308.馬鹿皇子と西園寺先生①
「・・・なんか見張られてる?」
「気にせずに始めましょう。考えている時間がもったいないです。」
私達の前には一条さんと毛利さんが座り、本を読んでいる。そして私のすぐ後ろでは馬鹿皇子が本を読んでいる。しかもいつもの体制で(床に座って両足の間に私を挟んでいる)。因みに島津さんは仕事なのかつい先程部屋から出て行った。
「ここまでは大丈夫そうだね。」
「はい。」
「証明問題も抜けなく書けてるね。勉強したんだね。」
「はい。頑張りました。」
「えらいえらい。」
と言って西園寺先生は私の頭を撫でた。すると馬鹿皇子は私の体を足で挟んだ。
「きゃっ。何すんですか?」
「デレデレすんな。」
そう言って私を睨んだ。
「じゃあ、10分休憩しようか。」
「はい。」
私は休み時間の間にひいばあばに南武政右衛門について尋ねるために電話をした。
「あ、ひいばあば!元気ですか?」
「どうしたんだい?」
私は南武政右衛門が書いた『術師覚書』について、今まで読んだところまでの内容と、今朝、実際に父と術を試した事について説明をした。
「南武政右衛門という人物は知らないね。『術師覚書』という本もはじめて知ったよ。ただ、この本の内容は全て理にはかなってるね。・・・実際に満月の日は、引力の関係で体調を崩す人が多いんだよ。私が病院で働いてた時もそうだった。満月の日を選んで、術の使えない人に術を施せば、術の影響を受けやすくなるね。なるほどね。」
とひいばあばは感心していた。そして、
「いい本を頂いたね。このは、今、皇居電話をお借りしてるんだろ?ゆっくり話をしたいけど、そろそろ切ろうね。全部読んだらまた話を聞かせておくれ。」
「わかりました。」
「体に気をつけて頑張るんだよ。」
「ひいばあばこそ、これから暑くなりますから、体に気をつけて。また電話します!」
私はそう言って電話を切った
「失礼します。」
私が部屋に戻ると、もう一条さんと毛利さんはおらず、馬鹿皇子と、西園寺先生の2人きりになっていた。




