3.私の大嫌いな奴ら③
「いたっ。」
私は父に頭をはたかれた。そして父は
「さっさと立て。」
と言って私の手を引っ張って立たせた。
「あれ?このは、血が出てるじゃないか。いったいなにがあったんだ?それにこんな所に座り込んで着物が汚れてるだろ。この着物そこそこいいやつなんだから。あー血がついてる。とれるかな?」
と言って私に手ぬぐいを渡します。私は
「着物よりも娘の怪我を心配してよ。それに加代子さんに頼めばこれくらいの汚れ簡単にとってくれますよ。」
と傷口を手ぬぐいで圧迫しながら言うと、父は、私の着物についた土をはらいながら
「はぁ。何があったんだ。彼らが桜花様が危ないって呼びに来たから慌てて来たんだぞ。」
と言って取り巻きに①〜④を見ると、父と一緒に走って来たダンディな紳士が執事に
「何があった?」
と尋ねた。すると執事は第二皇子と、取り巻き①〜④を見て黙ったまま固まっている。そりゃそうだ。告げ口をすれば第二皇子からのいじめはエスカレートするかもしれない。あっ、でもこの執事は先程第二皇子はいい子だと言っていたから彼を庇って何も言えないだけかもしれないな。すると馬鹿皇子は、
「俺が・・・。」
とこれまでの経緯を嘘偽りなく話した。私は彼が嘘の証言や言い訳をダラダラ述べるのだろうと思っていたから正直驚いた。きっとこのダンディな紳士(面倒だから彼のことはダンディと呼びましょう。)には嘘が通じないと観念したんだろう。話を聞き終えるとダンディは私に
「桜華の言ったことは本当か?」
と尋ねたので、私は
「はい。」
と返事をした。すると続けてダンディは執事とメイドに事実確認をした。2人がこくりと頷くと、
「このはさん悪かった。馬鹿息子達のせいで君に怪我をさせてしまった。花村さん彼女を医務室へ連れていってくれ。あと、君は濡れたままでは風邪をひくので着替えてきなさい。」
と指示を出した。私は、
「その前に、第二皇子と、取り巻き①〜④は2人に対してやることがあるんじゃないですか?」
と尋ねた。すると、父と一緒に駆けてきた大人の1人が、「第二皇子に対して失礼な・・・。」
と言うと、ダンディは
「一村。」
と言って彼の話を遮った。そしてダンディは
が
「そうだった。このはさんの言う通りだ。私は父親失格だな。」
と言って馬鹿皇子と取り巻き①〜④を見た。すると第二皇子が執事と濡れたメイドの元行き、
「さっきは悪かった・・・。」
と頭を下げた。するとここにいる私と父以外の全員が驚いた様子で馬鹿皇子を見た。(私と父は状況が飲み込めずその状況をポカンと見ている。)
すると馬鹿皇子は私の懐刀を拾い、私に渡すと、
「悪かった。その・・君に失礼な事を言った上、怪我までさせてしまった。・・・許してくれ。」
と言って頭を下げた。私は
「嫌です。」
と言うと、隣にいた父に頭をはたかれた。
「痛っ。何すんの?当たり前でしょ。彼は第二皇子なのよ。そこいらのガキじゃないの。今後この人の発言や行動はこの国の民に影響を与えるの。世界の歴史で悪政をしたり臣下や国民に無態な仕打ちをした国王や政治家、皇子達が、民や臣下に反乱を起こされて首を切られてきたのは父さんだって知ってるでしょ。私がここで第二皇子を許すと、この皇子は謝れば許してもらえるって又同じ事をするかもしれない。だってここにいる大人たちはこんな当たり前の事をこの馬鹿皇子に教えてもいないじゃない。」
と私が言うとダンディは
「全くその通りだ。私は、自分の子供にそんな当たり前の事も教えていなかった。そしてここにいる大人たちも同じだ。恥ずかしい限りだよ。」
と言って唇を噛み締め、続けて
「で、君達は?」
と言って取り巻き①〜④を見た。取り巻き共は執事とメイドに謝り、こちらにもやってきた。そして私にも謝ったが、もちろん私は彼らを許さなかった。