86.春休み・(大本山の秘密)
「準備はいいかい?」
「はい。」
私と師匠は高尚院の裏手にある鉄門扉の前にいる。私の返事を聞いた師匠は鍵を開け、門扉を押して開いた。そしてまた鍵をかけた。
「ついておいで。」
門扉から10メートルくらい下りの階段があり、そこを降りたところに洞窟?トンネル?の入り口があった。(入り口の大きさは横4メートル高さ3、4メートル。その入り口にはしめ縄がかけてある。そのしめ縄をくぐると師匠は右手をひろげ
「ふん!」
と息を吐いた。すると洞窟の右側に火が点々と灯った。洞窟の壁に等間隔に松明がささっている。洞窟の奥はカーブになっているようだ。師匠は、
「反対側にはあんたが火をつけるんだ。」
と言った。そして続けて
「手を広げ、手の中心に熱をイメージし、お経を読む時の呼吸をしなさい。遠くの蝋燭の火に息を吹きかける様に手から火を飛ばすんだ。」
と師匠が言った。私は言われた通りに手から術を出した。すると手前の松明5本に火がついた。師匠が火をつけた時は松明だけが燃えた。でも私が火をつけた時は私の手から5本の火が(直線に伸び)出て松明に届いて火がついた。
「あれ?師匠の火のつき方と違う。」
と私が呟くと、師匠は
「今はそれでいい。残りの松明も同じようにつけていきなさい。」
と言った。私は師匠と奥に進みながら松明の火をつけていった。・・・30メートルくらい歩いていくと大きな広い場所に出た。直径15メートルはあるであろう広間の中央には直径4、5メートルくらいの黒く濁った池があった。 師匠は
「これからあの池の浄化をするんだ。昔この土地で大雨が降った時に多くの人々が亡くなった。(『死皇子山物語』36.まて!ババア!を参照)その時にご遺体をこの死皇子山で火葬したんだ。その際、ここに魔物が集まったことは想像できるだろ。この池の底には澱が溜まっていてね。3ヶ月に1度位の周期で魔物が噴き出すんだよ。だから魔物が噴き出す前に、中の魔物を倒してこの結界を掛け直しているんだよ。今日はあんたが魔物退治を担当するんだ。いいかい?」
と言った。私は
「わかりました。」
と答え懐刀を取り出した。




