302.勘違い②
「ではおやすみなさい。」
「まだ、休まないのか?」
「はい。手元にこんな面白い本があるんですよ。ここにいる間に全て書き写しておこうと思って。」
「この量を?」
「はい。」
「そっか。じゃ。おやすみ。」
「おやすみなさい。」
・・・ん。昨日は本を読みながら寝てしまった。あれ、眼鏡は・・・あった。私は時計を確認すると5時10分。
「おはよう。」
「あ、おはようございます。」
馬鹿皇子は寝巻きからスラックスとシャツに着替えて腰には刀を刺していました。
「これから練習ですか?昨日も島津さんと練習されてましたもんね。私は5時半から見回りなので。
「今日から俺と島津も見回りに同行するから。」
「え?何で?」
「何でって。このはのことが心配だからに決まってるだろ。」
「朝は結界を張るだけです。魔物が出ることなんてほとんどありません。」
「なら、なおさらいいだろ。」
「はぁ。好きにしてください。」
私は伸びをしてから洗面台に向かうと、
「なあ、この手ぬぐいはこのはのか?乾いていたからたたんどいた。」
「ありがとうございます。これは昨夜退魔部隊の牟田さんにお借りしたんです。洗ったんですけど、血が取れなかったんです。帰りにでも手ぬぐいを買ってお返ししようと、」
「菊さん!」
「はい。」
馬鹿皇子のベッドを整えていた菊さんがこちらに来ると
「このしみ、取れそうか?」
「薄くシミが残ってますね。これは血液のシミでしたよね。」
「はい。そうです。」
「大丈夫です。お預かりしますね。」
「ありがとうございます。」
私は菊さんにお礼を言うと、
「だから新しい手ぬぐいを買う必要はない。」
と馬鹿皇子は言った。
「ありがとうございます。」
私が馬鹿皇子にお礼を言うと、菊さんは
「ふふふ。」
と笑って部屋を出て行った。私は顔を洗い、髪を結い直した。
「よし!」
私が洗面所をでたタイミングで父が部屋に迎えに来た。




