8番目、急変!109
黒づくめの人が剣を持って天井から侵入してきた!
それが1人‥かと思いきや、次々と工房へやってきて、側にいた兵士さん達が反撃をするが、数が!数が多い!ベル様が私を抱きしめたまま攻撃を躱すけれど、こ、これ、邪魔じゃない!??
しかし、ここで何か言って集中を切らしてもまずい!
口をチャックしてあちこちを見回すと、シュナさんがヴェリ様を庇って大きな槍で周囲の黒ずくめ達を壁に叩きつけている。す、すごい‥!めちゃくちゃ強い!そんなシュナさんをヴェリ様がニコニコ笑って、
「キルシュナは格好いいねぇ!流石だよ」
「そそそそそんな!私など‥!!」
と、シュナさん顔を赤くさせつつ敵を吹っ飛ばした。
ほんまにすごい‥、照れながら吹っ飛ばせるって何??ぽかーんとしていると、黒ずくめの一人が、
「おい!早く呪いを使え!!」
そう叫ぶと、ヴェリ様とシュナさんのブレスレットが青白く光った。
「させるか!!」
ベル様がそう叫ぶと、2人の方へ手を伸ばすと青白い光を引っ張った!?
そうしてその青白い光が私とベル様のブレスレットの中へ飛び込むように入った。瞬間、バランスを崩したのか、ベル様が私を支えきれずに床に一緒に転がってしまった。
「うわっ!」
「リニ‥!大丈夫か?!」
「は、はい、私は‥」
床から顔を上げたその時、黒ずくめの一人が何かを持ちながら周囲を見て、
「やったぞ!!そっちの奴の力が手に入った!逃げろ!!」
「え!?」
力が手に入った?!
なんのこと?ベル様を見上げれば、苦しそうな顔をしている。
「ベル様!?どこか痛いんですか!?ベル様!」
「大丈夫、だ」
そう言った瞬間、ゴホゴホと咳き込み、私は慌てて背中を摩った。
その間にも黒ずくめの敵達はさっきまであれだけいたのに、ものすごい速さで逃げ出し、こちらの兵達は驚きつつも追いかけ、半分はヴェリ様とシュナさんの周囲を守るように取り囲んだ。
だ、大丈夫、なの?
ベル様の方を見上げれば、ゼイゼイと息をしていて‥、初めてみる顔に驚く。と、ベル様は私を見て小さく笑った。
「大丈夫、少し苦しいだけだ」
「苦しいって‥」
「オルベル!すぐに調べるぞ!」
ヴェリ様がこちらへやってくると兵士さん達より先にベル様の手を取って起こしてくれた。
「悪い‥」
「何を言ってるんだ!体調は大丈夫なのか?力が手に入っていたと言ってたが‥」
心配そうにヴェリ様が言うと、ベル様が手をじっと見つめ、
「そう、らしいな‥。魔力はあるが塞がれているようだし、力がすっぽり抜けているようだ」
「「「え」」」
私、ヴェリ様、シュナさんの顔が強張る。
魔法だけでなく、力まで?ほ、本当に?呪いって‥ちゃんと解ける、よね?ギュッとベル様の手を知らず握ると、ベル様が眉を下げて力なく笑った。
「‥せっかくの機会だったのに、怖がらせてすまない」
「そんな‥!そんな、私は大丈夫です!それよりベル様が‥」
何もできない自分が歯がゆくて、ぐっと唇を噛むとヴェリ様がベル様をじっと見つめた。
「オルベル、とにかく安全第一だ。お前はすぐに転移魔法で家へ戻す。すぐに呪術師を寄越すからそれまで待機しておけ」
「‥わかりました」
「キルシュナ、敵の動向は兵達に追わせておく。動向次第ではすぐに動けるようにしておいてくれ」
「はい!」
「リニ嬢、今回はすまなかったね‥。ひとまずオルベルの側にいてやってくれ」
「は、はい!」
私が返事をすると、ヴェリ様の手が白く光った。
と、体がひゅっと上に引っ張られ、私とベル様は自分達の屋敷の中庭に立っていて‥、思わず目を見開いた。一瞬で転移させてくれたの?!
「え、え?!」
「オルベル様!!」
「フィプスさん!レーラさん!!」
屋敷の方からフィプスさんとレーラさんがこちらへ駆け寄ってくる姿が見えて、思わずほっとした。
「突然の帰還でしたが、どうされたんですか?」
「それが‥、黒ずくめの人達に突然呪いを受けたようで」
「呪いを?!」
フィプスさんとレーラさんは驚いた顔でベル様を見ると、
「‥黒ずくめの人間達の中にリベルニの言葉で話す者がいた」
「リベルニ‥!?」
リベルニって、隣の国、だよね?
あのバタバタ騒ぎでそんな声が聞こえていたの?
私がベル様をまじまじと見つめると、ベル様は少し照れ臭そうに「一応、耳がきくんだ」と呟いた。それは、魔族‥だから?ともかく敵は隣国の人ってこと?そう思っていると、フィプスさんが難しい顔をして、
「呪いを、受けたと聞きましたが‥、一体どんな?」
「ヴェリとキルシュナを庇った際に力を奪い取られた。あと魔力がかなり減っている」
「え‥‥?!」
二人の顔が真っ青になった。
え、で、でも呪いって解けるんだよね?私はもう一度ベル様を見つめると、ベル様は眉を下げた。
「隣国の呪いは解呪が難しいんだ‥」
「えっ!?」
それって‥、ものすごく大変な事態じゃないか!!
フィプスさんとレーラさんが真っ青になった理由がようやくわかって、私は不安でいっぱいになって思わずベル様の手をぎゅっと握ってしまった。




