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8番目の初恋。  作者: のん


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123/138

8番目の夫、求婚される。121

今回はベルさんサイドです〜。


「僕を王座から引き摺り下ろしたい奴らがいる」


随分前にヴェリにそう言われ、そいつを引ずり出せば、結婚をちゃんと認めてもらえるのではないかと‥考え、必死に探した。


けれど、犯人達もかなり上手で見つけた‥と、思えば姿をくらまし、尻尾を掴んだと思ったら、偽物で。焦れた気持ちで帰る事も多かったが、リニが微笑むとあっという間にその感情も消えた。



もっと一緒にいたい。

その為には正式に結婚を認めてもらわないと、あっという間にリニの寿命が尽きてしまう。自分の命を差し出せればいいのに、正式な契りを交わしていない限りは無理だ。



レーラに「そもそも、きちんと自分のお気持ちを伝えたんですか?!」と、言われれば、言葉に詰まる。‥伝えようとはしている。それとなく伝えているつもりだ。それでもリニを前にすると、言葉がうまく出てこなくて、たった三文字の言葉さえ言えない。なんなら胸が痛くて名前を呼ぶのも苦しい。



こんなに好きなのに、運命の番なのに。



そんな時にリリオンが隣国の人間と、うちの魔族が繋がっているようだという話を掴み、俺に話を寄越してきた。


「お前が間抜けにも恋に溺れている様に見せつけてくればいい。そうすればあっちもしめたとばかりに食いついてくるだろ」


‥‥間抜けにもとはなんだ。

あと溺れている様にじゃなく、俺は確実に溺れている。

どれだけ待ったと思っているんだ。辛いことの方が多かった人生で、運命の番がいてくれることが大きな支えだった。その相手が俺のそばにいる。溺れないなんて無理じゃないか?



だけど立場の弱いリニに、魔族で、しかも軍団長の俺が恐ろしくて断れない可能性の方が大きい。そう考えると、「好きだ」という三文字が口から出てこない。


そんな時に、呪いを持った鉱石を目にし、



「俺の力を、リニのブレスレットに吸収される様書き換えてくれ」



と、レーラに頼めば心底呆れた顔をされた。

万が一という事もある。呪術師だって兵士だって、誰の息が掛かっているかわからない。それなら味方ですら騙すしかない。そんな中、何も知らないリニに何かあったら‥危険だ。自分の力をリニに渡しておけば、危険から守れる。



「‥私はご自分も守って欲しいと、リニ様は仰ると思いますよ」

「それはできない。彼女は‥、俺の我儘でここへ連れてきてしまったんだ。これ以上、迷惑をかけることはできない」

「‥‥私は、そうは思いませんけどね」



渋々‥と、いった様子でレーラに呪いを書き換えてもらった。

大丈夫だ、きっとリニが実家へ帰っている間に全て終わる。‥そう思っていたのに、朝一人で中庭の畑を手入れしていたら寂しそうに俺の元へやってきたノルチェ。


「キュウ〜〜」

「‥リニは、ちゃんと迎えに行く。あと少しだけ待っててくれ」


敵をおびき出したら、全部捕まえたら‥、そう思って言ったはずなのに、散歩へ行ったのかと思ったらまさか迎えに行っていたとは‥。



突然、敵をおびき寄せていた場所に現れたリニに心底慌てた。



リニが俺の力を持っていると知れば、敵方は逃げてしまうかもしれない。いや、それよりもリニに危害が及んだらどうしよう‥と。ギリギリまでブレスレットを壊すか壊さないかを悩みながら、敵に通じていたゲシュター伯の名前をついに捕まえる事ができた。


けれど、そのせいでリニを怪我させてしまった。


結果的に騙していた事になるリニに本格的に嫌われて、即「帰ると」言われるかもしれない。内心ドキドキしながら事情を話しつつ手当てをした。



嫌わないで欲しい。

せめてここにいて欲しい。

もう一度だけ、笑って欲しい。



情けない自分に嫌気が差す。

そんな俺を許さないとリニが言うので、心臓がヒュッと冷えた。

けれどリニは俺の手をぎゅっと握り、どっちも幸せがいいと、苦しいのも辛いのも半分こして、助け合うものだと、この場で誓えと言うので目を丸くした。



‥それは、人間式の結婚、では?



「‥人間は、そうやって結婚を誓うのか?」



と、我ながら間抜けな質問をしてしまうと、「お互い、好きな人‥同士がするものですけど」と、恥ずかしそうに呟くリニ。



俺は、リニが好きと言っても良いのだろうか‥。

さっきまで威勢良く俺に辛いのを一人で抱え込もうとするなと叱咤してくれたリニに、手を伸ばしてもいいんだろうか。目をうろうろさせながら、ふと俺の手をずっと握る柔らかい手を見て、この優しい手をずっと逃したくないと思ったら、「好きだ」と、押さえつけていた気持ちが言葉になって出てしまった。


驚くリニに、祈る様に聞く。


「リニは‥‥?」


同じであって欲しい。

怖いからとか、危険だからとか、そんな感情でありませんようにとリニを見つめると、すっと俺の手を自分の口元へ近付け、



柔らかい唇が手の甲にそっと押し当てられ、



「大好きです。だから結婚して下さい」



赤い顔でリニに結婚を申し込まれた瞬間、頭の中が真っ白になり、そのまま倒れた。人は‥どうやら嬉しいと意識を失うらしい。





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