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8番目の初恋。  作者: のん


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119/138

8番目、洞窟を泳ぐ!!!117


突然起きた地震に驚きつつ私とベル様は咄嗟にフィプスさんがいる方向へ逃げた。が、盛大に転んでから起き上がってみれば、敵がいた方は岩が崩れて通り抜けできないし、前を見ればそちらにも岩が崩れて通れない。



‥‥これって、閉じ込められた?



呆然としていると、ベル様は私を見てハッとした顔をした。


「リニ!怪我は!?」

「っへ?」

「顔が傷ついている!治療‥、できないんだった!」

「顔?あ、まぁ大丈夫だと思いますけど」

「ダメだ!化膿でもしたら‥!魔法をっ、使えないんだった!!」

「‥ベル様ちょっと落ち着いて下さい。子供の頃から怪我をよくしてましたし大丈夫ですよ」


というか、こんな危険な時に自分の心配でなく人の心配するわ、閉じ込められてしまったのに私を責めることもなじることもしないって‥。ベル様、心が広すぎないかい?


「ベル様は大丈夫ですか?私のせいで一緒に転んでしまって‥」

「俺は大丈夫だ」

「何を言ってるんですか。ベル様だって頬を擦りむいてますよ」


そっと手で触れると、ベル様が途端にカチッと固まった。

そうだった‥。ものすごく恥ずかしがり屋なのに安易に触れてしまった。でも今はいつもと変わらないベル様の姿にホッとしてしまう。ともかくお互い怪我の手当をしないとだよね。


お母さんが持たせてくれた肩掛け鞄を咄嗟に持ってきたけど、何か入ってないかな‥と、ゴソゴソと探るとちゃんとハンカチが入っていた。お母さん有難う。ハンカチって大事だね。それを取り出して、ベル様の頬の傷をそっと拭くと、薄暗い洞窟の中なのに赤い顔になったベル様に「さ、先にリニが拭いた方が」と、言った。が、そんなの知るか。黙って顔を拭かせなさい。



「そういえばベル様、この地域は地震が起こりやすい場所なんですか?」

「いや‥。そういった話は聞いたことがない。ただ鉱石によっては脆いから、ノルチェが暴れたせいで崩れた可能性はあるな」

「なるほど。あ、そういえばこっちの奥へ行けばフィプスさんに会えるんですか?」

「‥ああ。ただ岩で塞がれているからな。どれ、岩を退けてみるか」



ベル様はサッと立ち上がり、足元の石を持ち上げようとしたが、持ち上げられなくて愕然とした顔をした。‥そっか、力がないんだった。私も早速立ち上がって岩を持ち上げ、ヨロヨロした足取りで敵のいる方へ岩を置いたけれど‥、これは日が暮れるな!!


どうしたものか‥と、思っていると敵がいた方向から、


「岩を魔法で退かせ!」


なんて声が聞こえて、思わず体がビクッと跳ねた。

このままじゃベル様が危険だ。どうしよう‥、私のせいでかえってベル様を危険な目にあわせてしまう。焦る私の気持ちをよそに、ベル様は大きな岩を急いで持ち上げてフラフラしながら敵の方向へ投げた。


「リニ、大丈夫だ!絶対守るから」

「‥‥ベル様」


こんな時でも私を心配して守ろうするベル様に泣きそうになる。

何か、何かできないか?お母さんが手渡してくれた肩掛け鞄をもう一度開けて、中身を地面に落とすと、水筒がカツンと音を立てて落ち、隙間から少しお茶が溢れた。



「お茶が‥、」



ふわりと甘い花の香り。

ちょっとだけ赤い色が、青い地面に溢れて、ハッとした。

急いで地面に落ちた水筒の蓋を開けて、中身をジッと見つめる。


「リニ?」


ベル様が心配そうに声を掛けると、敵の方から岩がガラガラと動く音が聞こえる。



ええい!!

やるだけやってみる!!

少しぬるくなったお茶をグビグビと飲み始めると、ベル様が驚いた顔をして私を見つめる。と、水筒を持っている手がふわりと透けたのが飲みながらでもわかった。



「リニ!!?体が‥」



カランと、空になった水筒が地面に落ちると、私の体がふわりと浮かび上がる。やっぱり!これお化け‥ならぬご先祖さんと同じ状態になっちゃうお茶だった!これなら何とかなるかも!


「ベル様!私、すぐにフィプスさんを呼んできます!ちょっとだけ待ってて下さい!」

「待っ、危険だ!」

「大丈夫です!!私、ベル様のお嫁さんですよ?!最強です!!」


私の言葉にベル様は驚いたように目を見開くと、真っ赤な顔になった。

うん、こんな優しい人を‥、私の大事な人を傷つけられてたまるか!私は水の中を泳ぐように腕をかいてみると、グンと体が前に動いた。


よし、泳ぎの要領でいけそうだ!



「すぐ戻ります!!」



そう叫んで私は岩の方へ真っ直ぐに進むと、岩をするりとすり抜けた。

そうして奥に続く細い道を見つけると、前世でもこんなに必死に泳いだことないんじゃないか?ってくらい、腕や足をがむしゃらに動かし、必死に泳いでいった。





泳げるって大事かもしれない。

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