25.思い出作り④
「足元気をつけて。」
と言って馬鹿皇子は馬車に乗るマチをエスコートしている。マチは
「ありがとうございます。」
と言って乗り込んだ。先に乗ったみっちゃんも馬鹿皇子にエスコートされてこの馬車に乗っていた。次は私の番なのだが、きっと馬鹿皇子は、お前は自分で乗れ!とか言って意地悪をするんだろーなー。
「はぁ。」
私はため息をついて自分一人で馬車に乗ろうとすると、
「足元気をつけて。」
と言って馬鹿皇子は私の手を取った。そして
「掌、かさぶたに・・・。」
とぼそっと言った。私はあんたのせいでね!と言ってやりたかったが、こんな所で喧嘩をして洋食屋に連れて行かないと言われたらみっちゃんや、マチががっかりするだろうと思い喉元まで出かかった言葉をぐっと飲み込んだ。
私が馬車に乗り込むと、マチとみっちゃんが並んで座わっていたので向かいに座ると、私の隣に馬鹿皇子が座った。
「はぁ〜。」
思わず小さなため息が出てしまった。
みっちゃんが
「ここから馬車でどのくらいかかるんですか?」
と尋ねると、馬鹿皇子は
「20分ちょっとかな。」
と答えた。みっちゃんは
「そうなんですね。あ、自己紹介がまだでした。私は藤中美智子と言います。」
と言うと、マチも
「私は大庭マチ子です。」
と言った。馬鹿皇子は、
「俺は、鷹西桜。よろしく。」
と言って普通に挨拶をした。そろそろ嫌味の一つくらい言うのかと思ったが普通に好青年を演じている。ふん。みっちゃんもマチもあんたが私にひどい仕打ちをしたのは知ってるんだからね!ばーか!と心の中であっかんべーをしていると、馬鹿皇子は、
「3人は仲がいいのだな。」
と言った。するとみっちゃんが
「私たちは幼馴染なんです。喧嘩してもすぐに仲直りして、気がつけばいつも一緒って感じです。」
と言うと、マチも
「ほんと、最後に取っ組み合いの喧嘩したのはいつだったかな?」
と尋ねたので、私が
「2年前だっけ。小学舎の卒業式前じゃなかった?」
と言うと、みっちゃんが
「そうそう。誠くんが引っ越す前に気持ちを伝えた方がいいって私がマチに言って、マチが嫌がるのに私が説得してたらそんなこと、それは本人が決めることだから関係ない人間は口を挟んだらダメだってこのはが言って、友達だから関係者だ!って私が怒って、このはが切れて、外野がわーわー言ってることにマチが2人ともうるさいって怒ってさ。」
と話すと、馬鹿皇子は、
「それで取っ組み合いの喧嘩になったんだ。すげぇな。」
と呆れていた。そして
「それで、どうやって仲直りをしたんだ?」
と尋ねた。マチが、
「次の日学校へ行く時の3人の集合場所にこのはがいたのよ。それで私もそこで待って。そしたらみっちゃんが来て、行こう。って言ったから一緒に学校に行って、このはだったかな、水やり当番の手伝いを私とみっちゃんがして、いつの間にか仲直りしてたのよね。」
と答えると、馬鹿皇子は、
「俺もそんなふうに仲直りできたらいいのにな。」
とポツリと言った。馬鹿皇子はメイドや執事をいじめてるくらいだから、きっと学校でも友達に似たようなことをして仲直りの機会を失ってるのね。身から出た錆よ。しっかり反省しなさい!と私は心の中で馬鹿皇子に説教をした。




