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229.試練

「芦屋さんのお父様がお迎えにいらっしゃいました。」

と藤本先生が父を連れて応接室に入って来た。

「え?あ、いつも娘がお世話になっております。」

大勢の人たちに迎えられた父は戸惑いながらみんなに挨拶をした。すると校長先生方が、(私が)魔物退治したことのお礼と、怪我をさせてしまった事へのお詫びをした。それから、西園寺さん(兄妹)と、馬鹿皇子が助けともらった事へのお礼と、怪我をさせたことのお詫びをした。父は、

「娘が魔導師として、戦うと判断し、そして怪我をしたんです。ですから怪我をしたのもこのはの責任です。ですからみなさん気にしないでください。寧ろ、このはが怪我をしたことでみなさんに迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」

と頭を下げた。

 その後、父は、先生方や、上岡さん達、西園寺さんから私の学校での様子(中間テストで8位だった事、転んだ西園寺さんを助けたことなど)を聞いてから、

「では、そろそろ失礼致します。」

と言って席を立った。父は、先生方の見送りを断り、応接室前で私達は先生方と別れ、別館の玄関に向かった。


 別館の玄関に着いた途端、これまで大人しくしていた馬鹿皇子は、

「お父さんは、このはに厳しすぎです。もっとこのはを労ってもいいと思います。このはは俺たちを助けるために怪我をしたんです。このはが来てくれなかったら俺たちは死んでいました。」

と不機嫌そうに言った。父は、

「言っておくけど、僕は桜華様のお父さんではないから。それにあの程度の魔物に魔力切れを起こし、怪我まで負って、みなさんに迷惑をかけるなんてまだまだだよ。僕が戻ったのはこのはに桜華様の警護を任せられるか確かめるためなんだよ。」

「は?俺はお父さんはこのはが俺の警護をすること、許可したと聞きましたけど。それにこのはが魔力切れを起こしたのも怪我をしたのも、俺がこのはについて行ったからなんです。だからこのはの怪我は俺の責任です。」

「それは桜華様をあの場に残す判断をしたこのはの責任です。それと警護の件だけど、僕は、合宿期間の警護は認めたよ。でも僕はこのはがこの役目を果たせるのか確かめてから判断すると伝えていたんだ。だから帝都で第二皇子の警護をやる意味をこのはがわかっているのか、その力があるのか僕が確かめなければならないんだ。」

「このは、明後日の日曜日4時に皇居に来なさい。僕がその力があるか判断するから。だから、今日、明日と宿題を終わらせておきなさい。今日の夕方から火曜日の朝まで僕が桜華様の警護をすることになったから。このはが合格すればその後はこのはに任せるよ。」

そう言うと、上岡さんが、

「ねぇ、これから図書館行こ。宿題早く終わらせよ。私、芦屋さんが魔物と戦って怪我をするのは嫌だけど、お父様に認めてもらえないのも嫌。今日中に終わらせて明日はゆっくり休んで試験に臨みましょ。」

と言うと、西田くんは図書館行きのバスの時間を時刻表で探し始めた。すると馬鹿皇子は、

「ここの図書室を使うといい。19時までは使えるから私から校長に伝えておこう。」

と言うと、西園寺兄が、

「僕は後から図書室に行くね。力になるよ。」

と言ってくれた。父は、

「みなさん、ご迷惑をおかけします。」

と頭を下げてから

「頑張りなさい。」

と私の頭を撫でてくれた。私は

「はい。」

と返事をすると、急に西園寺さんが、

「私、チャリコ・・このは様の応援に行きたいのですがダメでしょうか。私このはさんに助けていただいた時も魔物に襲われた時も何もできなくて。私、このは様のお勉強のお役にも立てませんし・・・。せめて応援だけでもさせていただきたいんです。」

と父に訴えると、上岡さんが

「私も見に行ったらダメですか?私、芦屋さんと中学からの付き合いだけど何も知らなかったんです。芦屋さんの体、お風呂の時に見たんです。私、芦屋さんが私たち国民のために辛い修行をしていることとか全然知らなくて。だから知りたいんです。」

と言うと、西田くんも松本くんも西園寺兄も応援に行くと言いだした。

「ちょっと待って。それは僕の判断では答えられないよ。」

とみんなの圧力に父が困っていると、馬鹿皇子が

「わかった。私から副隊長に問い合わせておこう。後で私も図書室に行くから、その時に返事をさせてくれ。」

と言った。玄関先で父は

「じゃあ、先に戻るね。このは。これだけの結界を張れるようになったんだね。父さん驚いたよ。」

と言って帰って行った。私はバイクの音が聞こえなくなるまで玄関で父を見送った。


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