表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8番目の初恋。  作者: のん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/136

8番目、夫(仮)と収穫体験。127


少し小高い丘に果物を植えてある果物畑を、一足先を歩くフィリの後ろを私とベル様とついていくと、登る途中あちこちから甘い香りがする。


「‥本当に色々果物があるんだな」


しみじみとベル様が周囲を見渡して呟き、私はちょっと得意げな感じで微笑んだ。


「母が果物が好きだからって、父があれこれ植えたんです。まぁ、その母は「そんなに食べきれないでしょう!」ってよく言ってますけど」

「‥そうか、良い畑だな」

「っはい!そうなんです!」


思わず元気いっぱいに答えてしまった。

父が喜んで欲しいと思って植えた果物達。どれも本当に丁寧に手入れしているお陰で果物はいつだって美味しい。まぁ、天候の関係で採れない時もあるけれど、そういう時はジャムや乾燥させておいた果物を楽しめる。手を掛けて育てる楽しさを知ったのもこの家だからかもしれない。


ベル様はあちこち実っている畑を見て、


「リニは、素敵な場所で生活していたんだな」

「えへへ、そうですね。ちょっと肉体労働が多いですけどね」


私がそう言うと、前で聞いていたのかフィリが「ちょっとではないだろう」と、すかさず突っ込んだ。フィリはどっちかというと勉強の方が好きだしねぇ。フィリはベル様を見て、木々を指差した。



「最近は、果物目当てに野鳥がやって来るからそれを追い返すのが大変なんですよ」

「野鳥が?」

「甘い果物は動物達も好物ですからね。あ、ほら今もあそこに鳥がいて啄んでます」



するとヒュッとベル様が息を飲むと、フッと勢いよく木に吹きかけた。と、ブワッと木々の中にいた鳥達が一斉に飛び立った!


「「え、え!??鳥が?今、何を?」」

「追い出した」

「「どうやって!??」」


私とフィリで同時に同じように聞くと、ベル様は少し驚いた顔をしつつ、


「魔法‥ほどではないが、気合いを少々?」

「「気合い‥!?」」

「うむ、人間だとその方がわかりやすいかと思ったんだが‥。魔気という気配で、」


ベル様がそういうと、フィリは納得した顔をして、


「あ、魔気ですか。へぇ!流石ですね」

「フィリ知ってるの?!」

「魔族の人達が使える元々持っている人間でいうとオーラみたいなものだよ。それを外に放出すると動物とか魔物が避けるんだって本に書いてあった。便利だな〜って思って覚えていたんだ」

「そ、そんなのあるんですか?!」

「ああ。魔物と遭遇するのが面倒な時はよく使う。無益に殺生をするのもあれだしな」


つまり人間熊鈴みたいな!??

魔族って本当に便利だな。目を丸くする私にフィリが呆れたような顔をして私を見て、


「リニ、結婚した相手のことをもう少し学んでおけよ」

「う‥、わ、わかってるよ」

「お前はとりあえずやってみればいいだろうとか、知っていけばいいとか、行き当たりばったりなところがあるからなぁ」

「う、うう、どれも痛い‥」


フィリの言葉が胸を刺す。

わかってはいるけどさ、あれこれ考えても結局どうなっていくかはその時、その時で変わるじゃないか。ちょっと頬を膨らませる私を見たベル様は、



「リニの、思い切った行動は嬉しいことばかりだから大丈夫だぞ」

「え‥」

「その、プロポー‥」

「わーーー!!!は、はい!それは、わかりました!!!」



慌ててベル様の言葉を遮った私を許してください。

だって勢いで告白すっ飛ばしてプロポーズって‥、いま考えるとちょっと我ながら大胆過ぎたな?って思うし‥。フィリはそんな私をまじまじと見て、


「‥リニ、勢いは大事だけど熟慮も大事だからな」


と、冷静に言った。

言わんとしていることはわかるけど、人には止まれない時があるんだよう!そう言おうとしていると、



「リニーーー!おかえり!オルベル様、いらっしゃい!!」

「お母さん!お父さん!!」



丘の上からお母さんが元気よく手を振り、その横でお父さんが控えめに頭を下げた。急いでそちらへ三人で行くと、お母さんは待ち構えていたように籠を私とベル様に手渡し、


「いやー、助かりました!今日はねベリーを全部収穫したかったんですよ!あ、オルベル様はリニに取り方を教わったらどんどん摘んで、合間に食べちゃっても構いませんからね」

「お、お母さん‥」


ウキウキしたお母さんを見るに、これは収穫が迫っているのが多いんだな‥。お父さんは「遠路はるばる来て頂いて、突然の収穫ですみません」と謝罪しているが、お母さんはずんずんと歩いて「こっちです」と、呼ぶという‥。ザ、マイペース!!


私はチラッとベル様を見上げ、


「ええと、うちの母がなんかすみません」

「いや?収穫を手伝わせてもらうんだ。何を謝る。それより摘み方を教えてくれないか」


ワクワクした顔で私を見つめる夫(仮)心の広い人で良かったーー!

私は早速腕まくりをすると、


「ではまず汁がつかないように腕まくりしておきましょう!」


そう言って、ベル様の服の袖をまくるのを手伝おうとすると、耳先を真っ赤にしたベル様が慌てて「じ、自分でするから」と、捲り始めた。



‥うん、私も母のことを勢いがすごいとか言えないかも?





お母さんの勢いってすごいよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ