8番目、いざっダブルデート!108
どうなるかと思ったけれど、無事にブレスレットを作った我々。
意外に‥と、いってはなんだがヴェリ様は手先が器用で、留め具を自分でひょいひょいと付け、ついでにとばかりにシュナさんのも付けてあげた。ベル様のは私が取り付けると、感心したように私を見て、
「器用なんだな‥」
と、しみじみと呟いた。
「我が家はとりあえずなんでも作ってみる!という家だったので‥。あと、アクセサリーは姉が作るのが好きだったのも大きいですね。ベル様、手首を貸して頂けますか?」
「あ、ああ」
黒と薄茶と半透明の石‥。
私とベル様をイメージしたブレスレットをベル様の手首に付けてみる。
長さを調節できる留め具なので、ぴったり目にしておいた方が戦う時に邪魔にならないだろう‥。カチッとはめると、ベル様が嬉しそうに顔を綻ばせるので心臓がまたとんでもないことになった。
「‥ありがとう。リニのもつけさせてくれ」
「は、はい!お願いします!」
右手首を差し出すと、ベル様がなんとか留め具をはめようとするが、指が大きいせいか上手くできないようで、輪っかがはまりそう‥と、思ったら留め具が離れ‥。悪戦苦闘するのを横で見ていたヴェリ様が呆れたような顔をした。
「‥お前、相変わらず不器用だな」
「うるさい。輪っかが小さいだけだ」
「僕がつけよ‥」
「ダメだ。俺が付ける」
言い合いをしないでくれ。
横で聞いている領主さんが青い顔をして震えているぞ‥。
必死な顔で私の留め具をなんとか付けようとするベル様をジッと見つめるけれど、その視線にさえ気付かず一生懸命で‥。胸がぎゅうっと痛くなる。
自分で一生懸命付けたがるの、可愛いなぁ。
実は不器用だったんだなぁ。
それなのに必死に試行錯誤してくれているの、嬉しいな‥。と、カチッと留め具がはまり、ベル様はパッと顔を輝かせた。
「できた!」
「ふふ、ありがとうございます」
小さな子が嬉しそうにする様子に似ていて、ついつい笑ってしまうと、ベル様は私を見るなり耳先を一気に赤くして俯いた。
「‥‥す、すまない、手慣れてなくて」
「いえ、この場合は手慣れているとかえって良くないと思いますよ」
「そうなのか!?」
「そういうことにしておきましょう」
ベル様はちょっと首を傾げていたけれど、女性のアクセサリーの取り付けが上手な男性なんて、お仕事している人でもない限りどんなお付き合いしてるんだ‥と、疑われると思うけどね。しかしそんな発想にさえ繋がらないベル様を見るに、大変よろしいと思う。
手首を少し動かしてみれば、お揃いのブレスレットがコロリと転がって、光に当たってキラキラと輝いた。
「‥綺麗ですね」
「そ、そうか!」
またまた嬉しそうに微笑むから、その素直な表情に私の胸がさっきから右フックに左フックと連続カウンター攻撃を食らっている気分だ‥。
そんな私達を見ていたヴェリ様、シュナさんの方を見てにっこりと微笑み、
「キルシュナ、私も付けさせてくれないか」
「っへ?」
「僕だって君に作ったものを付けたいんだ。ダメかい?」
「い、いいいいいいいえ!??」
そんな照れさせるようなことをわざわざ言わんでも‥とは思うが、シュナさんに意識して欲しいんだなぁ。そう考えればある意味可愛い行動、ではあるか。
シュナさんにサッとブレスレットを付けると、赤い顔をしたシュナさんが小さく微笑むが、ハッとした顔で私を見て、
「り、リニさん!どうしましょう‥!私、留め具、壊してしまうかも!!」
「いえ、流石にそれは‥、ベル様?」
「‥壊れないように魔法は掛けてある。気にせずやってみろキルシュナ」
「は、はい!!!」
すわっ、攻撃を開始する直前のような気迫たっぷりの顔をしてヴェリ様の方へ向き直ったシュナさん。
「では、僭越ながら私もヴェリ様の手首にブレスレットを付けさせて頂いてもよろしいでしょうか!」
「‥なんだか勝負を申し込まれたような気分だけどお願いしてもいいかな?」
「はい!!!!」
完全に勝負の申し込みだ‥。
しかし、シュナさんが決死の覚悟でヴェリ様の手首にブレスレットを付けようと必死になっていると、ヴェリ様がそれは嬉しそうに微笑んでいた。
‥‥なんだ、本当にシュナさんを好きなんだな。
その気持ちがすごく伝わってきて、ベル様の方へ顔を向けたその時、
「死ねぇええええ!!!!」
ガラスの割れる音と共に、天井から誰かが落ちてきて‥。
目を丸くした私を、ベル様が自分の腕の中にすっぽりと抱きしめると、いつの間にか手に大剣を持っていて、黒づくめの人の持っていた剣の攻撃を防いだ。
え、あの、ちょっと何が起こってるの〜〜〜!??
アクセサリーの留め具に苦戦するタイプです。




