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31.思い出作り⑩

「明日、駅に見送りに行くから。」

と、みっちゃんが言うと、マチも

「私も行くからね。明日の朝9時48分だよね。」

と言った。私は

「うん。ありがとう。また明日。」

と言った。みっちゃんとマチは

「うん。またね。」

と言ってその場に立ったまま動かない。いつもは別れを言ったらすぐ解散して家に向かうのに。・・・そういう私もここで立ち尽くしているのだけど。私は大きく息を吸って

「またねー。」

と言って手を振った。私は泣き顔を見られたくなかったのでそのまま振り返らずに家まで帰った。


「ただいま!」

私は玄関で元気よく言った。すると

「おかえりなさい。」

と奥から加代子さんの声がした。私が手洗いとうがいをし終えると、加代子さんが

「ついさっきこのはさんにお客様がいらっしゃって。これをこのはさんにって預かったんです。中でお茶でもとお誘いしたのですが、忙しいからとお断りになられたんです。お名前は桜華様という、このはさんが好きなイケメンでしたよ。」

というと、花柄の紙袋を手渡された。え?馬鹿皇子が来たの?なぜ?ついさっきまで一緒にいたじゃない。私は紙袋の中を確認した。すると中には大小の箱が入っていた。私は小さい箱のリボンを外し、テープを開けて箱を開けると2枚の(緑色と黄緑色)葉っぱに真珠が一粒あしらわれた可愛らしいブローチが入っていた。

「あら、素敵なブローチですね。」

と加代子さんが言った。・・・確かに素敵なブローチ。もう一つの大きな箱を開けると、壊れたはずのお母さんの草履が入っていた。

「何で。ねぇ、加代子さん。お母さんの草履誰かに貸した?」

「いえ、貸してませんよ。おかしいですね。確かにこのはさんの草履ですね。先日このはさんが帰った後、風通しをして新聞紙に包み、いつもの箱に入れて下駄箱にしまっていたんですよ。でもよかった。このはさんが大事にされていたものから、主人に修理のできるお店を探してもらっていたんですよ。直ってよかったですね。」

「うん。・・草履、綺麗になってる・・・千切れた鼻緒も、爪先部分の大きな黒い傷も。」

 

 そういえばあの時、私達が喫茶店のランチに並んでいる時に、馬鹿皇子は履物屋から出てきていた。私は、

「はぁー。」

とため息をついた。なんで?渡す時あったじゃん。何でうちに届けてるのよ!お礼言えないじゃん。馬鹿皇子!   心の中で馬鹿皇子に文句を言っていたら涙がポロリとこぼれた。




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