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300.術師覚書③

「驚いたな。こんな本があるだなんて。」

「でしょ。これなんか使えたらすごく便利だと思うんです。お札を使って術者同士の場所がわかるって。怪我をして動けなくなった時とか、ピンチの時に役立つよね。まぁ、その距離は術者の力により異なるとは書かれるけど。魔力を持った者同士であれば、準備も楽ですよ。和紙にお互いの血液をつけ、お互いの体液を摂取しておけばいいだけですから。使う術も簡単そうです。」

「そうだな。」

「待てよ!体液って!」

「血液を使うんですけど。何か?」

「あ、あ、そうか。」

「体液を摂取するってことは、多分相手の・・術者の力を一旦取り入れるってことで相手の魔力を感じやすくなるんだろうね。」

「じゃあ、わざわざ血とか体液とか分けてかいてるんだ?全部血でよくないか?」

「体液って、血液以外にも唾液、あとは桜華様が思い描いている体液がありますよね。多分血ではないといけない部分だけ血と書いてあるんだと思うんです。血って即効性があるんです。戦いの前や結界を張る前にいつもこのはが血を使うだろ。それはすぐに力、術を強化できるからなんだ。正直な話、唾液を使うなら半日刀を舐め続けて結界を張るなり、戦いに挑めばいい。」

「なるほどな。」

「力なき者に、魔力を持っていない人に血、唾液、どちらを使っても結局は結界をかけるのに同じ時間がかかるから体液と書いてあるんだろうね。」

「じゃあなんで裸で肌をくっつけないといけないの?離れててもよくない?」

「このは、手当てって言葉あるだろ。不安がある時に撫でてもらう。痛い時に撫でてもらう。相手の体温を感じることで安心感を得ることができるだろ。リラックスすると結界が綺麗に張れる。もしくは、心拍が上がって体内に摂取した魔力が全体に回る・・・。なんらかの意味があるんだろうね。ほら、両者の体温が上がれば結界が鎧になるって書いてあるだろ。」

「ふーん。じゃあ一応、この行為にも意味はあるのね。」

「それにしてもこれだけの蔵書の中からよく見つけたね。」

「本当は歴史のレポートを書くためにここに来たんだけど、この本に呼ばれたっていうか・・・。ここに来てすぐに見つけたの。」

「そうだったな。俺は図書室をよく利用しているけどこの本は初めて見たもん。」

「なるほど・・・。ここの本は皇族以外の人も読んでいいんだよね。」

「ああ。使用人も許可を得ればここを利用できる。持ち出しはまた別に許可がいるけどな。」

「え?桜華様と一緒じゃないと利用できないんじゃ・・・。」

「そんなこと言ったっけ?」

「もう。」


 父はまじまじとこの本を見ながら

「この本に書いてあることは理にかなったものがほとんどだよ。まぁ、直接桜華様に術をかけるのは精査しないとだけど・・・ねえ。貸し出しの許可って誰に貰えばいいの?」

と尋ねた。

「基本的には俺は自由に持ち出せるんだ。後で中田さんに言えばいいんだ。使用人は昼間は司書の小西さんに手続きをしてもらって借りるんだ。」

「じゃあ、私も明日改めて借りに・・。」

「じゃあ、俺が借りる。中田に伝えておくから。」

そう言って馬鹿皇子は私に本を渡した。




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