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8番目の初恋。  作者: のん


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8番目の娘のお母さん、ちょっとぼやく。

お母さん目線です。


リニが突然家に帰って来て何事かと思っていたら、いきなり大泣きするので、これは魔族の国へ殴り込みに行く事案か!と、密かに心の中で腕まくりをした。


けれど、そうじゃなかった。


危険な状況なのに自分だけこっちへ帰ってきてしまって、心配でたまらない。もう帰りたいと、いきなり嫁に行って久しぶりに帰って来た娘の言葉に、ホッと胸を撫で下ろした。



そうか、うちの娘は随分と大切にしてもらったんだな。

突然帰って来たかと思ったら「帰りたい」なんて良い関係を築けていたんだな‥と、しみじみと嬉しく思った。


どこかいつも遠くからこの世界を見ているような娘が大切な人が心配だと泣きじゃくっている姿を見て、安心してしまうなんてとんでもない母かしら‥と、思うけれど、元気そうな顔を見て、「きっと大丈夫」と、思えるのだから不思議だ。



「大丈夫、デーンと構えておけばなんとかなるわよ!」



そう言って笑えば、ようやく涙が止まって私を見上げるリニ。

大事な大事な我が家の8番目の末っ子。

ポンポンと頭に触れれば、手触りの良い髪。うん、本当に大事にされていたんだな。いきなり3歳の娘を嫁に‥なんて言ってきた時はどうしてくれようと思ったけれど‥。まぁ、少しくらいは許してやろう。



と、リニの後ろを見れば大きな木箱。



誰か入ってる?

なんて思ってしまうくらいの大きさに驚き、中を見れば綺麗な箱にお茶のセット。‥リニの様子を聞く限り、なんだか切羽詰まった危機的状況のはずなのにお茶?


先にお茶の入った箱をリニにキッチンへ持っていくように話してから、私も荷物を持っていこうかと思ったら、本の一番上に手紙が置いてあった。


「リニにかしら‥」


手紙を見れば、宛名にうちの夫と私の名前。

さっと開けて中を見れば、事情があって一時的に危険がないように帰しただけだからすぐに迎えに行く。あと何かあったらリニのブレスレットを壊せば身を守ってくれると書いてあった‥。


まだ認めた覚えのない義理の息子は、本当にリニを心配してこちらへ帰したのか‥と、ようやく納得が言って、その手紙を素早くポケットにしまった。


なんだ‥、それじゃあすぐに帰ってしまうのかな。

それはそれで寂しいと思ってしまうけれど、リニの様子をみれば、きっと後ろを振り返ることもなく帰ってしまうんだろうな〜。うちの娘はしっかりと親離れができているってことか。嬉しい成長だ。


そんなことを思いながら本を一冊開いて見れば、いきなり動き出すからびっくりした!魔族ってこんなことまで出来るのかと驚いていると、リニはなんてことないように話すからまた驚いた。若いってすごい!順応力あるわねぇ。



気を紛らわすためにリニと畑を耕して、みんなで夕ご飯を食べる。

一緒に家族で過ごせば、変わらず楽しそうな姿を見られて私と夫はこっそり目を合わせて笑った。一応、夫にもしかしたらすぐに迎えに来るかもと、話したら寂しそうに笑った。私も貴方も本当に子離れできてないわよね。



それでも「好きなんだもん」と、泣いてたリニを思うと、ここにいなさいとは言えない。だって私も夫を追いかけて飛び出してきた娘だしね。そう夫に言えば照れ臭そうに笑う顔は、若い時から変わらないから不思議だ。



まぁ色々大変そうだし、迎えは当分先だろう。今週は美味しいものを沢山作ってあげようなんて思っていたのに、早朝にまさかの黒い竜が玄関に。


‥早い。

早過ぎる。


もう少し子供との時間を持たせてくれてもいいんじゃないか?と、思ったが、リニに言えば風のように黒い竜の背中に乗って、あっという間に小さくなる娘を夫を一緒に見上げた。



やっぱり私の血が濃いのかしら‥と、隣で空を見上げた夫に言ったら可笑しそうに笑った。「そのお陰でリニが幸せなら良かったよ」と、言ってくれて私も笑ってしまった。



そうして見送った数日後、リニから「お陰様で事件はひと段落つきまして、お互いに結婚しようねという話をしました」と、書いてあった。



待ってくれ娘よ。



結婚しようねってどういうこと?結婚したんじゃないの?じゃあ、あの涙はなんだったの?母は完全に混乱しているぞ?手紙を何度も読んだけれど、どうやってもわからない。まぁ魔族の国へ嫁に行き、突然帰って来たと思ったら風のように帰る娘だ。きっと色々あるのだろう。畑がよく見える木の下で手紙を綺麗に畳んで封筒に戻し、空を見上げた。



大好きな果物のジュースでも送って、いつかの帰りを待とう。

そうして鍬を肩に担ぐと、畑の向こうで大好きな夫が手を振る姿が見えて、私も笑顔で手を振った。





本日は2話更新です(^^)

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