58.中間テストまでの日々②
すると、興奮したイキリ③は中村くんの胸ぐらを掴んだ。他のイキリ達も「やっちまえー。」とか、「俺たちを裏切るとどうなるか思い知らせてやれ!」とかキャッキャ言い出した。中村くんは
「もう、俺のことは放っといてくれないか?」
と言うと、イキリ②が
「何良い子ちゃんになってるんだよ!」
と中村くんの頬を殴った。私は、あ、やっちゃったと心の中で騒ぎつつ中村くんを見ると、イキリ②をじっと睨んで歯を食いしばり立っている。・・・中村くんやり返さないんだ。そっか・・・。あ、そうだ。時間がもったいないから私がこれからここで術の練習をすればいいんだ。図書館の利用者は全員逃げていった。ここにいるのは私達だけ。
私は今、手元の気を飛ばす練習をしている。この術は咄嗟の時に相手を怯ませたり、相手を捕獲するときに役立つらしい。空気を圧縮させたものを飛ばすから相手に傷をつけることもないのだ。私は、右手小指からイキリ達の股間めがけて気を飛ばした。
「いてっ。」
「いてっ。」
「いてっ。」
3人は順番に声を出した。威力的にはデコピンくらいの力なのでそこまでは痛くないはずだ。すると3人は、慌てた様子で辺りを見回した。中村くんはえっ?という表情をしている。私は中村くんに
「え?あの人たちどうしたんでしょう?」
ととぼけたふりをして尋ねた。
するとイキリ②が恥ずかしさを隠すためか、誤魔化すために
「は?何見てんだよ!」
と言って私に詰め寄った。ちょっとは反省しろよ。と私は又小指から股間に気を飛ばすと
「いてっ。」
「いてっ。」
「いてっ。」
と言ってイキリ達は今度は股間を押さえた。私は
「いや。中村くん。え?やだ。この人たちどこを押さえてるの?」
と言うと、イキリ①が
「は、あ、え?このことは誰にも言うなよ。」
と言った。他の2人も恥ずかしそうにこちらを見ている。私は
「恥ずかしくて言えるわけないじゃないですか。急にあなた達が股間を押さえたなんてね。中村くん。」
と言うと、中村くんは
「でも、俺、こいつらの顔を見たらさっきのこと思い出すかも。」
と笑った。私も
「そうかもしれません。もしかしてこれって噂の図書館の呪いかもしれないですね。」
と言うと、3人は逃げるように図書館を出ていった。そのタイミングで、
「お前らか!図書館で騒いでいたのは!生徒指導室に来い!」
と廊下から声が聞こえてきた。
その時中くんが
「ありがとう。」
と小さな声で言った。私は
「えっ?何が?」
と答え、続けて
「保健室行こ。歯は折れてない?氷嚢もらって冷やした方がいいよ。どちらにしてももうすぐ閉館時間だし、日誌を出しに行くついでに保健室に行こ。私日誌書くから中村くんは窓閉めお願い。」
と中村くんに伝えた。私は本日の図書館日誌の昼休みの欄に、
「本日、テニス部の生徒3人が大声を出す迷惑行為を行い、注意すると激昂し図書委員の頬を殴った。そして今度は股間を押さえながら大声を出すなどの極めて悪質な迷惑行為を始めた為対応に苦慮した。」
と記入した。その後、中村くんと、保健室に行き、職員室前の図書委員会のボックスに日誌を入れて教室に戻った。
テニスの3人は魔物の呼び出しの件で厳重注意を受けていたにも関わらず、中村くんに対する嫌がらせ(これまでにも中村くんに何かとちょっかいを出していたらしい。)と
、今回の図書館での迷惑行為で試合の出場が出来なくなったうえ、テスト明けから1ヶ月間美化委員会の田中先生と、通学路の清掃活動を放課後に行う事になったらしい。
・・・そんなことより私は試験で3位以内を取らないといけないんだ!もし悪い点を取ったらあの3人組の股間に気を当て続けてやる!
ちなみにあの3人はあれ以来中村くんに絡むことはなくなった。




