8番目、いざっダブルデート!104
翌朝、素晴らしい晴天!
しかし天気とは裏腹に私の心は「とうとう来てしまった!!!」と、いう暗雲立ち込める気持ち‥。デートって本当ならうっきうきのはずなのに、これいかに。
「リニ様、おはようございます」
ドアの向こうからレーラさんの声が聞こえて、返事をすればカートに朝食をのせてやる気満々で入って来た。
「え、朝ご飯こっちなんですか?‥」
「はい!あ、あと本日の野菜の水やりはすでにオルベル様がしておいたのでご安心下さい。ささ、朝食後すぐに準備をいたしましょう!」
「は、はい!」
私の返事と共に腕まくりをしたレーラさん。
ソファー前のローテーブルにスープとサンドイッチ、お茶を手早く用意してくれた。‥戦いは、もう始まっているんだな。
そうして、朝食を食べ終えた私にレーラさんがウッキウキで薄い黒い生地の上に、薄いベージュのレースが散りばめられているワンピースを持ってきてくれた。
「どうです!?これぞオルベル様とリニ様の為のワンピースでは!?」
「そ、そうですね?」
「ですよね!?いやぁ、どんなワンピースが良いかとフィプスさんと昨晩、協議に協議を重ねて選んだのですが、なかなかの作品に仕上がりました!」
「‥作品?!もしかして、これってレーラさんの手作り‥!?」
「うふふ、アレンジだけですわ!」
アレンジって、どっからどこまで?!!
しかしワンピースを着てみれば、確かに常時私が着けている黒のチョーカーとしっくりくる。素晴らしい以外の形容詞が欲しいところである。
と、ドアがノックされ、返事をすれば本日は黒のスーツをビシッと決めたベル様が入ってきた。
かっっっっっっこいいな!?
前髪を全部後ろに撫で付けてあるけれど、顔がスッキリして見えるのでその分綺麗な顔がよく見える。うん、顔が見え過ぎて困る。どこに視線をもっていけばいいんだろう。
「リニ?準備は大丈夫か?」
「は、はい!大丈夫です!」
「では、その、行くか」
「は、はい!」
ベル様の大きな手が差し出され、私はそっと自分の手を重ねると、ベル様がボソッと、
「‥‥‥‥可愛いな」
そう呟いた気がしたが、すでに横を向いてドアの方へ歩き出した。
ん?気のせい、だったか?首を小さく傾げつつ、レーラさんを見ればなんだか複雑な顔をして微笑んでいた。ええっと、何かあったの??そう思いつつも、一緒にベル様と中庭へ出れば黒い大きなドラゴンのノルチェが待ち構えていたように降りてきた。
「ノルチェ、おはよう!今日はよろしくね」
私がそう言うと、ノルチェは目を細めて自分の頭を私の体の方へ擦り付けてきた。くうっ!可愛い!!ちょっと大きいから怖いっちゃ怖いけど‥。そっと頭を撫でると、ベル様も横からノルチェの頭をポンポンと叩いた。
「今日も頼むぞ」
「クエッ」
ノルチェが返事をすると、サッと伏せのようなポーズを取る。
「抱き上げるぞ」
「え」
突然ベル様がそう言うと、私を横抱きし、そのままノルチェの背中にある小さな小屋まで連れて行ってくれた。そ、そうだった!そういえばこういう乗り方でしたね?!私の心臓よもってくれ!!
小屋の入り口でそっと下ろしてくれたベル様は、カーテンを開けつつ、
「風の関係で1時間は掛かる」
「は、はい」
「何かあればすぐに窓を開けて言ってくれ」
「はい!」
ふかふかのソファーに座ると、ベル様は小屋の中をぐるっと見回してから、私の頭を最後にポンと手を置いてからカーテンを閉めた。
え、今の頭ぽんってなに???
ノルチェにさっきしてたみたいな感じだったし、その延長‥か?
とはいえ、突然の頭ぽんは私にはかなり衝撃的だった。前世の少女漫画であれだけ見ていたシチュエーションなのに、実際にされると心臓への負担がすごい!!多分、私の顔‥今頃真っ赤だぞ。
「‥‥生きて、帰れるのか?」
両手で赤いであろう頬を抑えると、ノルチェが動き出したのかゆっくり小屋が動いた。慌てて小窓を開けて外を見れば、レーラさんとフィプスさんが少し離れた場所で手を振っていた。
「い、行ってきます!」
「はーい!どうぞ楽しんできて下さいね!」
「オルベル様ーー!安全運転ですからね!間違っても宙返りなんてしちゃダメですよ!!」
「‥わかっている」
レーラさんとフィプスさんがベル様の返事に笑っている姿を見て、私まで笑ってしまう。本当に良い人達と一緒にいられて私って幸せものだ。元気よく手を振ると、二人も笑って手を振ってくれて、それだけでちょっと緊張していた心が緩む。
と、一気に空へ上昇し、あっという間にお屋敷が小さく見えた。
「行くぞ」
ベル様の声が聞こえ、「はい!」と私も返事をした。
いざ!!だ、ダブルデートである!
ダブルデートって、本当に存在しているの?と、思う
青春とは縁遠い世界で生きてきた人間です。




