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26.思い出作り⑤

「もうすぐだ。」

と、馬鹿皇子は言った。窓から外を見ると、街から離れた緑豊かな静かな場所を馬車が走っている。間も無くして馬車が止まった。


 執事の中田さんがドアを開けると、馬鹿皇子が馬車から降り、私たちが馬車から降りるのをエスコートしてくれた。目の前には西洋の物語に出てくるような丸太のログハウスがあり、『洋食ソレイユ』と小さな看板がかかっていた。

 腕時計の針は11時3分を指している。馬鹿皇子が

「さっ、中に入ろう。」

と言って店内に入ると、昼食には早い時間であるにもかかわらずお客さんで席は埋まっていた。すると、店員のおばさんが、

「よくいらっしゃいました。さ、奥へ。」

と言って私たちを案内してくれた。扉にはreserveのプレートがかかっていて、中に入ると4人用のテーブルがひと席。窓からは綺麗に手入れされた庭が見える。馬鹿皇子は私に、

「食事が終わったら彼女に迎えを呼ぶように言ってくれ。迎えがくるように手配してあるから。」

と言って部屋を出ようとした。その時、マチが、

「鷹西くんもこのはの友達でしょ。予定がないなら一緒にご飯食べない?」

と尋ねると、みっちゃんまで、

「そうしなよ鷹西くん。」

と2人が馬鹿皇子をランチに誘い出した。え、何、2人とも何言ってんの?と私が2人に念力を送るも無視され、代わりに馬鹿皇子が、

「俺が参加してもいいのか?」

と私に尋ねた。はぁ、何で私に聞くのよ。ここで私が断れば私は嫌な奴になるじゃない。ここは忙しいから失礼するよって言うところだろーが。と心の中で叫んでみたが誰にも私の声はとどかず、私は

「ぜひ、どーそ。」

と返事をした。すると馬鹿皇子は、

「ありがとう!じゃあ、お言葉に甘えて。」

と言うと、中田さんが馬鹿皇子に耳打ちをしてから、一礼して部屋から出て行った。

すると店員のおばさんが

「コートは壁のハンガーに、荷物はフックか足元の籠にどうぞ。注文が決まりましたらベルでお知らせください。」

と私たちに言ったので、私達は部屋のハンガーにコートやマフラーをかけると席についた。みっちゃんと、マチが私の向かいに座り、私の隣には馬鹿皇子が座っている。みっちゃんが、

「何食べようか、メニュー・・どこだろ?」

と言うと、馬鹿皇子が、

「今日の昼はあの喫茶店で何を食べる予定だったんだ?」と尋ねると、マチが籠から巾着を出して、チラシを出し馬鹿皇子に見せた。

「へぇー。コロッケ、ライスカレー、グラタン、ハンバーグ、ミートソーススパゲッティのメインのおかずに生野菜のサラダとデザートがついて学生は500円。藤中さんと大庭おおばさんと、このはは何を食べる予定だったんだ?」

と尋ねた。するとマチは、ライスカレー、みっちゃんはグラタンと答えた。

「で、このはは?」

と馬鹿皇子が尋ねたので、私は

「ハンバーグ。」

と答えた。すると馬鹿皇子はベルを鳴らした。メニューを持ってきてもらうんだなと思っていたら、先程の店員のおばさんに、チラシを見せながら

「ライスカレーとグラタンとハンバーグとコロッケと言って、このチラシの通りにサラダとデザートとここのスープを追加で頼む。」

と言った。は?何勝手なことを言ってんのよ!私は店員のおばさんに

「すみません、待ってください。」

と断りを入れ、馬鹿皇子に、

「さっき予算とか話しましたよね。聞いていませんでしたか?」

と尋ねると、店員のおばさんは、

「お代はもう頂いていますよ。」

と言った。私は、

「ちょっと、何勝手・・」

と私が抗議するのを遮って

「先日怪我をさせた慰謝料。草履を壊した迷惑料。これで許して貰おうとは思ってないけどみんなの食事代を私に払わせてほしい。」

と馬鹿皇子は言った。私が反論しようと口を開く前に、みっちゃんが

「鷹西くん、ありがとう。ごちそうになります。」

と言い、マチも一緒になって、

「ありがとう!ほら、このはも素直にありがとう言いなさい!」

と言った。私は、ただより高いものはない。2人とも、馬鹿皇子に食事をご馳走になったことを後で後悔したってしらないからね!と心の中て抗議しながら、私は

「ありがたく、いただきます。」

と馬鹿皇子に言った。


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