8番目、いざっダブルデート!107
和やかな雰囲気で鉱石について説明を受け、いよいよメインイベント!鉱石を使って、それぞれのパートナーのイメージカラーのアクセサリー作りである。
領主さんがにこやかに工房まで案内してくれると、リリオン様がにっこり笑ってシュナさんを見上げた。
「では、今日は折角の機会なのでお互いにそれぞれアクセサリーを作ってみようか」
「へ?」
目を丸くしたシュナさんに、私とベル様で顔を見合わせて頷いた。
「素敵ですね!」
「イイオモイデニナルナ」
‥ベル様、棒読み。セリフ棒読みです。
しかしシュナさんは突然のアクセサリー作りという提案に驚いているので、気付いていない。うん、まぁ大丈夫か。領主さんはそんな私達の空気を読み、
「僭越ながらアクセサリー作りに長けた者がおりますので、実際に作ってみても良いですし、お手伝いをさせて頂くこともできます。あと鉱石ですが、オルベル様がこの日の為に特別な物を用意して下さいました」
「へ?」
特別な物?
何か他にも用意したの?
ベル様を見上げると、耳先を赤くさせつつ小さく咳払いした。
「‥先日、リリオン様が案内した隣国の方達が鉱石を取り扱う商人だったので、少し融通して頂きました」
先日‥って、あれか、ベヒモスの巣に入っちゃった人達か!
ん?じゃあ、もしかしてフィプスさん達が話していた、ベル様が会いに行ってた人達って、鉱石を融通してもらう為に‥?
ベル様をまじまじと見ると、領主さんから赤い布に包まれた箱を私達に見えるように開けてくれた。
中には、青と金の入り混じった鉱石が入っていて、時折光に当たって金色が光って‥、思わず私とシュナさんでほうっと息を吐いてしまう。
「とても、美しい色ですね」
「ああ、キルシュナの瞳のような色だね」
「そ、そそそ、そうですか?!金は、まさにヴェリ様のような色かと‥」
「うん。だから一緒にブレスレットとして作ってみようか」
「は、はははははい!!」
ヴェリ様、流れるようにシュナさんにアクセサリー作りに誘ったなぁ。
領主さんがさっと椅子を用意して、アクセサリー作りを教えてくれる人に声を掛けていて、その手際の良さに感動である。
と、私の肩をぽんぽんとベル様が叩き、
「リニは、こっちだ」
「え?」
ベル様がもう一つ黒い薄べったい箱を開けると、黒と薄いベージュ、そして半透明の混じり合った石が入っているのを見せてくれた。
「わぁ‥!」
「その、今日のワンピースにも合う色かと思って‥」
「これも、その、先日助けた方達から?」
「ああ‥、珍しい石らしくて。その、どうだろうか?」
さっきは自信満々だったのに、今は私の反応を心配そうに見ているベル様。そうして、お仕事部屋にあった可愛い石ってこの事か‥と、ようやく合点がいった。ああ、この為に色々手配してくれてたのか‥。胸の中がじわじわと暖かくなって、嬉しさで一杯になる。
「とても、綺麗です‥!!」
「そうか‥!」
「あの、早速私達も作ってみますか?」
「そうだな!ブレスレットにするか?指輪にも加工できるらしいが、イヤリングにしてもいいし‥」
お、おお、めちゃくちゃ作る気満々だな?
張り切るベル様に驚いていると、「ひゃあぁあああ!」と叫ぶ声に振り返れば、シュナさんがオロオロしながら石を持って震えている。
「シュナさん、どうかしましたか?」
「あ、穴に紐を通すのが難しくて‥」
よくよく見えば、シュナさんの大きな指がプルプル震えている‥。
こそっと、「もしかしてヴェリ様が隣にいるの、緊張してます?」と、小声で聞くと赤い顔でブンブンと頷いた。‥そうか、そうだよね。私はにっこり微笑んで、
「シュナさんの隣に座らせて頂いても良いですか?私も、以前少しだけ手作りを楽しんでいた時期があるので、お手伝いできると思うのですが‥」
「ぜひっっっっ!!お願いします!!」
速攻で頷くシュナさんに、ヴェリ様が若干残念そうな顔をしたが、いきなり距離を詰められると軍団長であろうと恥ずかしいだろうし勘弁してやってくれ。ちらっとベル様を見れば、少し遠くを見つめつつ、
「キルシュナ、少しずつ、焦らずやればいい」
と、アドバイスを送ってくれた。
そうだねぇ、本当に人も物もそんな感じでいられればいいよね。
コクコクと頷くシュナさんに小さく笑えば、ようやくホッとしたように息を吐き、少しずつ落ち着いてテグスに石をそっと通し始めた。
良かった。
これでなんとか出来そうなかな?
なんて思っていると、シュナさんの力が強いのか石がゴリッとか、パキッとか不穏な音がする‥‥。
わ、割れてないよね?そろっと隣に座ったベル様に目線を送ると、「‥念には念を入れて、割れないように魔法を掛けてある」と、こっそり教えてくれた。シュナさん、どれだけ力が強いんだろう‥。驚く私だが、そんなシュナさんをニッコニコで見つめるヴェリ様。まぁ、楽しそうならいっか!
シュナさんの握力すごそう‥。




