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8番目の結婚(仮)10


美味しい食事に舌鼓を打ち、幸せだ〜〜〜と感動していると、


「そういえばリニちゃん、オルベルのどんなとこが好きなの?」

「ゲホッ!?」


思わずむせる私をレーラさんが爆速で駆けつけ、背中を優しく撫でてくれた。な、何から何まですみません‥。オルベル様をチラッと見れば、顔を横に向け「何も知りませんが?」な、感じだ。


こらぁ!!15年ぶりの二度目ましての再会の私に何をどう説明しろと?!

‥と、思うけれど、エルザ様のキラキラした乙女のような瞳に、まさか「いや〜〜、実はお互い何も知らない上に、王様に半年はまずお試し期間で!って言われたんですよー!」‥とは、言えない、よね?



「そう、ですね‥。ずっと、その私を待っていてくれたところ、とかですかね?」



横を向いていたのに、勢いよくこっちを見たオルベル様。

めっちゃ反応するやん。だったら助け舟を出してくれ〜〜と、思うも、エルザ様は「きゃあっ!!素敵!」と、盛り上がっている。‥ギャルって恋ばな好きなの?それともエルザ様だけ?


「えー、他には?」

「え、ええっと、誕生日プレゼントを毎年贈って頂いて、それも嬉しかったです」

「オルベル、そんな事できたの?!」

「おい」


速攻でオルベル様が反応したが、あとはなんて言えば納得してくれるんだ?冷や汗がダラダラと背中で流れているんだけど‥。



「でもぉ、魔族からの求婚なんて人間ちゃんは断れないからじゃないの?」



いきなり核心突いきた。

と、いってもさっきヴェリ様からもそのお言葉頂きましたね。

しかし‥、さっきはヴェリ様はオルベル様に向けて言ってたけれど、エルザ様は私に向けて‥なのかな?どこか試すような視線を受け、ちょっと考えながら私は口を開いた。



「‥最初は正直、戸惑いました。なんで人間の私なんだろうって‥。魔族の皆さんより力は弱いし、すぐに死んでしまいます。しかも私は王族ではありますが、貧乏な島国の末娘です。何にも利点もない。だから、結婚してそれを知りたいという好奇心からお話を受けた感じ‥、ですね」



自分で言っておいて、なんかスッキリした。

今まで何度も断れる機会はあった。あったのに、父に「まぁ、なんとかなるよ」と言いつつ、どうしてかな?知りたいな‥に、いつの間にか変わっていた。我ながら後先考えてないなぁと思うけどね。


だけど、これって暗に「別にそこまで好きじゃないけど結婚した」と、言ってるのと変わらない?


ハッとした私に対して、エルザ様は肩を震わせて俯いている。

ま、まずい!!もしかしてオルベルを馬鹿にしてない?!って、怒ってる?!冷や汗がだーーーっと勢いよく出ると、



「あっはっは!!!オルベル〜〜〜、全然伝わってない!!まじでウケる!!」

「うるせぇっ!!!さっさと帰れ!!!」

「リニちゃん、マジで最高ーーー!今度うちに遊びにきてね!」

「は、はいっ?」

「行かなくていい!」

「ダメー!決定事項ですー!やばーい、もっと皆に一緒に行こうって誘っておけば良かった!」

「誘うな!!来るな!!」



え、なに?何が起きたの?

ともかく好感触って事でいいの?

私の後ろに控えていたレーラさんとフィプスさんをチラリと見ると、二人も笑いを堪えた顔をしている。


魔族わからん〜〜〜!

だけど、怒られるよりは笑って頂いたほうがいいかな?

こんな時、どんな顔をしたらいいの?いや、とりあえず笑っておこう!前世はジャパニーズ!笑顔は武器だ!!


ひとしきり大笑いしたエルザ様は、しっかりデザートを食べ、私と話しつつ締めのお茶を飲むと、静かに席を立ち上がった。



「さ、そろそろ帰ろうかしら。あたしねぇ、か弱い人間ちゃんだったら助けに行かないと!って思ってたんだけど、リニちゃんなら大丈夫かなって気がしてきたわ。で・も・オルベルが何かしでかしたらすぐに知らせてね!」

「しねぇ」

「あんたには話してないっての!じゃあ、リニちゃんまたね」

「は、はい!あの、今日はお祝いに来て頂いて本当にありがとうございます!」



急いで椅子から立ち上がってエルザ様に笑いかけると、すごく優しい瞳で私を見つめる眼差しが、なんだかお姉ちゃんに似ているなぁって思った。


「今度はあたしとお茶しよーね!」

「はい」

「あーー、マジで可愛い!じゃあね〜〜!」


私の頭を優しく撫でると、カツカツとヒールを鳴らしつつ風のように去っていった‥。うーん、風の軍団長っぽい?



とにかくいきなり結婚、王に謁見、食事会、訪問客の対応‥、と、いきなり尽くしだったけれど、何とかなったかな?ほっと息を吐いて、また椅子に座ればオルベル様の周囲の空気が暗い?


どうしたんだろう、大丈夫かな?

なんて言って声をかけようかと思っていると、フィプスさんは私を見てにっこりと笑い、



「あ、あれは放っておいて大丈夫ですよ。それよりお茶のお代わり如何ですか?」



と、言うのでお代わりをすれば、虹色のお茶。

やっぱり虹色のお茶はちょっと変わった味がしたけれど、オルベル様もお茶もその内慣れていくのかな?





元気なギャルっ子可愛いですよね。

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