310.甘えん坊?①
「ありがとうございました。」
「いえいえ。よく頑張ったね。じゃあ、次は金曜日ね。」
「はい。」
私達が話し終えたタイミングで、運転士が車を出した。勉強の間、魔物が出なくてよかった。そんなことを考えながら伸びをすると馬鹿皇子は
「西園寺先生のことは男としてどう思う?恋愛感情とか・・・。」
また始まった。馬鹿皇子は私が男性と関わるといつもこうだ。私が西園寺先生のこと好きだと言ったら諦めてくれるのか?いや、ただただ西園寺先生に迷惑がかかるだけだ。
「西園寺先生は私の先生です。それに西園寺先生と私では身分差もありますし。」
「俺とはもっとある。」
「ですね。」
「俺はこのはのことになると自分を作ることができなくなる・・・。皇子としての姿が保てなくなる。」
「そうですね。」
「どうしたらいい?」
「私のことなんて忘れればいいかと。」
「それができたら苦労しない。」
「そうですか。」
馬鹿皇子は私のマントを掴み。
「このはじゃないとダメなんだ。」
とボソリと言った。私はその言葉を無視して、
「戻りましょう。」
と言って馬鹿皇子と部屋に戻った。
部屋に戻ると、食事の用意がされていた。小さなテーブルに木の椅子が新たに用意されており、そこにはハンバーグ、茹でたブロッコリーとじゃがいもとにんじん。ご飯、味噌汁、ほうれん草のおひたし。
私達は菊さんにテーブルへと促されて先についた。
「あ、このは様、今朝洗濯をした牟田様の手ぬぐいは、洗って返しておりますから。」
「ありがとうございます。」
「なあ、早く食べようぜ。」
馬鹿皇子は私達の会話を断ち切るようにそう言って
「いただきます。」
と言って食事を始めた。はぁ、なんか今、馬鹿皇子は私に対する執着が酷くなってる?
「何かあったんですか?」
「別に。」
「私が席を外した時に西園寺先生と何を話したんですか?」
「別に。」
「そうですか。」
・・・まあ、話したくないこともあるよね。私は残りの宿題も済ませなくてはいけないし、『術師覚書』の続きも読みたいので急いで食事をしていたら、
「・・・このはは俺のこと興味ないんだな。普通何があったかもっと強引に聞くだろ。」
「ごめんなさい。あまり聞かれたくない話かと思ったので、そっとしておこうかと。」
「そっか。俺のこと考えてくれてたんだ。」
「まあ。で、西園寺先生と何があったんですか?」
「それはいえないけど、でもこのはが俺のことを考えてくれたなら。それでいい。」
馬鹿皇子は不安そうに笑った。




