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8番目の初恋。  作者: のん


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8番目、実家から飛び出す!114


久しぶりに帰ったのにべそべそ泣いたもの、お母さんに慰められて少し落ち着いた私‥。お風呂に入って、ベッドに横になったものの眠気がやってこない。


「‥‥眠れない」


帰ってきて、あれだけ野菜を収穫したり掃除したりついでに編み物までしたのに。なんだか目が冴えてしまった。暗い外を見れば、海の上に灯りを点けた船が何隻かゆらゆらと動いている。ぼんやりとその光景を見て、ベル様は寂しくないかなぁと心配してしまう。



私が来るまであの大きな屋敷に一人で住んでいて‥、今は私がいるから寂しくないって言ってた。あの時の言葉を思い出すと、ベル様は多少私のこと想ってくれてたんじゃないかな?


そう考えると、なんだか切なくなってしまう。

‥恋の病に薬はないって言われてるけど、本当かも。ブレスレットを何気無く見つめると、突然淡くブレスレットが光った。


「え、光った!?」


ガバッと起き上がってブレスレットを見れば、小さくチカチカと星のように光っていて‥。なんだかベル様に心配されている気分になってくる。


‥もしや、私が暗いのを怖がっていたから夜になると光る装置、的な?


ちょっとそんな気もしたけれど、今は「寂しくないぞ」って言ってくれていると思うことにしよう。またベッドに寝転がって、黒い部分の石をツンツンと指で突いた。



「ベル様、元気でいて下さいね」



そう呟いてブレスレットをぼんやりと見ていると、スッと眠気がやってきて、あっという間にぐっすりと眠り込んでしまった。



そうして朝。

下の階でお母さんがキッチンで何かを作っている音で目が覚めた。ゆるゆると目を開けて時計を確認すると、いつもと同じくらい時間だ。


「‥‥6時か。畑に行かないとだな」


もそもそと体を起こして、よく見慣れた部屋をぐるっと見回す。

うん、まごうことなきボロい我が家だ‥。そう思いつつも愛着もあるけどね。ベッドから降りて、クローゼットを開ければ扉から服たちが窮屈だった!と、いわんばかりに飛び出してきた。


「そうだった‥、ワンピースやらドレスまで荷物に詰められていたんだっけ」


驚きつつも畑仕事に最適!とレーラさんが用意していくれた緑色のワンピースを着た。これ結構気に入っていたので入れてくれて嬉しい。戻ったら絶対お礼を言おう。下へ降りようとドアノブを回そうとすると、お母さんがひょっこり顔を出した。



「あ、もう起きてた?」

「そりゃ起きるよ。畑行かないと‥」

「その前にこれ渡しておくわ」

「っへ?」



手にはふんわりといい匂いがする紙袋。


「お母さん、これって‥」

「ハムチーズパン!あとお茶ね。水筒は今度帰ってくる時にでも持ってきてね」

「え??」


お母さんが肩掛けカバンを取り出して、私に手渡すので中を見ればお茶の入った水筒とハンカチ。ええっとなんでお弁当?鞄とお母さんを交互に見ると、


「お弁当もそこに入れておきなさい」

「え、どこか遠くの畑へ行くの?」


いきなり朝起きた瞬間にお弁当を手渡された私は混乱しつつそう聞くと、お母さんは窓の外を見て、



「黒い竜が玄関で待ってたわよ。迎えに来たんじゃない?」



黒い竜‥、って、ノルチェ!?

私はお母さんの横を風のように通り抜け、駆け足で階段を降りれば、玄関の扉の隙間からフィリとお父さんが外を覗いているのが見えた。


「どいたどいた〜〜!!」

「ちょ、ちょちょちょっと待て!知り合いか?知り合いの竜なのか?」

「多分合ってる!」

「多分じゃ危険だろ!?どこか特徴とか‥」

「ああもうじゃあ確認させてってば!!」


ばんっと勢いよくドアを開ければ、伏せの姿勢だった黒い竜は顔を上げた。

背中には私が乗っていた小さな小屋が見えて‥、そのままダッシュでノルチェに駆け寄った。


「ノルチェ!!迎えに来てくれたの!?」

「キュウウ〜〜〜」

「お父さん良かったね、知り合いらしいよ」

「で、でも、まだ帰ってきて一日も経ってないのにもう帰るの?早くないか?」


お父さんがしょんぼりした顔で私を見ると、それはそれで胸が痛い。

ベル様も好きだけど、家族は種類が違うけれど大好きだ。玄関の前で寂しそうにしているお父さんにギュッと抱きつくと、お母さんがいつの間にか横に立って笑っていた。



「子供はこっちを振り返らず飛び出していってなんぼよ。道中気をつけてね」

「うん‥。ごめん!もしかしたら何かあったかもしれないから帰る!それで落ち着いたら今度はベル様と一緒に来るよ。ね、お父さん?」

「‥無理しなくていいからな。お前が幸せでいてくれる事が一番だ」

「‥うん」



お父さんもお母さんも本当に甘い。

いや、兄妹皆に甘いというか、優しいんだよね‥。でも、だからこそベル様の元へ行きたい。寂しくないよって、一人で頑張らないでって言いに戻りたい。



何ができるかなんてわからない。

もしかしたら怒られるかもしれないし、嫌がられるかもしれない。

でも私は幸せになりに行くんだ。もし違っていたらまた戻ってくればいい。



いつの間にか泣いていた私の顔をお父さんとお母さんが小さく笑うと、隣にいたフィリに「今度は僕にもお土産よろしくね」と笑うので、私も笑って頷いた。



「行ってきます!」

「気をつけてね」



さぁ!ノルチェ、ベル様の元まで頼むよ〜!





あまりに楽しい東京生活。

連絡を一切入れずに遊んでいたら「連絡くらいしろ!」って

言われた後ろをまったく振り返らない。それが私です。

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