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56.図書館の怪談騒ぎの翌日④

「おつとめってさ。お経読むあれ?」

「うん。修行中の身ですので。」

私は中村くんの質問に答えながら作務衣姿がよく見えるように手を広げた。

「そっか。芦屋って尼さんになるの?」

「いや。あぁ、でも、師匠が死んで誰も後を継ぐ人がいなかったら、尼さんになってこの寺継がないといけないのかな?わかんない。まぁ、でもそれもいいかもしれない。」

「ふうん。すげーな。」

「何が?」

「全部。」

「え?」

「だって術を使って魔物を倒したり、学校行きながら尼さんの修行したり。今朝だって学校に着くなり勉強してただろ。」

「そう?どれも自分の身を守るためにやってることだから。」

「どう言うこと?」

「術を使える甘えた馬鹿って悪い奴に利用される将来しか待ってないでしょ。そうならないために今出来ることやってるだけ。」

「やっぱ、すげーよ。あ、まだ自己紹介してなかった。俺、中村 ひろ。改めてよろしく。」

「私は芦屋このは。よろしく。」



「はぁはぁ。」

「じゃあ私はここで。」

「はぁはぁはぁ送ってくれてありがとう。」

「うん。じゃあ、また明日。」

「え?又この階段登るのか?」

「うん。そうだよ。これも修行。じゃあね。気をつけて。」

「ありがとう。また明日。学校で。」





「南無阿弥陀南無阿弥陀」

私は静かに本堂に入り、6時までの約30分、師匠と一緒におつとめをした。


 おつとめが終わり、本堂の戸締まりをしていた私に師匠は

「張り紙の件聞いただろ。今日、智之に頼んで回収してもらったんだが20箇所100枚近くあったんだよ。」

と、師匠は懐から封筒を出し、

「読んでごらん。」

と言って差し出した。受け取った封筒の中には、一枚の紙が入っていて、

『なんだかとってもむしゃくしゃするね。

魔物を呼び出し、このくだらない世界を

ぶっ壊そうぜ!!

どうやって魔物を呼び出すかって?

それはお化けや霊の噂のあるところで生き物を殺せばいいんだ。5回に1回は成功して魔物があらわれるぞ!』 

「何これ?」

「本当、何これ!だよ。あながち間違ってない方法だからより厄介なんだよ。お化けや霊がいると噂される場所では実際に気の流れが悪い場所が多いんだよ。そんな場所は魔物を呼び出しやすいからね。智之が、警察隊も協力して回収するとは言っていたが、この手の噂は広がるのが早いから厄介だよ。(ちなみに智にいちゃんは警察署の総務課(事務員)で働いている。警察隊の隊員ではないので、年末年始は休み。土日休み。)帝国各地に住む私の知り合い達にも巡視してもらうよう伝えたが・・・。どうなることやら。はぁ〜全く!面倒なことやってくれるね。」

「本当だね。」

「中村くんも今朝張り紙を剥いでから登校したって言ってたから、私も見かけたら剥がしておくね。」

「頼んだよ。」

「はい。」



 

「いただきます。」

今日の夕飯は、ごはん、鮭の粕汁、卵焼き、ほうれん草の胡麻和え。今日はもうおかずが出来上がっていたから、夕飯の手伝いは米を研いでガス釜にセットするだけだった。ご飯が炊けるまでの間、私は部屋に戻り宿題をしていた。今日はおつとめも、夕飯の手伝いも、あまりできなかった。私は鮭の粕汁を一口啜ると、

「今日は、おつとめも、夕飯の手伝いもほとんどやっていないので、夕飯の後片付けは全部私がやります。」

と師匠に言った。師匠は、

「そんなことは気にしなくていい。あんたは学生で、まだ子供だ。帝国法では保護者は子供に教育を受けさせる義務があると定めているんだ。だからそんなことは気にせずにやるべき勉強をしな。学校は明日から普通授業だろ。だから夕方のおつとめは、学校で間に合わない時はやらなくていい。学業優先だ。だから中間、期末でしっかり結果を出すんだよ。」

「はい。」


 私は夕飯を食べ終えると、夕飯の後片付けをし、歯磨きをしながらお風呂に入って、12時半頃まで勉強をした。(歯磨きをしながら入浴すれば、勉強時間が増えることに気がついた私は賢い!)それから私はうどん出汁の本を読んで寝ることにした。




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