変お年寄りの方が多い。

婆ちゃん!補聴器つけて!から始まる会話。(しかしそこがいい)

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