8番目、いざっダブルデート!105
いよいよダブルデート当日!!
いや‥、よく考えたら大国フィヨルムの王様が「ダブルデートしよ」って、すんごい事言ってるよね。しかしここは魔族の国。私の貧乏国家とはまるで違う世界。郷に入っては郷に従えという前世からの教えを今世でも大事にしておこう。
窓の外を見れば、雪が積もっている山々が遠くに見え、足元には大きな街や村がいくつも見えては通り過ぎていく。
「すごい景色だなぁ‥」
私の住んでいた島は1日歩けば周りきれてしまう大きさなので、こんな風にずっと流れる景色を見ていると本当にこの国は大きい所なんだなぁとしみじみと痛感する。もうそろそろ実家へ出した手紙も返信をくれる頃かなぁなんて思っていると、段々と高度が下がっていくのに気が付いた。
おおっし!気合いを入れろ私!!
デートはこの際、横に置いておいて‥まずはヴェリ様とシュナさんの仲を深められるように尽力しよう。そう考えておかないと、心臓がやばい。すでにさっき一回ベル様のスーツ姿に私の心臓が爆発したからね。生きて帰ろうホトトギス!!である。
「リニ」
「うあっはい!?」
「そろそろ降りるから、準備だけしておいてくれ」
「はいっ!!」
勢いよく返事をした私に、小さく微笑みカーテンを閉めたベル様。
心臓に悪い‥。本当に悪い。ともかく一度深呼吸して、小さなバッグを持って気合いを入れると、ふわりと地面に降りた気配がする。
そっとカーテンを開けると、そこはどうやら大きなお城の屋上のような場所で、ノルチェの周りに鎧を着た兵士さん達が立っている。お、おお、なんだかやっぱり物々しいな。
とはいえ王様が来るんだから当たり前か‥と、一度カーテンを閉めようとすると、ジャッと勢いよく開いて、
「久しいな。元気だったか?」
「へ?」
目の前には濃い青の衣装に身を包んだヴェリ様!??
いきなりトップが私をお出迎えーーーー!???それはシュナさんにしてやって!!驚いて、目を見開くと瞬間、ベル様が「こら!!ヴェリ、いきなり開けるな!!」と、注意して私の方へ手を差し出した。
「ヴェリがすまない‥」
「いや、あの、王様なので呼び捨てはまずいのでは‥」
「そうだそうだ〜!頭が高いぞ!」
うん‥、その反応、リリオン様にそっくりだぁ。
ベル様の手を取ると、ゆっくり一緒にノルチェから降りてくれた。
無事に着いたことにホッとしていると、ふと空の上が暗くなった。お日様が隠れた?顔を上げると、空にノルチェよりずっと大きな銀色の竜が飛んでいる!?
「お、大きい‥!!」
「キルシュナの竜だな」
「シュナさんの?!!」
あんな大きな竜に乗って飛んできたんだ!!
ぽかんと口を開けて竜を見ていると、ふとその竜から何か飛び出してきた?
「ん?」
シュッと音がしたかと思うと、地面にカツンと鋭利な音と共にワンピースを着たシュナさんが立っている。え、え?もしかしてあの竜から飛び降りて‥きた?でもあの高さだよ?!思わずベル様を見上げれば、静かに頷き、「あれくらいは普通だ」と言うので、私はますます口をあんぐり開けるばかりだ。
しかしそんなことを気にしないのであろうヴェリ様はニコニコである。
「キルシュナ、おはよう。今日も綺麗だね」
「お、おはようございます。本日は視察にお呼び頂き‥」
「やだなぁ!視察じゃなくてデートだよ」
「ひっ、ひぃいっ、で、デート、ですか」
一気に赤くなったシュナさんに、ヴェリ様が手を差し出し、
「さ、エスコートさせてね」
と、微笑むと、シュナさんは首をギリギリと動かし、私を見ると小声で「助けて下さい〜〜〜〜!」と、叫んだ。早い、ギブアップが早い。どうしたものかとベル様を見上げると、耳先の赤いベル様が小さく咳払いし、
「まぁ、慣れも必要だしな。リニは俺と手を‥」
「助けなくて、大丈夫ですかね?」
「今助けるとヴェリがヘソを曲げる‥。タイミングを狙おう」
「タイミング‥」
仲良くさせようと思えば、離れさせようとするとは‥、この戦い、なかなか難しそうだ。しかしシュナさん、すでにいっぱいいっぱいのようだぞ。できるだけ小声でベル様と相談だ!
「あの、まず視察は町の中心部、ですよね?」
「ああ、この建物を出て馬車で移動する」
「じゃあ、その時にシュナさんを私の方の席へ移動させましょう」
「‥‥‥そうだな」
「あれ?何かありました?」
「‥‥‥いや、その、俺も隣に座りたかったと」
「え?」
隣?
誰の?
目を丸くすると、ベル様は目を横に逸らしながら、「その、行きはずっとノルチェとだったから、馬車くらいはリニと一緒もいいかと‥」と、ボソボソと照れ臭そうに言うので、私の心臓がパーーーーンと勢いよく弾けた。
無理!!
私もデートは無理だこれ!!私も助けてシュナさーーーーーん!!!
タブレットのシートを貼るのに先生は1時間もかかりました。
そして更新が遅れました。




