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8番目の初恋。  作者: のん


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104/130

8番目、ダブルデート前日。102


ごうごうとものすごい音がしていた2週間。

本当に町へ行く前日の夜に、ピタリと風が止んだ時はびっくりした!

驚くと同時に、お屋敷の明かりが一斉につき、レーラさんが「ようやく明かりが戻りましたね」と、ほっとした顔をした。そういえば、お屋敷の明かり分の魔力を全部町へ流していたんだっけ。


「すっごく家の中が明るいですね‥」


ベル様と一緒に夕飯を食べつつ、私がしみじみと呟くと、ベル様も天井をぐるっと見回して、


「今回は町の魔力回線がかなり派手に壊れてしまったからな‥。こんなに長引くとは思わなかった。リニには迷惑をかけたな」

「いえ、実家は元々節電の家でしたから‥、暗くてもそんなに不便は感じませんでした。あと精霊が飛んでないのも大きかったですね」


私の言葉に、ベル様が小さく笑った。


「うまい具合に精霊が黄泉に帰ってから嵐が来るからな」

「本当ですね‥」


世界って、まるで計算されたように上手く出来ているなぁって痛感するわ。お父さんやお母さんが、「天気に右往左往して、ダメな時は本当にダメなのに、長い目で見ると結局大丈夫‥なんて良くある」って、言ってたのを思い出す。


「あ、あと、明日の予定なんだが‥」

「はい、鉱石の町の視察ですね」

「ああ‥。その、ノルチェに乗って町まで出かけて、そこでヴェリとキルシュナに会う予定だ。朝の8時には家を出るが大丈夫そうか?」

「はい!早起きは得意です!」

「そうか‥」


安心したように微笑むベル様に、ムズムズする!

ううっ、恋心を自覚するって大変だ!明日、何を着ていこうかな‥とか、何を用意しておけばいいかな?とか、ずっと悩んでいるのに、早くデートを終えて落ち着きたいとか完全に支離滅裂だよなぁ。



「‥‥明日、楽しみにしてる」

「え、」



耳先が赤いベル様が、横を見ながらそうポツリと呟くように言うので、一瞬何て??と、思ったけれど、じわじわと言われたことの内容が伝わってきて、私まで耳先が赤くなった気がする。


「あのっ、わ、私も‥」


そう言いかけたその時、ドドド‥と、地響きがして、すわ地震か!?と、思った瞬間に食堂のドアが勢いよく開かれ、



「オルベル様!!!リニさん!!!明日、ど、ど、どうしましょうーー!!!」

「シュナさん!?」



涙目のシュナさんの登場に、驚く私とベル様。

そして後ろで急いで追いかけてきたであろうフィプスさんが「‥少し落ち着いてください」と、呆れた顔で注意した。


「どうしたんですか、シュナさん?明日はお出かけ‥」

「ふ、服ってどうしたらいいのかわからなくて!」

「え、」

「あと、私‥こんなに大きいので、やはりヴェリ様には相応しくないのではと」

「それは万が一にもなさそうですが、ともかく不安なんですね?」


私の言葉にシュナさんがコクコクと頷き、


「明日のことを考えるといても立ってもいられなくて‥」


と、大変乙女な発言をしたが、その後に「槍を素振り300回したけど、結局落ち着かなくて」と、言った。うん、やはり戦士だな‥。


チラッとベル様を見れば、眉間にシワを寄せ、



「‥‥俺は服に詳しくないから、まずレーラとリニに聞け。それからお前にヴェリが相応しくないと、誰か言ったのか?」

「え、えっと、」



目を泳がせたシュナさん。

分かりやすい‥。誰かに言われて不安になっちゃったのか。

私は席を立って、シュナさんの背中をそっと撫でた。


「私からするとシュナさんは、こちらへ来て間もない私に優しくしてくれて‥、ここだけの話、ヴェリ様に勿体ない相手なんじゃないかと思ってますよ?」

「え!?」


驚きに目を丸くするシュナさんについ笑ってしまう。

でもさ、人間相手に馬鹿にする人達がいる中で、すぐに打ち解けてくれて私は本当に嬉しかった。だから誰に言われたかわからないけど、そんなことでシュナさんの自信を壊されたくない。



「一緒に服を選びましょう!私もちょっと自信がないけどレーラさんがいてくれますし、一緒ならきっとなんとかなりますよ!」

「リニさん!!!」

「キルシュナ!!猫!子猫のように優しく抱きしめろよ!!」



ベル様が慌てて言うと、シュナさんはハッとしてそっと抱きしめてくれた。あ、ありがとうベル様。うっかり圧死しちゃうどこだったわ‥。



シュナさんの腕の中でお互い目配せして、小さく笑ったけど‥、いよいよ明日はデートかぁ。シュナさんにそう言われてから、どんどんドキドキしてきたし、なんだか緊張してきたぞ?!嵐ですっかり忘れていたけれど、私も大丈夫かな?そう思いつつ、そっと抱きしめてくれるシュナさんの背中を優しく撫でた。




本当〜〜〜に寒い!!

みなさま暖かくしてお過ごし下さい。

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