50.図書館の怪談②
「まずいねぇ。」
学校の近くを歩いていると師匠はつぶやいた。
「え?」
「走るよ!」
「はい。」
師匠は100歳を超えているとは信じられない速さで走っている。14歳の私が師匠に負けるわけにはいかない。
「あ、門が開いてる。」
「おかしいねぇ。この時間は閉まってるはずだけど・・・。」
「出たー!!」
「やべー!!」
と言って3人の男子が校門から飛び出してきました。師匠はその中の1人の首根っこを掴んで、
「何があったんだい?」
「出たんだよ!化けもんが!!」
すると師匠は男子を解放し、
「ついておいで!」
と言って校内に入って行った。私もここまでくればやばい雰囲気であることはわかります。私は両手で頬をピシャリと叩いて走りだした。
「何これ。」
私は思わず声を出してしまった。4速歩行の赤黒い魔物が10匹以上、尻餅をついている男子をぐるりと取り囲んでいる。
「あ、生えた。」
地面から今度は人型の魔物が生えてきた。
「私が術を出したらあの少年を連れて離れな!ついて来る魔物はお前に任せる。」
「はい!」
その時、師匠は、ぼそっと何かを呟いた。その瞬間、魔物が頭からボロボロ壊れ出した。私は魔物の間を通り抜けると、男子に
「今のうちに!!」
と声をかけたが全く動かない。震えていて動けないのだ。私は彼の襟元を引っ張ると、男子がこちらを見て目を見開いた。・・あ。同じクラスで隣の席になって、一緒に図書委員になったナントカくん。彼の横には血を流して死んでいる鶏が転がっていた。何でこんな所に鶏の死骸が?
「このは、次が来る!早くこっちに。」
「わかった!」
私はナントカ君の襟元から手を離すと、私は彼の腕を取り立ち上がらせて、腕を肩に回して支えながら師匠の元に向かう。その時、お前の前に2体来る!頼んだよ!後ろの敵はこっちでやる!」
「わかった!」
私はナントカ君の腕を肩から外すと彼はバタッと尻餅をついた。尻餅くらいでは死にはしない。私は数珠を出し構え身体に気を溜めた。その時、私は地面からビュと飛び出した2体の魔物がこちらに襲いかかって来た。
「消えろ!」
私は数珠に念力をこめて叫ぶと目の前の魔物はボフッボフッと破裂し煤のようなものとなり消えた。私は、地面に残る(暗くてもわかる)赤黒い跡の中央に懐刀を差し
「浄化!」
と念力を刀に流した。すると床に残って赤黒い跡として残っている魔物の思念は綺麗に消えた。
ナントカ君の元に戻ると、彼は私のコートの裾を掴んで尻餅をついたまま震え出した。私は
「大丈夫・・・じゃないよね。立てる?」
と尋ねた。中村くんは呆然としている。するとその横を師匠がスタスタと通り過ぎ、血を流して死んでいる鶏の足を掴んで戻って来た。そしてナントカくんに
「あんた、さっき逃げてった悪餓鬼共と、何してたんだい?まさか魔物を呼び出そうなんて馬鹿なことしてないよね。」
と彼の目の前に鶏をぶら下げて言った。するとナントカくんは、はっと我に帰り
「す、すみませんでした!」
と言って泣き出してしまった。




