85.春休み・(師匠と買い物④)
私と師匠は三光(中村くん家のお店)を出ると、師匠と私は商店街で買い物をして帰ることにした。もうすぐお昼時なので、惣菜屋さんの前はお客さんが多く集まっている。師匠は
「お昼は何にしようかねー。」
と独り言を言うと、魚屋さんのおじさんが
「庵主様、干物如何です?蝦夷産のホッケ、おすすめですよ。」
と言って薦めると、師匠は
「もらおうかね。」
と言ってお金を支払った。すると、
「この前のお礼です。婆さんが庵主様に見てもらって調子が良くなったって喜んでました。」
と言ってお刺身の盛り合わせの竹皿(竹を真ん中から割って節を利用して皿にした物)に竹の蓋をして干物と一緒に新聞紙に包んで袋に入れて渡した。師匠は
「別にお礼を貰いたくてやったんじゃないよ。ついでだよついで。」
と断ったら、魚屋さんのおじさんは
「この刺身盛りもついでです。貰って下さい。」
と言って他の人の接客を始めてしまった。師匠は
「ありがとうね。」
と言って店を出ると、魚屋さんは
「毎度あり!」
と笑顔で答えていた。それから八百屋さん、お肉屋さん乾物屋さんに寄ったがどの店でも師匠は感謝の言葉と共にさまざまなサービスを受けていた。そしてすれ違う方たちから
「庵主様、お買い物ですか?」
「庵主様、先日はありがとうございました。」
とかいろんな方々から声をかけられていた。わたしは師匠に
「師匠は人気者ですね。」
と言うと、師匠は
「からかうんじゃないよ。」
と言って早足になった。私は師匠に遅れを取らないように家までの道のりを早足でついていった。
昼ごはんはお魚屋さんからいただいたお刺身の盛り合わせで海鮮丼を作り、乾物屋さんの奥さんからサービスでいただいた乾燥わかめで作ったワカメとネギの吸い物をいただいた。師匠は
「3時になったら修行をするよ。修行の後動けなくなるかもしれないから部屋に布団を敷いておきなさい。」
と言った。
・・・何ですと?動けなくなるかも知れない肌の激しい修行?・・・やってやろうじゃないの。私は
「わかりました。万全の体制で臨みます。」
と師匠に言った。




