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72.結界

 朝のおつとめが終わって墓の掃除(魔物退治)をしていると、師匠が

「これから結界を貼るからよく見ておくんだよ。」

と言って師匠小枝を4本拾い墓地の四隅に差し今日はゆっくりと手を動かし結界を張った。あの手の動き、梵字でカーンと書いてたんだ。

「見たかい。」

「はい。梵字でカーンと書いている様に見えました。」

「正解。あんたには私の結界を見て他に何が気が付かなかったかい?」

「他にですか?」

「まぁ、難しいだろうね。・・・呼吸だよ。あんたが毎日唱えているお経の呼吸が結界を張るリズムに似てるんだよ。」

「あ。」

「そういうことだ。あとは手で梵字を書けばいいって訳だ。」

「昨日はまだ上手に書けるようになる前に練習をやめたから。」

「まぁ、いいさ。こっちにおいで。」

私達は境内に移動すると、師匠が

「あのくすのきをぐるりと囲む結界を張ってごらん。」

と言って指差した。


 私は直径150センチくらいの楠を囲むように木の枝を4ヶ所刺した。そして呼吸を整えながら手でカーンの梵字を書きながら結界を張った。

「まぁ。いいだろう。こうやって小枝を補助に使うとこれくらいの範囲で半日は持たせることができるだろうよ。じゃあこの階段220段下から上まで小枝を使わず結界を張ってみな。」

「え、ここから動かずに?」

「そうだ。しっかりカーンの梵字を書いて呼吸を整える。四隅に広げていくイメージでいい。ゆっくりと伸ばすんだ。」

私は師匠に言われた通りに結界を張っていく。四隅に伸ばしていく感じで。

「できた!」

2、3分かけて結界を完成させたがその瞬間、吐き気がして、私は側溝に走り、そこで嘔吐をしてしまった。師匠は、ジョウロに水を汲み側溝に溜まった吐物を流しながら、

「結界を張る際は、魔力が体内で振動をして三半規管を揺らすんだよ。結界は魔力を多く消費するし、体にかかる負担も大きいから出来るだけ薄く広く均等に張るように。そうすれば体への負担は少ないからね。」

「薄かったら効果が減るんじゃ無いんですか?」

「薄く、広く、均等に張ればそれが一番丈夫で長持ちするよ。あんたは少し部屋で横になってなさい。」

そう言って私は師匠と玄関に向かった。


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