33.旅立ちの日
「手紙書くからちゃんと返事書くのよ!」
とみっちゃんが私に紙袋を手渡した。そして
「はい。これ。マチと私から。」
と言った。マチは、
「レターセット。切手もハガキも入れてるから。修行が大変で手紙を書く元気がない時用のハガキも作っているから活用してね。」
と言った。
「ありがとう。手紙ちゃんと書くね!」
と私は2人に誓った。汽車の時間まであと20分。見送りにはみっちゃんとマチだけでなく、2人のお母さんも来てくれた。もちろん、父と加代子さんもいる。みっちゃんのお母さんは
「身体には気をつけてね。これ、汽車で食べてね。」
と言って紙袋をくれた。
「ありがとうございます。これ、駅前のお菓子屋さんのだ。嬉しいです。」
とお礼を言った。次にマチのお母さんが
「これ、湿布薬。打身にや筋肉痛によく効くんだって。修行で必要なものがこれしか思いつかなくて。とにかく。身体に気をつけてね。」
と言って紙袋をくれた。
「ありがとうございます。助かります。」
と言って受け取った。
「身体に気をつけて、敏光さんのことは私がしっかりお世話をしますからこのはさんは心配しないでください。これお弁当とお茶。汽車で食べてください。」
と言って風呂敷包みを私に渡した。私は
「ありがとうございます。加代子さん。お父さんをお願いします。」
とそれを受け取ると、父は
「そっ。だから僕のことは心配しないで。ひいお婆様によろしく。」
と言って私を抱きしめた。
「ちょっと、お弁当がつぶれる!」
と抗議すると
「おじさんだけずるーい!」
と言ってマチが父を私から引き剥がすと、私に抱きついた。
「ちょっと、私もー。」
と言ってみっちゃんも抱きついた。すると
「おばさんも!」
と言ってみっちゃんのお母さんと、マチのお母さんが抱きついた。
「それじゃ、私もいいですか?」
と言って加代子さんも抱きついてきた。私達はそうやってしばらく抱き合って別れを惜しんだ。
ジリリリリ
ピーーー。
発車ベルが鳴り汽車の扉が閉まった。汽車はゆっくり走りだした。開けた窓から
「元気で、いってきます!」
と私が言うと、みっちゃんとマチは列車と並走し、
「手紙書くね。」
「応援してるね。」
などと、私に色々声をかけて手を振っている。2人はホームのギリギリまで私を見送ってくれた。
・・・着物で草履を履き私に声をかけながら爆走する2人が陸上部でないことがとてももったいなく思った。(因みに2人は私と同じ帰宅部です。)




