8番目、実家へ飛ぶ。125
私の肩に頭をのせてぐっすり眠ったベル様。
そのお陰か(?)夕方にはいつもの元気な姿に戻っていた。魔族ってすごいな〜。
夕飯を食べつつ、明日の予定について相談をするとベル様はワクワクした顔をするので可愛い。
「リニ、明日はノルチェに乗って行くが大丈夫そうか?」
「はい。早めに寝て体力充電しておきます!」
「そうか‥、力仕事は俺が全部するから安心してくれ」
「いやいや、そこは一緒にやりましょう。その方が楽しいですよ!」
「そ、そうか」
一人でうっかりなんでもやってしまいそうなので、実家へ帰ったら気をつけよう。一緒にやることに意味があるということを、よく説いておかねば。とりあえず明日は早めに出発するということで、夜は早めにベッドに入った。
お母さんにフィプスさんが手紙を届けてくれたから、明日は多分ベリーの収穫を手伝うことになるだろう。置いてきちゃった編み物もせっかくだしこっちへ持って帰って続きをして‥なんて色々考えていたのだが、あっという間に睡魔がやってきて、ハッと目を覚ましたら朝である!
「よっしゃ!今日は頑張るぞ〜〜〜!」
おおよそ乙女にあるまじき掛け声と共にベッドから飛び起きて、ウキウキとした足取りで中庭の野菜畑に行けば、もうベル様が水を上げている。
「ベル様おはようございます!早いですね」
「ああ。今日は大事な日だからな」
心なしかキリッとした顔で返事をするベル様。
張り切っている、のか?果物を収穫するだけだけど‥、もしかして楽しみなのかな?一緒のジョウロで水をあげつつ、
「そういえばベル様は、収穫する体験ってしたことはあるんですか?」
「魔物を仕留める経験ならいくらでもあるんだが、収穫はないな‥」
「なるほど‥」
確かにこっちへ来た初日に魔物を狩りに行ってたっけね。
野菜よりも肉だよね、うん。あと敵とか?
一人納得して、丁度いい具合に育ったミニトマトをプチッともいで、ベル様に手渡した。ベル様はミニトマトと私を交互に見るので食べて見せると、真似して同じように食べるとパッと顔を輝かせた。
「美味しいな‥」
「ここの土地に合うのか成長も早いし、味も美味しいですよね」
「リニが手を掛けて育てているからだろうな」
「そう、ですかね。あ、そうだ。ジャムを実家で作ったら、持って帰って一緒に朝食のパンに塗って食べましょうね」
「一緒に‥!」
驚いたように私を見つめたベル様。
一緒にジャムを塗ってパンを食べるって、そんな驚くことだっけ?
「食事を作れると、それを一緒に食べられるんだな」
「そ、そうですね」
「‥食べられればなんでもいいと思っていたが、食事は本当に良いものだな」
「そうですよ?!!」
ちょっと待ってくれい!170歳以上生きてて今それかーい!!食べるって大事だぞ?!しかも長く生きられるってことは色々食べられるってことで‥。今更ながらそれって羨ましい。ともかく、食に対して意識するのは良いことだ。こりゃ実家へ帰ったら美味しい物いっぱい作ろう!
「ベル様、いっぱい収穫して、いっぱい美味しい物食べましょうね!」
「あ、ああ」
気合たっぷりの私に押されつつ、早速食堂へ一緒に行ってレーラさんの美味しい朝食を堪能した私。これを何度も食べられるって‥、幸せだよな〜〜。そんなことを考えていたらあっという間に出発の時間だ。慌ててレーラさんと支度をして中庭へ行けば、ノルチェとベル様がすでに待っていた。
「すみません、遅くなりまして‥」
「いや、大丈夫だ。もう用意は大丈夫か?」
「はい!バッチリです」
と、言うとそれはもう嬉しそうに微笑むベル様。うん、可愛いなぁ〜。
お見送りしてくれたレーラさんに手を振って、早速ノルチェの背中の小屋に乗り込むと、なんだか中が広くなってない???ソファーのサイズがものすごく大きいぞ。
でも外のサイズは変わらない‥よね?首を傾げていると、ベル様も一緒に小屋の中へ入ってきた。
「え、ベル様?」
「ノルチェがコースをもう覚えたからな。今日はリニと一緒だ!」
「そ、そうでしたか!」
大きなソファーにベル様と座れば、すぐにノルチェがふわりと空を飛んだけど、2週間ぶりのベル様が隣で悠々と座るとは思っておらず‥、ちょっと、いや、今かなり照れて臭い‥。
「今日は早めに飛ぶから大体1時間くらいで着く」
「なるほど!!」
1時間‥、ずっと隣。
照れ臭いなぁ〜と思いつつベル様を見上げれば、ベル様の耳もパッと赤くなった。‥照れ屋なのに隣に座りたいって思ってくれたのかな?そう思ったら、ちょっと肩の力が抜けて、ベル様の肩に昨日とは反対に私が頭をちょっとのせてみると、見事にカチッと固まった。可愛いな、軍団長。
私しゃぁ照れ屋なイケメンが好きでねぇ‥。




