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8番目の結婚(仮)9


さぁ、美味しいご飯を食べよう!って思っていたのだが、同僚であり、恐らくとても強いであろう風の軍団長であらせられるセクシー系ギャルだけど男性という情報過多のエルザさんに、


「嫉妬にかられて剣を投げつけるなんてサイテー!!」


と、言われたオルベル様。

ぶうぶうとクレームを言いながら、私を庇うようにエルザ様の筋肉に抱きしめるが、その筋肉によってあわや窒息しそうになると、フィプスさんがエルザ様とオルベル様を見て、



「二人とも!人間はすぐ死ぬって言ったでしょう!!さっさと離れて!」



一喝した途端、エルザ様はハッとした顔をした。

パッと体を離し、「大丈夫?!死んでない?!」と、私を確かめるように見つめたが、息を整えながら、やっぱりどう見てもエルザ様は美女だな〜〜と思いつつ頷くと、フィプスさんが私を椅子にそっと座らせてくれた。


あ、ありがとう、フィプスさん!!

こそっとお礼を言えば、フィプスさんも微笑んでくれた。そうしてオルベル様とエルザ様を睨み、



「俺言いましたよね?!魔族と違って人間はすぐ死ぬって!!オルベル様?武器は家の中で振り回さない!エルザ様も筋力やばいんですから、うっかり圧死させたらどうするんですか!!人間にはソフトにですよ!エルザ様なんて、この間ペットがあわやご臨終になりかけたでしょ!」


「「‥‥‥‥‥はい」」



二人は静かに返事をしたけれど、こりゃ私もうっかり私も死なないように気をつけよう。と、レーラさんが金色の豪華なカートに乗り切らないくらいのお皿からはみ出したお肉の塊を運んできた。


「あらあら〜〜、エルザ様!いらっしゃいませ!オルベル様が朝から気合いを入れて採ってきたお肉、一緒に召し上がりましょう!」

「やだー、嬉しい!じゃあ一緒にご相伴に預からせて貰っちゃおうかしら!」


嬉しそうにそう言うと、フィプスさんが私の向かいの席に椅子を用意し、そこにエルザ様も座るとオルベル様がじとっとエルザ様を睨んだが、まったく意に介せず「すっごい美味しそうね〜!」と、ご機嫌である。なるほど、これくらいの強いメンタルが必要なんだな‥。


早速エルザ様の姿を参考にキリッとした顔をすると、切り分けられたお肉が目の前に置かれて、うっかりよだれが出そうになる。そして、いつの間にか分身したレーラさんが、私達の目の前のグラスにそれぞれ飲み物を注いでくれた。



少し緊張した顔のオルベル様がグラスを少し持ち上げて、私をチラリと見た。お、乾杯か?私もグラスを持ち上げると、オルベル様は目をウロウロさせてから、



「‥‥これから、よろしく」

「はい!よろしくお願いします!」



緊張気味のオルベル様、なんだか可愛いな。

私が返事をすると、エルザ様とレーラさん、フィプスさんが「おめでとうございます!」と、言ってくれて‥、ちょっと照れつつ皆で乾杯した。


いきなり床に剣が刺さって驚いたけど、魔族の国だしこれくらいで動揺しないようにしないとな‥。グラスをそっとテーブルに置いて、朝から狩ってきてくれたお肉を早速食べると、



「美味しい‥!!!」



めちゃくちゃ美味しい!!

牛肉みたいな味だけど、豚肉のようでもあり、鴨肉みたいな味もする。ええ〜〜〜、なにこれ魔物ってこんなに美味しいの?!うちの国でもたまに小さな魔物が出てきてお兄ちゃんが狩ってたけど、せいぜい毛皮を剥いで終わりで、お肉は全然ノーマークだった。


これは、食べ方を聞いて家に知らせねば!!


もりもり食べながら、うちの島にいる魔物が食べられるかレーラさんに聞いてみよう‥と、思っていると、なんだか視線を感じる?顔を上げると、みんなが私をジッと見ている‥?


レーラさんが覚悟を決めたように私を見つめ、


「リニ様、お肉はお口に合いましたか?」

「はいっ!すっごく!!」


力を込めて頷くと、エルザさんがパアッと顔を輝かせ、



「えーーー!オルベル、めっちゃ良かったね!!前に来た人間ちゃん、魔物肉出したら真っ青になって食べるのもやっとだったのに!!」

「え?!」



前に来た人間ちゃん?

オルベル様はそれは嫌そうな顔をして、


「‥‥あの人間は、こっちに使者として来ただけだ」

「せっかく美味しいのを用意したのにねぇ」


カラカラと笑うエルザ様を見ると、人間がすみません!と、思う気持ちと、こんな美味しい物を食べないなんて!と、思ってしまう。


レーラさんが私の横へそっと来て、


「お代わり、どうしますか?」

「食べます!すっごく美味しいので。オルベル様も朝から狩りに行ってくれてありがとうございます!」


なにせ私は、食にはうるさい前世の記憶を持つ人間。

用意してくれることは、当たり前じゃない。

しかも今世は貧乏な島国国家のお姫様‥、なのに畑を耕すこともしてきた身。何かを育てることは、簡単なことじゃない。むしろ前よりも食べる事に感謝してる。



にこーっと笑うと、オルベル様は一瞬目を見開き、それからボソッと、



「‥‥‥また採ってくる」



と、言ってくれた横で、フィプスさんがすかさず「乱獲しないで下さいね」と、突っ込んだ。あ、そんなに採ってくる気満々だったの?





お肉大好き!!!私も食べたい!!

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