8番目、実家へ一緒に帰ります。124
一緒に実家へ行かないかと言うはずが、うっかり実家へ帰りたいと言ってしまい、一瞬大きな誤解を生んでしまった‥。言葉って難しいね。
ベル様は喜んで!と返事をしてくれたけど、まずは休憩である。
レーラさんとお昼ご飯まで横になっていた方がいいと話すも、「でもせっかくリニがいるのに‥」と、ベル様‥。と、レーラさんがにっこりと太陽のように微笑み、
「では、リニ様と一緒にお休みされれば良いではありませんか!そんな訳でリニ様、どうぞオルベル様のお部屋へ!本とお茶も用意しておきましょうね!!」
「え、いや、お茶は大丈‥」
「あ、お菓子もご用意しましょうね!!」
話を聞いて〜〜〜。
しかし張り切るレーラさんを誰が止められよう。
私とベル様は半ば放り投げられるように部屋へ連れて行かれ、お茶とお菓子を手早くセットされると「失礼しまーす!」と、静かに扉が閉められた。
早い、何もかも早い。
チラッとベル様を見れば、椅子に座って同じように驚いた顔をしている。‥うん、素早かったよね、レーラさん。2週間ぶりに見るベル様は、やはり少し疲れている顔をしていた。いきなり力が戻って、そこから休みなく仕事してたんだもんね。どんだけ強い魔族でも連勤は辛いよ‥。
「ベル様、お茶を飲んでから少し休みますか?」
「え、あ、ああ、」
「はい、お茶どうぞ」
「ありがとう‥」
ベル様がどこか緊張した顔でお茶を受け取り、静かに飲むとそっとソーサーにカップを置くと、意を決したように私を見つめた。
「その、実家だが‥、何故行きたいと?」
「さっき実家から果物のジュースが届いて思い出したんです。今、ベリーや果物の収穫期だなって。それを食べつつジャムを作ったりするのが楽しくて、今度はベル様と収穫したりジャム作りするのもいいかなぁって思ったんです」
あと速攻でこっちへ帰ることになった時、やっぱり少し寂しかった。
ちょっと顔を見に行きたいのもあるけど、一人だとまた寂しくなっちゃうと思う‥。でもベル様が隣にいれば、少しは違うかなって思ったんだけど‥、どうかな?チラッとベル様を見れば、ホッと安心したような顔をして、
「‥‥‥‥あまりにも帰れないので、別れたいと言われるのかと」
「しませんよ?!忙しいのも仕方ないですし」
「そ、そうか」
「ただあくまで提案なので、そこまで気にしなくて大丈夫です。まずはベル様の体調が一番‥」
「いや、一緒に行こう。前回心配させてしまっただろうし、リニが元気な様子を見れば安心するだろう」
「‥いいんですか?」
「もちろんだ。それに、リニのことを実家へ帰ればより知れるだろうし‥」
そう言うと、耳先を赤くして俯く夫(仮)
‥可愛いなぁ!!きゅうっと胸が甘く痛む。これは‥確かに夢中になってしまうな?
「で、では、明日一緒に行きましょうか」
「ああ。お土産は何がいいだろうか。やはり宝石か‥」
「ベル様、我が家では宝石は持て余してしまう可能性があるので、そんな大層な物は‥」
「いや!リニの家族にそんな無礼はできない。あとでレーラに話をしておく」
「は、はぁ‥」
まぁ、レーラさんならそんなとんでもない物を入れることはないだろう‥。と、心の隅っこで呟き、ベル様を見れば、こちらをチラッと見て、
「そ、それで、今から少し休もうと思うんだが‥」
「あ、はい。お邪魔なら私は隣の部屋へ」
「いやっ、その、嫌でない!!少しソファーで横になるから、隣に座っていてくれると、嬉しい‥」
そう言いつつ顔を真っ赤にしたベル様‥。
なるほど、離れたくないってか。軍団長って可愛い生き物なんだなぁ‥と、心の中で噛み締めてから、私はにっこり微笑み、大きなソファーの方へ移動して座り、座面をぽんぽんと叩いた。
「どうせならお膝に頭でものせますか?」
そう聞いた瞬間、ベル様は一時停止し、それから真っ赤な顔で「刺激が、強いから‥」と丁重に断ると、私の横にそっと座ったもののカチコチである。‥何故私よりこんなに緊張しているんだろう。これではちゃんと休めないではないか?
「ベル様、私の肩に頭を置いて下さい。そうすれば少しは休めるかも」
「か、肩に!?」
「はい。気休めかもしれませんけど‥」
「で、では、失礼する‥」
そっと、そおっと私の肩に頭を置いたベル様。
‥力、ちゃんと抜けてる?全然肩に重みを感じないが?
黒い綺麗な髪を撫でてみると、ビクッと体が跳ねたが、そのまま撫で続けると徐々にベル様の頭から力が抜けてきたのか、肩が重く感じてくる。
「‥‥ありがとう」
「いえいえ、これくらいへっちゃらですよ」
小さく笑って頭を撫で続けば、すうっと小さな寝息が聞こえてきた。
なんだか面白いなぁ。これで三ヶ月後に結婚します!ってヴェリ様に宣言したら、ベル様はどうなっちゃうんだろう。真っ赤になって倒れてしまうのかな?そんなことを考えたらちょっと楽しくて‥ベル様を起こさないように小さく笑った。
電車の中でおじさんの肩をお借りして爆睡したことがある私。
その節はお世話になりました‥(ヨダレ垂れてなかったかな)




