6.なんでそうなるの?
「ちょっと、中の魔物は浄化されたから離してください。」
と私は馬鹿皇子の腕をペシペシと叩いた。
「痛っ。何すんだよ。」
と言って馬鹿皇子は私から離れた。私は馬鹿皇子は無視して父に
「廊下の人型魔物2体は無事浄化しました。魔物による被害もありません。」
と報告をした。父も
「室内の獣型魔物1体と人型魔物2体、無事浄化したよ。」
「じゃあ、さっさと帰ろ。」
「あぁ。そうだね。」
と父は言うと、私を連れて二階堂さん元に行き、
「今日の事は口外されない様、皆様にお伝えください。」
と念を押すと、二階堂さんは
「かしこまりました。」
と深々と頭を下げた。そして続けて、
「主人がお茶を用意しております。ご都合がよろしけばぜひ。」
と言ってまた深々と頭を下げた。父は私に
「どうする?」
と尋ねたので、私は
「帰りたい。宿題がまだ終わってないの。」
と答えた。父は
「わかった。じゃあお断りしよう。」
と言うと、
「ちょっと待てよ。」
あ、そういえば居たわね、馬鹿皇子。一体全体何の用?私達が振り返ると、馬鹿皇子は
「お茶位飲んでいけよ。お前が食べたことない外国の美味い菓子を食わせてやるよ。」
と言った。私は
「それは命令ですか?」
と尋ねると、馬鹿皇子は
「いや、命令ではなくて、その、美味い菓子を・・。」
と、モゴモゴ何か言っている。私は早く帰って宿題がしたかったので
「命令でなければこれにて失礼致します。」
と丁寧に頭を下げて回れ右をした瞬間に腕を掴まれた。しかも怪我してる左の腕を。
「痛っ。」
思わず声が出てしまった。すると馬鹿皇子は
「悪い。・・すまない。」
と消えそうな声で謝った。私は
「いえ。」
と答え、父に
「帰ろう」
と言うと、父が馬鹿皇子に
「せっかくだから美味しいお菓子、頂いていきます。」
と言った。なんでよ。さっさと帰ろうよ。私は平田屋さんのおはぎと、カボチャの団子汁があればそれでいいのに。私は父を睨み、なんで?さっさと帰るって言ったじゃん!宿題も残ってるの!と声を出さずに抗議をすると、父はニコッと笑って、
「桜華様がせっかく誘ってくれたんだからよばれよう。」
と言った。すると馬鹿皇子は
「二階堂、2人を応接室に案内して。」
と言った。私は憂鬱な気分で二階堂さんと父について行った。後ろから馬鹿皇子とその取り巻き①〜④がぞろぞろとついてくる。私は思わずため息がでた。