99.春休み・(バスの営業所での魔物退治①)
「このは!私が合図を出したら風の術を魔物に向けて思いっきり打つんだ!いいね!」
と言った。私は
「わかりました!」
と返事をすると師匠は、戦っている騎士達に、
「後は私たちが引き受けるよ!」
と大きな声で叫んだ。すると騎士達は走って魔物の元から離れこちらに向かって走って来た。そのうちの1人が
「庵主様、いつもありがとうございます。」
と言って通り過ぎた。その騎士達を追って赤黒い4つ足の魔物達がこちらに走って来る。街灯に照らされた魔物は恐ろしさと不気味さが増して見える。師匠は
「今だ!風をおこせ!」
と叫んだ私が風を起こすと師匠は人差し指と中指を立ててふっと息を吐くと私の起こした風に火が螺旋になって絡みつき魔物たちを一気に焼き尽くした。すると師匠はキョロキョロとあたりを見回し、あっちだと言って走って行った。
営業所のフェンスの向こうにはたくさんの木々が見えた。その木々の手前に、壊れた祠と、毛糸の帽子を被っているお地蔵さんと、花瓶が街灯に照らされぼんやり見えた。師匠は、
「あそこだ。」
と言って金網をひょいと登って向こう側に飛び降りた(師匠は100歳を超えている)。私も師匠を追って金網を登ったが師匠のようにスマートにはいかず私はガシャンガシャンと音を立てながら金網をよじ登り、向こう側に飛び降りた。その時、ガタガタガタガタと壊れた祠の木のかけらや、花瓶、お地蔵さんが揺れ出しそれらの隙間から魔物が溢れて来た。
「私が合図を出したら懐刀であの中心に懐刀を刺して結界を張るんだ!いいね!」
「はい!」
私は師匠からの指示に大きな声で返事をした。それを合図に師匠は懐刀を出し、それに炎を宿してどんどん魔物を切っていった。その動きは一切の無駄はなく、踊りでも舞っているような美しささえある(100歳を超えている)。師匠なら大きな術で魔物達を吹っ飛ばせるのになんでこんな面倒なことをやっているのだろう・・・。あっ・・・あの木々は蜜柑!あそこはみかん畑なのね。師匠は蜜柑の実を落とさないように配慮して戦っているんだ。すごい。と感心していると、師匠が
「このは!ここに結界を!」
と叫んだ。私は梵字でカーンと書き懐刀を使って結界を張った。そして師匠は私の張った結界の中心にお地蔵さんを置いて封印の術を行った。
「これでよし。」
と言って師匠はこちらを向いて
「お疲れ様。よくやったね。」
と私を労ってくれた。




