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299.術師覚書②

「力なき者、術師の体液を摂取す。術者その血でカーンの梵字を力なき者の左胸に書く。カーンの梵字体に馴染ませるために術師と力なき者は一晩素肌を合わせる。両者の体温が上がれば結界は力無き者を守る鎧となる。・・・これ、やってみないか?」

「やめておきましょう。そもそもこの本に書いてあることが正しいかもわからないし。失敗した時、桜華様に怪我をさせる恐れもあります。何よりこの術が今使われていないということはなんらかの問題があるんだと思うんです。術はきちんと精査して使わないと危険です。本当はひいばあばに見てもらうのが一番いいんですけど。とりあえずこの本を父さんに見てもらいませんか?私が勉強不足なだけで、この術のことを知っているかも知れませんし、何かわかるかもしれません。」

「ここに書いてあることはこのはの知らないことばかりなのか?」

「結界を張る時にカーンの梵字を書くんです。それはわかるんですけど・・・。その、満月の夜に体液を摂取させたり一晩素肌を合わせたり・・・そんなことは初めて知りました。」

「へぇ〜。・・なあ、聞いていいか?この本に書いてあることが本当なら俺に術をかけるのはもちろんこのだよな。」

「なんでそうなるんですか。もちろん父さんに決まってるでしょ。あ、それかひいばあばね。」

「絶対に嫌だ!俺はこのはにこの術をかけて欲しい。」

「それは無理です。皇族の方々に直接術をかけるんですから。まぁ、私が術をかけるとすれば、退魔部隊の方々とか・・・。」

「絶対ダメだ。このはの体液を他の男に摂取させたり、このはが他の男と素肌を合わせたり・・・考えただけでもどうかなりそうだ。」

「だから無理で危険だって言ったでしょ。」

「あぁ。なるほど。でもなんで危険なんだ?」

「私がこの術を桜華様にかけるとしたら私の身が危険に晒されますし、他の誰か、例えば男性にかけるとしたらその男性に危険が及びそうです。」

「まぁ・・・。だな。」

「明日から父さんはしばらく不在になるでしょ。今のうちに確かめにいきましょう。もしこれが正しければ、父さんに術をかけて貰えば万事オッケー!まぁ、この内容が正しければですけどね。他にもいろいろ書いてありますし。とりあえず父さんを叩き起こしましょう。」

「真夜中なのにいいのか?」

「はい。構いません。行きましょ。」

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