312.繋がっていたい
・・・眼鏡、眼鏡。私は隣で寝ている馬鹿皇子を起こさないように(ソファーの前にあるテーブルに置いてある)眼鏡を取った。まだ2時半か。すると馬鹿皇子も目を覚ましてしまった。
「ごめんなさい。起こしてしまいました。あの。ベッドでおやすみください。」
「・・・母様も一緒に・・・置いていかないで。」
・・・寝ぼけてる?亡くなった皇后様の夢を見ているのかしら。その時馬鹿皇子の目から涙が溢れた。そして馬鹿皇子そのままソファーに横になって再び眠った。私は馬鹿皇子に毛布をかけると電気を消した。私は床に座りそのまま眠った。
イタタタタ。私は伸びをすると体の関節がボキボキと音を立てた。時計を確認すると5時を回っていた。馬鹿皇子はまだ寝ていた。私は馬鹿皇子を起こさないように身支度を整えると部屋を出た。
「おはようございます。」
「おはようございます。すみません、お待たせしてしまいました。」
私は島津さんにそう言うと、
「いえ、今朝は早く目覚めてしまって。桜華様は寝ていらっしゃるんですか?」
「はい。私に付き合って夜更かしをされたから・・・。でもまだ5時ですよ。あぁ、剣術の練習ですか?」
「はい。でもたまにはおやすみになられてもと思っていたので。・・・桜華様はこのは様に守られてばかりでは嫌だと、最近特に頑張りすぎていらっしゃいましたから。」
「そうですか。」
私は皇居中に結界を張り終えて部屋に戻ってきた。
「お疲れ様。手洗いうがいが終わったら、足と腕の処置をするから。」
と馬鹿皇子に言われた。馬鹿皇子は制服に着替え、身支度をすっかり終わらせていた。
「さ、腕を出して。」
「はい。」
私が腕を差し出すと、傷口に血が滲んだ。
「え?ちょっと!」
「あ、ごめん。ほら術で体液をって。今日の夜は満月だし、血を舐めるだけでも体に変化が見られるのかなと思って。」
「いやいや。血を舐めるだけではどうにもならないと思いますよ。」
「そっか。じゃあ、やっぱり肌を重ねなきゃダメなんだな。」
「それと術をかけないと、何にも起こりませんよ。」
「そっか。」
馬鹿皇子は私の傷の処置をしながら、術について色々尋ねてきた。
「あの、桜華様は術に興味がおありなんですね。」
「まぁ。・・・だな。」
「まぁって、違うんですか?」
「・・・その、このはに術をかけてもらえば俺とこのはと繋がっていられる気がして・・。ごめん。変なこと言った。」
そう言って寂しそうに笑った。その時私は夜中、寝ぼけて皇后様を呼ぶ馬鹿皇子を思い出して、私は彼に同情したのか、なんなのか・・・。わからん。とにかくわからんが体が勝手に動き気がつけば私と馬鹿皇子の唇は重なっていた。




