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8番目の初恋。  作者: のん


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8番目、空を激走!115


ノルチェの背中によじ登って、「ええっとよろしくね?」と、話すとノルチェが小さく頷いた。


大丈夫、かな?

私は背中の小屋の中に入ると、ノルチェはゆっくりと体を起こした。すごい‥、本当に賢い子だ!窓を開ければお父さんとお母さん、兄のフィリが手を振ってくれて、私もブンブンと手を振るとふわっと体が浮いた。


「え、」


一気に空へノルチェが浮かび、ものすごい勢いで飛んでいく。

すごい勢いで飛んでない?!「行ってきます」の一言も言えなかったんだけど‥。驚くもののもうソファーにから立ち上がれない。重力がすごい〜〜。


と、ぐううっとお腹が鳴った。


そういえば朝ご飯食べてなかったっけ。

肩掛け鞄をに入っているお母さんが作ってくれたハムチーズパンを取り出した。まだほかほかと温かい作りたてのパンを見つめると、無言の優しさに後ろ髪をギュッと引っ張られる。


帰る度に切ない気持ちになるのかな‥なんて思いつつ、パンに噛り付いた。


なんだか泣き出したくなる気持ちをパンと一緒に咀嚼して、ごくんと飲み込んだ。うん、まずはベル様。ベル様の安全確認が先だ。こんな時なのに呑気かな?なんて思いつつ黙々とパンを食べ、小さく開けた窓から空を見れば、以前見た大陸が遠くに見えた。



「え、もう!?早くない??!」



フィプスさんが最初に連れて行ってくれた時は、確か1時間は軽く掛かったけれど、今回は30分も掛かってないような気がするんだけど‥。あの時は安全運転だったんだな〜と、今ならよくわかる。


この調子ならあっという間に着いてしまうんだろうな‥と、思っていると、向こうの空から何かが飛んできた?


目を細めてそっちを見ると、緑や青の竜‥?

仲間かな?なんて思っていると、その竜の背中から光の玉のようなこちらへヒュンッと飛んできた!


「え!?」


ノルチェが突然下へ下降したかと思うと、林のスレスレを飛び、後ろの方でドン!と、何かがぶつかるような音がした。これって、もしかして攻撃されてる?!窓から後ろを見れば、さっきは二匹しかいなかったはずの竜が五匹に増えているし、光の玉がものすごい勢いでこっちへ飛んでくる!?


「わ、わ、ノルチェ、だ、大丈夫!?」


ノルチェは大きな木を横にすり抜けると、後ろの竜の一匹が避けきれず木にぶつかって落ちた。す、すごい!操る人がいなくてもこんなに飛べるなんて優秀過ぎる!と、岩だらけの山の上空を飛び、岩と岩の間を攻撃をすり抜けながら飛んでいたノルチェが、今度は谷の方へ真っ逆さまに落ちていく。



「ちょちょちょちょちょっと!?ノルチェさん!??」



ぶつかる!!谷底にぶつかるよ!?

驚いていると、ノルチェが滑るように地面に降りた。


「え、」


ものすごい重力から急に解き放たれ、体が一瞬浮いて、すぐにフカフカのソファーが体を受け止めてくれた。


「と、止まった‥!?」


窓をゆっくりと開けるとどうやら深い谷底にいるのか、上を見上げれば光が小さい。えーと、これはもしかして逃げられたって事?でもどう考えても竜に追われていたし、しばらく動かない方がいいのかな?小屋の中でどうしたものかと悩んでいると、



「リニ!?」



‥‥ん?

なんかめちゃくちゃ聞き覚えのある声がしたぞ?

小屋から飛び出して、暗い谷底の中をキョロキョロと見回すと、驚いた顔のベル様がノルチェの方へ駆け寄っていた!


「べ、ベル様!?なんでここに‥」

「それはリニで、あ、ノルチェ、お前もしかして勘違いして‥」

「勘違い?」


私が目を丸くすると、ベル様は目をウロウロさせて、「その、ちょっとした行き違いがあったようで」と、言葉を濁した。‥えっと、じゃあ私はまだ帰ってきたらまずかった、のかな?というか、もしかして帰ってきたら迷惑だった感じ?途端に胸の中に、それはもう重い鉛がズンと落ちてきた。


「‥すみません、私、ノルチェが来てくれたので、てっきり戻っていいものかと」

「い、いや、戻ってくるのは全然いいんだ!いいんだが、その、」


困ったような顔をするベル様に、私は勢いをつけてこっちへ駆けつけた分、気持ちがものすごい速さで萎れていく。やっぱり迷惑だったんだ。一人で暴走しちゃって、ベル様に迷惑を掛けてしまったんだ‥。



「‥すみません、ノルチェにお願いして家に戻ります」

「そ、それも困る!あ、いや、困るというか、その、」

「ベル様、ダメな時はダメだっていいんですよ‥。これ以上ここにいるとご迷惑をお掛けしそうなので、落ち着いたら戻ります」

「迷惑じゃない!」



ベル様が私の手をギュッと握って、心底困ったように顔で私を見つめた。いや、そんな顔をされても私も困るんだが?!そう思っていると、



「そこを動くな!」



野太い声が聞こえた瞬間、ベル様が私をサッと背中に隠した。

ちょ、ちょっと待て!?一体何が起きているんだ?






好きな子を前にすると上手く話せないパターンが大好きです。

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